イングランド 2 – 2 スウェーデン

ボールの特性が顕著に見られたゲームだった。
ENG1点目
ジョーコールの綺麗な放物線は、従来のボールだとゴールネットの上に落ちてしまうような軌道だったが、下りのドロップが野球のフォークボールのように急激に落ちてきて入ってしまったような得点だった。あれをもし狙って蹴ってるのならすごいことだが、それまで入らずともバッチバッチミドルシュートを狙ってきた姿勢がもたらした賜物だろう。
SWE2点目
高い軌道で地面に入ってきた時のワンバウンド目が異常に高く跳ねる。キャンベルの目測誤りもあるかもしれないが、あれはとっさの判断だしGK出ないししょうがない。
開幕戦のラームやフリングスのイメージが強く、各チームとも積極的にミドル/ロングシュートを狙っている。が、このボール真芯で捉えたように見えてもゴールバーの上に逸れていったり(このパターンが一番多い)、変な変化したり面白い。
あと原さんも何度か指摘したけど、今回のマッシモ・ブサッカ主審はいいジャッジングだった。審判は存在を消すのが理想的だし、ポマードびっちりの「俺が俺が系」隆盛の昨今、熱い試合の割にカードも少なくまさに消えてたんじゃなかろうか。
オーウェンの怪我だけがかわいそうだったが、試合自体は非常に熱く見応えあるものだった。ジンクスもあるが、同点は妥当な結果だと思う。

日本 0 – 0 クロアチア

柳沢ミス後、鈴木通訳一点見つめ

オーストラリア戦に続き真昼の炎天下ということで、両チームともに動きが鈍く、判断やプレイそのもののミスが多い大味な試合だった。ワールドカップの試合/日本代表の試合、でなければ見続けることはなかっただろう。
この展開をもたらしたのは前半中頃の川口のPKセーブだったように思う。得点が入って初めてゲームは動き出すとよく言うが、まさしくそれが当てはまった。前書いたとおり個人的には安定感の楢崎の方がいいでないのと事前予想してたんだが、いやオーストラリア戦も含めて好調時の川口はすばらしい。この点は感服した。
で、前半から展開を見ていて両方とも「待ちガイル」状態、カウンターを軸としているのに展開が遅く、時間だけが過ぎる感じだった。期待を持てたのはバイタルエリア付近からのミドルシュートだけで、それに終始した展開は非常に退屈なものだった。こうなると、70分以降勝負になるだろうと半ば片手間に見てしまう。唯一期待が持てたのは、やっぱり中田だったなあ。

試合後ストレッチ

勝負の時間帯に入って、両方ともFWやOMFなど前目の選手を変えて来たんだが、その時間になってもなおミスが目立つ展開でやるせなかった。日本のFWの消極性は今に始まったことではないので別になんとも無いのだが(←これが普通になってるからヤバい)、クロアチアの攻撃もまったく噛み合ってなかったのは勝負で言えば幸いしたが、見てる側にとってはフラストレーション要因だった。
加地のクロスを受けたのがゲルトミュラーならば・・・80分頃中村のワンタッチパスを受けたのがアンリならば・・・・・確実にファーへインサイドシュートを決めたことだろう。こんな妄想アホくさいがそれぐらいFWがひどい。
GL突破も得失点差を考えるとかなり厳しい。しかし最終戦はラッキーな事にヨユーでGL突破を決めたブラジル、指揮するはジーコ大好きパヘイラとザガロじいちゃん、全体が空気呼んで面子ぐらいは立ててくれるんじゃなかろうか。コンフェデも引き分けにさしてくれたし。
おいテメーハゲ、ここで最後の運を使い切れ。

