VISUALBUM ★★★★★

りんご編・・・・・システムキッチン/げんこつ/古賀/「都・・・」/ミックス
バナナ編・・・・ずるずる/マイクロフィルム/む”ん/いきなりダイヤモンド/ゲッタマン
ぶどう編・・・・・診察室にて・・・/寿司/巨人殺人/荒城の月/園子

松本人志企画・演出・脚本のコント作品集。セルビデオとして発売。その背景として、「ダウンタウンのごっつええ感じ」をやっていた時、その予算的・時間的・人間的制約が元で、納得のいくコントが作れないと言うことを日頃から感じていた・・・というのがあるらしい。
「ごっつ」をやめざるを得なくなったきっかけが、放送が予定されてた日にテレビ局側が急遽プロ野球の優勝決定試合を断りもなく放送したこと、「俺らの笑いは、そんなどうでもいい野球なんぞに劣るんかい」っちゅう理由で松本ブチキレ、「ごっつええ感じ」終了。・・・人間的制約が一番の問題だろう。
後で三谷幸喜も言っていたが、ライブ的作品に必然として生ずるアドリブのボケ、仕草などをカメラが映像に納めている、これが人間的制約がないっちゅう事だろう。さらにコントに欠かせない小道具、これは笑いが好きな種類でないと演者の想いとかなり離れてしまう。これも人間的制約。
今思えば「ごっつ」の制約はあまりに大きい。一週間で1時間番組という決まり、その内容は「チームファイト」というゲームみたいなコーナー・野球・選挙シュミレート・大食い・その他一発企画もの、そしてコントである。
コントについて言えば「キャラもの」が多かった。キャラありきで、毎週毎週ボケをマイナーチェンジさせれば長持ちするし、作るのに効率的なんだろう。しかしだ、それも面白いは面白いが、一番最初の衝撃、これはもう一辺限りなんである。毎週毎週面白さは薄れていくだろう。これは時間的制約。
金銭的制約は、やっぱ予算だろうな。テレビでは「巨人殺人」なんてカネがかかりすぎて作れない。「チームファイト」は明らかにコントより安いだろう。
と、このような制約を解き放った本作、一体どうなんだろう?
本作には、いろんなタイプの笑いがある。「げんこつ」「ずるずる」「マイクロフィルム」「荒城の月」のように、思いっきり下ネタで、それが逆に全然ヤらしくない、むしろそれぐらいさらけ出されると気持ちいい。例えばずるずる。「切らんとあかんネー」「え~・・・・・チンチンを、」「そうチンチンを」是非映像で見て欲しいが、この笑いはなんだか爽快感さえある。
要は下ネタオンリで笑いを取ろうとはしていない「下ネタ4割」の笑いなのである。マイクロフィルムは出てくるモノそれ自体が笑いだし、荒城の月は字も含めたヴィジュアルとしての笑いである。
その他笑いどころや話の筋が分かり易いモノも何本かあるが(寿司など)、ここでしか見れない作品に触れたい。それは俺が思うに「システムキッチン」「古賀」「いきなりダイヤモンド」「診察室にて・・・」、この4本。
その中で、システムキッチン。一本目(りんご)の一作目がこれなんだが、挑戦状のようなコントなんである。この作品に所謂「ボケ」はない。恐らく万人が万人笑いどころが違うと思う。人によっては全然笑えないだろう。それぐらいやばい。
おすすめは上の他、「都・・・」「ゲッタマン」とかか。実は何遍も見たのはシステムキッチンとゲッタマンだったりする。「カラン」とか、毒アゲハ人間のおはぎ、衣装さん、何遍見てもおかしい。
キャラありきのコントは信用しちゃいかんぞ!!