アルゼンチン 6 – 0 セルビア・モンテネグロ

サビオラ・メッシ

アルゼンチンやばい。WC本戦でGAMEではなくSHOWを展開してしまった。この前のスペインもそうだが、それ以上にここまでうまくいった試合は滅多にないんじゃなかろうか。
「死のグループ」の名の通り実力伯仲同士が相対する接戦が予想される試合だったはずだ。いくらセルビアの堅守の要Famous4(安定した4バックをサッカーでは度々こう呼ぶようだ。アーセナルファンとしてはアダムス・キーオン云々でもおなじみ)のうち2枚が欠けてるとはいえ、長期で戦う予選の失点数からしても、バックアップの守備陣がザルではない。しかも情報の不足している数十年前ならいざしらず、素人でもいくらでも情報の入る現代においてだよ。
全体的に目立ったのは、セルビア守備の寄せに対して、素早いパス回しで次々にかわしていき、それに各個の個人技やフリーランニングが合わさって得点が量産されたように感じる。前半の早い内は、セルビアもまけじとパス回しで崩そうと仕掛けていたが、そういう土俵でがっぷりやると、やはり南米のテクニシャン集団に一日の長があった。
6分に早々先取点が決まり、すでに勝ち点3のアルゼンチンと勝ち点0のセルビアにはメンタル面で相当差が生じたと思う。勝つためには最低2点が必要になったセルビアをいなすように、アルゼンチンは余裕のあるパス回しを展開する。ここでキーマンとなったのがやっぱりリケルメで、パス回しの緩急を指揮し、ゲームの流れをコントロールするまさしくゲームメーカーを担っていた。かつ、マスチェラーノとカンビアッソがリケルメの補助として相手の攻撃を潰し、最終ラインも安定していた。
本大会になってようやくペケルマンの意図が少しわかったよ。原さんも指摘してたが、ソリンの馬鹿上がりを前提としているため、変則3バックを想定したサネッティ切りだったんだな。ヘタにサネッティをメンバーに入れていると格からしてスタメンにせざるを得ないし、最初からすっぱり無くすことでチーム内の不協和音を寸断するためだとしたら大したもんだ。
期待を込めてスタメン抜擢したサビオラが前半の3得点すべてを呼び込む。不慮の交代で投入したカンビアッソが流れる展開から得点。あんなシーンがWCで見られるなんて。正直感動した。
乗ってる時というのは凄いもので、後半の交代も恐ろしいぐらい当たってしまう。テベスは当初乗り切れなかったものの持ち前のフィジカルの強さでゴールをむしり取り、メッシはマラドーナの目前で異才ぶりを発揮した。初出場で1ゴール1アシストなんて、こりゃ確かに「2世」、選ばれた人間だわ。
ベストゲーム候補だな。最高だった。

スペイン 4 – 0 ウクライナ

プジョルのルーレット

残酷2。日本が天国から地獄へ急降下する残酷さなら、こちらはいきなり地獄に落とされて後はやることなすこと裏目に出る感じ。
結局ルイス・アラゴネスはホアキン/レジェスのウインガータイプではなく、ラウル/トーレスの2トップでもなく、ビジャ/L・ガルシアという直前のテストマッチで一番結果の良かった組み合わせを使ってきた。それがモロ当たったのがでかい。トーレス含めて3人とも運動量豊富でウクライナのディフェンスラインをかき乱し積極的にゴールを狙う姿勢丸出し、しかも前線からの守備もきっちりやっていたのでウクライナは攻守の切替が遅れ、お得意のシェフチェンコ頼みのカウンターに持ち込めなかった。
またリーグの気質も手伝って、全員がテクニシャンで1vs1ではまずボールを奪われない自信のあるプレイで思い切ったポゼッションが可能となり、スペインらしい速いグラウンダーワンタッチパスの応酬、実際それでウクライナのディフェンスをかわして決定機を迎えることも多く、良い面しか出なかったなあ。4点目のプジョルも熱かったね。
逆にウクライナはもうしゃーねーから後2試合で頑張るしかない。日本がオーストラリアに惨敗した翌日のメディア、サッカー解説者はほとんど(見た限りU-Turn土田以外)「気持ち切り替えて次頑張りましょう」を連呼してた。アホか。一番勝てる見込みのあったオーストラリアに惨敗し、なぜその発想いくかね。芸人なら本音を言えるが、サッカー専業の人は大人の事情でダンマリ決め込むというのが、まだまだ日本にサッカー文化は存在しないし、根付かせる意志もまだないんだなあと感じさせられるよ。
リーグ本命のスペインに惨敗したようなウクライナこそ「気持ち切り替えて次頑張る」に当てはまる。ということでがんばってね。

オーストラリア 3 – 1 日本

残酷だなあ。運命つーか天命つーか・・・。こういう試合展開も、「サッカーらしい」試合だった。
予想はあくまで予想であり、予想の段階で実力差があると考えていても、実際の試合では何が起こるかわからない。どんな試合であれ頭のどこかでそんな思いはあるし、でなければ試合を見る必要はない。
ではなぜ予想するかと言えば、単純に楽しいからだ。見るときの一定の視点にもなるし、過去からの時間のつながりも感じる。
しかし、こうも予想が当たるとせづねえ。ヒディングのヴィジョンはやっぱ明確だったよ。ケーヒルを先発させないのはおかしいなと思ってたけど、万一劣勢になった場合を考えて取っておいたんだろうなあ。で、でくのバーを投入して木偶プレイをさせてみる。日本の守備へのストレスが厳しくなる。2/3点目は消耗したディフェンスラインに対峙した、ケーヒルとアロイージの個人技・決定力だったしね。確変入った川口もこれにはお手上げか。
~運命を愚弄するのは好きでないが、日本が買った場合に考えていたコメントも書いておこう~
どんな形であれ、勝ててよかった。これもジーコの生まれ持つ強運だなあ。

アルゼンチン 2 – 1 コートジボワール

ようやく来た「ワールドカップぽい」ガチガチの熱い試合。
2ボランチの安定感・エインセアジャラの気合・やっぱりドログバすげえ・村上マラドーナなど見所多し。
一番印象に残ったのは意外や意外、アボンダンシエリだったなあ。金田さんが度々提唱している(地上波でも推す)「パントキック世界最強説」がよくわかるシーンが何度もあり痺れた。1点目はまさに、アボンダンシエリの正確さとクレスポのポストが生み出したフリーキックだったし。
今大会のボールTEAM GEISTは従来より以上に球体に近く、ゴールキーパーに不利とされているけど、アボンダンシエリにするとパントキックの正確さがより増すって事で有利な面もあるんじゃなかろうか。
コートジボワールも惜しかった。今回はアルゼンチン目線でみたけれども、コートジボワール目線で見ても身体能力の高さを堪能できるんじゃないかと思う。
このガチ勝負で勝ち点取ったのはでかい。このまま頼むぞ。

ドイツ 4 – 2 コスタリカ

オフサイド・トラップのミスで2失点。
守備範囲の広さを評価して正GKをレーマンに指名したのに、ディフェンスラインがああいうミスを本大会になっても犯すのなら全く意味がない。
本来はディフェンスラインを高くキープするため、ゴールまでのスペースを埋めるためのレーマン起用であるはずなのに、ラインがずるずる下がって楽にラストパスを供給されるのであれば、最終的な1vs1で鬼セーブが期待できるオリカーンの方が適任ではないか。レーマンが飛び出してクリアしたりするシーンあったっけ?まあこれはコスタリカの攻撃方法にも関係してるが。
それにラストパス供給を前提としたオフサイド・トラップを積極的に用いる以上、特にフリングスを中心とした中盤がそのラストパスの供給源を積極的に潰さなければならないはず。これも結果的に全体のコンパクトさが維持できなかった故の問題である。
こう見ると、オフェンスに関しては4得点と素晴らしいんだけど、全体的なディフェンスの方法が未だ確立されてないというのは、まーネタ監督らしいかな。一応優勝候補4番目に挙げてるんだから、がんばれよ。

予想まとめ

注目チームを書きながら気付いたことは、どこのチームでもなにかしら不安な点があるということ。本大会前の親善試合はナーバスになるだろうし、あまり参考にならないとは言え、マッチメイクに各国の思惑が垣間見える。
過去の実績や現在のコンディションなど少ない情報の中でなんとか予想をするので、それぞれのストロング・ポイントとウィーク・ポイントを両天秤にして、相対的な優勝候補を絞っていくようにした。そのなかで、最も不安が少ないチームがやはりブラジルだった。ウィーク・ポイントは超攻撃的布陣の弊害とも言える守備の不安なんだが、それを十分補える攻撃力が今大会のブラジルにはある。
次点はイングランド。こちらはブラジルと対照的に、バックアップも含めて守備陣が強固である反面、オーウェン・ルーニーの怪我で攻撃のストロング・ポイントを失ってしまった。もちろんジェラード・ランパードはパーフェクトなCHだが、やはりFWの替えはきかない。
でアルゼンチン。代表メンバーが発表されるまでは、正直優勝候補ナンバー1だった。が書いたとおり、人選になにか得体の知れない大人の事情を感じてしまう。しかしなんと、ここにきてメッシ復活。期待は持てる。
最後にやはり外せないのは、開催国のドイツだ。単純にチーム構成だけ見れば難しいし、最早ドイツ国民さえ見放し気味、GL突破できればそれでいいよと言ってはいるが、逆に突破したらしたでかなり盛り上がると思う。ブンデス・リーガの最近の盛況ぶり(確か観客動員総数は世界一)と、客席とピッチが近く一体感の持てる立派なスタジアム、前回大会の韓国ベスト4の要因が、審判のテンパリも含めて「ホームの雰囲気」だったことを忘れてはいけない。
◎ブラジル
○イングランド
△アルゼンチン
▲ドイツ

Group H

スペイン
ウクライナ
チュニジア
サウジアラビア
【注目チーム:スペイン】
監督 ルイス・アラゴネス

GK イケル・カシージャス
GK サンティアゴ・カニサレス
GK ホセ・レイナ
DF ミチェル・サルガド
DF デル・オルノペルニア
DF カルロス・マルチェナ
DF カルレス・プジョル
DF アントニオ・ロペス
DF セルヒオ・ラモス
DF ファニート
DF パブロ・イバニェス
MF アルベルダ
MF シャビ
MF レジェス
MF アンドレス・イニエスタ
MF シャビ・アロンソ
MF マルコス・セナ
MF ホアキン サンチェス
MF セスク・ファブレガス
FW ラウル・ゴンサレス
FW フェルナンド・トーレス
FW ルイス・ガルシア
FW ダビド・ビジャ

基本フォーメーション:4-4-2
      FWラウル(ビジャ)    FWF・トーレス
 MFレジェス                  MFルイス・ガルシア
                            (ホアキン)
      
MFアルベルダ     MFシャビ・アロンソ
    
(セスク/イニエスタ)       (チャビ)
DFペルニア                  DFミチェル・サルガド
(アントニオ・ロペス)              (セルヒオ・ラモス)
         DFマルチェナ    DFプジョル
          (パブロ)   (セルヒオ・ラモス)
            
GKカシージャス

別フォーメーション:4-3-3
          FWF・トーレス(ラウル)
 FWビジャ                  FWルイス・ガルシア
(レジェス)                    (ホアキン)

      
MFセスク      MFシャビ・アロンソ
      
(イニエスタ)     (チャビ/M・セナ)
              
MFアルベルダ
             
 (イニエスタ)
DFペルニア                  DFミチェル・サルガド
(アントニオ・ロペス)             (セルヒオ・ラモス)
         DFマルチェナ  DFプジョル
          (パブロ)  (セルヒオ・ラモス)
            
GKカシージャス

やたらと括弧書きが多いのはそれだけタレント揃いということでもあるし、組み合わせによって違った展開が期待できるということでもある。例えばレジェス/ホアキンというサイドの組み合わせならえぐってのクロスや突破が期待できるし、ビジャ/ルイス・ガルシアなら中に切り込んでフィニッシュという形が期待できる。中盤であればチャビ/セスク/シャビ・アロンソといったパスでの展開が面白味を加える組み合わせ、アルベルダ/イニエスタといった総合的に優れたプレイヤーの安定感ある組み合わせなど、なんか色々考えられてそれだけでも楽しい。
基本4-4-2でいくだろうが、中盤からの展開を重視するのであれば別フォーメーションのような4-3-3も考えられる。特に中盤ではディフェンスラインの前に一人守備専のMFを置くという、バルセロナやアーセナルが取ったようなシステムもあり得るし、中盤3枚がフラットに存在し攻撃も守備も行うというやり方もあるだろう。
優勝はやっぱ今回も難しいだろうなあ。確かに満遍なくいいプレイヤーが揃っているが、他の優勝候補に比べてこれといったスーパーなプレイヤーに欠ける部分はあるし、かといって組織力があるかというと、実質独立した地域が便宜上(地理的にピレネーでふさがれてるから)集合したに過ぎないスペインという国で強固な結束が発生するかというと謎だ。
【順位予想】
1位:スペイン
2位:ウクライナ
サウジはまず無し。アジア枠減りそう。1位はこの中ではタレント揃いのスペインで。迷うのは2位争いだが、んんーーーーー、かなり微妙。一般的には即答でウクライナかもしれんが、2004/2006アフリカネーションズカップで見せた、アフリカらしからぬ組織的なチームは魅力的であるし、ドス・サントスとジャジリは結構決定力ある。一方ウクライナはシェフチェンコ+ディナモ連中という強みはあるし、デンマーク・トルコ・ギリシャが同グループでの欧州予選トップ通過はまぐれではない。それに、個人的に俺はウクライナを強く応援したい。その理由は「ディナモ-ナチスに消されたフットボーラー」というノンフィクションを読めばよくわかると思う。
んーーーーーー迷ってウクライナで。

Group G

フランス
スイス
韓国
トーゴ
【注目チーム:フランス】 監督 レイモン・ドメネク

GK ミカエル・ランドロー
GK ファビアン・バルテズ
GK グレゴリー・クペ
DF ジャン・アラン・ブームソン
DF エリック・アビダル
DF ウィリアム・ギャラス
DF ミカエル・シルベストル
DF リリアン・テュラム
DF ガエル・ジベ
DF ウィリー・サニョル
DF パスカル・シンボンダ
MF パトリック・ヴィエラ
MF クロード・マケレレ
MF フローラン・マルダ
MF ビカシュ・ドラソー
MF ジネディーヌ・ジダン
MF アルー・ディアラ
MF フランク・リベリ
FW ジブリル・シセ
FW シルバン・ヴィルトール
FW ティエリ・アンリ
FW ルイ・サハ
FW ダビド・トレゼゲ

基本フォーメーション:4-4-2
         FWアンリ    FWトレゼゲ
                
(ヴィルトール/サハ)
             MFジダン(ドラソー)
    
MFドラソー(マルダ)
                   
MFヴィエラ
          
MFマケレレ(ディアラ)
DFアビダル                   DFサニョル
(ギャラス)
         DFギャラス  DFテュラム
        (シルベストル)
            
GKバルテズ

「引退する。 これが最終的な選択だ。」ジダンの早い決断がフランス代表に及ぼす影響は大きいだろう。「国のため」「ビッグチームでプレイしたい自分のため」など漠然とした野望に比べ、「自分が好きな、あるいは頼もしい、尊敬すべき他者のため」という思いがチームに統一されれば相当大きなモチベーションとなる。自分よりも他人(友人・家族)のために力を発揮する方がより良く作用するのは身の回りでも実感することだ。
ただこのチームを指揮するのが、ネタ監督ドメネクというのはかなり気がかりである。バルセロナで活躍したジュリが外されたことは大きく報道されたし、その他にも性格の不一致から早期にピレス・ミクーを切っている。さらにGK問題はドイツ以上に深刻だ。今シーズンリヨンで素晴らしいプレイをし続けたクペではなく、ジダンとの兼ね合いからバルテズを正GKに指名した。この二人は生年は同じであれ、現段階ではクペの方が成熟期にあるのは明らか。クペもこれには全く納得できないと言うことで、レーマンとカーンのような表面上の協力体制も出来上がっていない。これで万一バルテズが凡ミスで失点するようなことがあれば目も当てられないほど悲惨だ。
また引退試合となるジダンを含め、彼と共に長年代表を引っ張ってきたメンバーがそのままスタメンを張るというのもどうなんだろう。シーズン終盤のマケレレの落ち込み方はひどかったし、守備的なバックアップにはディアラがいるので良いとして、攻撃的なオプションにマルダ・リベリしかいないというのは質的に不安な部分だ。
優勝予想だが、最初に書いた「ジダンへの自己犠牲精神」がメンタルな後押しとなれば結構いい線行く気もする。ただし、バルテズが凡ミスして「ほら~やっぱり~」的な雰囲気が醸し出された場合、無下に崩壊する可能性もまたあるだろう。ただしアンリ・ジダン・ヴィエラと言ったタレントはブラジル等優勝候補と見劣りすることはない。案外組み合わせの妙で決勝行ったりなんかしたりして。
【順位予想】
1位:フランス
2位:韓国
グループリーグの段階でスタミナ切れを起こすことはなかろうということで、1位は順当にフランス。2位は韓国/スイスの争いになるだろうが、アドフォカート招聘後、水の合うオランダ式4-3-3が結構はまってる韓国が意外にすんなり抜けると予想した。前回大会では開幕6ヶ月前から下準備し、フィジカルで他国を圧倒してのベスト4進出という立派な成績を残しただけに、それが形骸化していないか見る機会でもある。J2時代のサンガにも在籍したパクが今やユナイテッドのスタメン。しばらくは韓国主導でも良いから、なんとかアジアの枠確保のためにも(他が期待薄だし)ここは突破してもらいたい。