Round-8前

残り8試合、56/64が消化されたわけだが、そのうち半分(+ちょいぐらい)は試合を見ていない。GL中は1日3試合が10日連続、4試合が4日連続、間断なくRound-16の2試合を4日連続、初日の2試合と合わせ合計19日連続で世界最高峰の試合が組まれた。やっぱねー、これやっぱ、まあヨーロッパのリーグ日程の影響が大きいんだけども、やっぱ詰めすぎ。
事前に予定を見て、GLのうち気合入れてみる試合(アルゼンチン・ブラジル・スペインの試合など)を決めて、その試合がある日は時間をずらして1試合目に見るようにしてたので、その点問題はなかったんだが、その他の「見たいけどやや優先度が落ちる試合」についての相対的な価値低下がものすごかった。だってや、これ、ワールドカップの試合だぜ。通常なら多くの試合はプレミアムな試合のはずなんだけど、それがいくつも、それも連続であるとどうしても効用は低下する。一応見つつも、なんかこう乗り切れてない時があったりして、非常にもったいなかった。これはまあ、4年に1度のお祭りとして捉えればしゃーないかな。
予想のまとめで書いた
◎ブラジル
○イングランド
△アルゼンチン
▲ドイツ
4チームともRound-8に残っているという順当さ。強豪が熱い試合で勝ってきてるから今回のワールドカップは総じて面白い。予想の時点ではRound-16のやぐらを一切考えず書いたもんで、今時点での訂正を加味して最終予想。
◎アルゼンチン
○ブラジル
イングランド
ドイツ
アルゼンチンはドイツに勝ち(勝ってくれ)、ドイツが消える。イングランドは当初の予想と比較して、リオとテリーの最終ラインでのプレイミス、GKロビンソンとの連携ミスが結構印象に残ってるのでちょっと落ち目。ブラジルは相変わらずブタがブタのままで、アドリアーノも馬力無く、カカとロナウジーニョの奮闘がかわいそうに見えてしまう。いっそフレッジ/ホビーニョに変えちゃうなんてどうだろうか。
決勝はこれまた願望込めて、ヨーロッパでのワールドカップでアルゼンチン×ブラジル、てなんかドラマ生まれそうでいいじゃないの。で、世界中の視聴者の前でソリンがキモいにやけ面でカップを掲げると。
※ようやく追いついて来たが、Round-16の試合も4つ見てないのがあるんだよなあ。でニュースとか見てるうちに結果だけ知っててせづねえ。

イタリア 1 – 0 オーストラリア

俺は、こういう勝ち方をしてしまうから、イタリアサッカーが嫌いだ。

PK前トッティ

全体的にイタリアの出来は悪かった。前半は、一発勝負のトーナメントということで、気温の高さも考慮してか古来伝統の省エネサッカー「カテナチオ」を敷いて、サイドバックがあまり上がらず、攻撃もFWの3人+ピルロだけでフィニッシュまで行く形を徹底していた。1トップのトニはでかい体格に似合ったスケールの大きさと、でかい体格に似合わない足下の確かな技術で、無理目なクロスやスルーパスも強引にシュートまで持っていってしまう。何度かもたらした決定機もシュウォーツァーの好セーブで得点できなかったが、個人の質としては非常に高い印象。展開はオーストラリアの攻勢で流れていったんだが、それもイタリアの思惑通りといった感じで、度々繰り出されるカウンターのキレが凄まじく、カテナチオのお手本のような戦いで終了。
後半、激しいプレーでおなじみのマテラッツィがおなじみレッドカードで退場した時が、終末への始まりだった。10人になったイタリアはFWとOMFを一枚ずつ残し、あとはドン引きカウンター狙い。オーストラリアは攻勢を強め後半ほとんどの時間帯流れを握っていた。ただシュートが決まらない。チャンスの芽は早めのファウルで潰される。GKブッフォンの鬼セーブ。
おや、これはこれは、毎度おなじみイタリア「ドM」サッカーではないか。
守り慣れしたイタリアと、攻めに酔ったオーストラリア、終了間際にドン引きだったサイドバックが仕掛け、しばらく守備をやっていないオーストラリアに誘うようなPK。相当のプレッシャーがかかろうが、決めるべき人がふつーに決めてしまう。
なんじゃこりゃあああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
この絶望的な負け方だけでヒディングを批判することは到底出来ない。大陸間プレーオフの高い壁を乗り越え、さらに初出場GL突破は彼の存在に依るところが大きい。
しかし、この流れに抗うことはできた。ヒディングが交代選手を次々投入することで、「90分で勝つ」というメッセージを伝えるべきだった。だが延長30分も視野に入れていたのか、結局アロイージを投入しただけで終わってしまった。いやこれは結果論ではなく、毎度おなじみのイタリアサッカーの光景を打破するため、メッセージを込めた選手交代はできたはずだ。ヒディングの采配が最後こういう形になってしまうのはある意味必然の結果であり、こんな後味悪い(イタリアファンにとっては激烈な勝ち方かもしれんが)勝利をやってしまうイタリアは強いチームだし、もう一度言うが、俺はそういうイタリアが嫌いだ。
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あんまむかついたもんで、録画しておいたデイリーハイライトを見てみると、誰か忘れたがイタリアにとって2002の韓国戦、トッティがシミュレーションで退場し敗退した、その主審がスペイン人だったということで、因縁めいたものを感じたらしい。また別なのでは(何で見たか/読んだか忘れた)リッピが先手を打って交代選手を的確に投入したのと、ヒディングの采配に迷いを感じたという、監督の心理戦に焦点を当てたものもあった。人によって見方が色々あるから面白い。

ポルトガル 1 – 0 オランダ

Round-16屈指の好カードのはずが、主審が壊した試合となった。

退場の3人

確かに両チームともフィジカルコンタクトを厭わず、危険の芽は早めに潰していくような雰囲気はあった。その背景にはこのゲームの難しさ・重要性について双方ともチームのコンセンサスがあった所以だろうし、前半のコスティーニャの累積レッドカード、60分頃のブラーリューズの累積レッドカードは妥当なジャッジングだと思う。「壊した」というのはここではない。
きっかけは70分頃、ポルトガルゴール前の混戦で負傷したリカルド・カルバーリョをピッチ外に出すため、ポルトガルのカウンターを止めるようにイワノフ主審がレフェリー・ボールとして試合を中断させた。こういう場合再開はレフェリーからのドロップボールで、守備側(この場合オランダ)が攻撃側(この場合ポルトガル)の陣地に大きく蹴り出し、攻撃側のゴールキック・安全な位置からのスローイン等でリスタートすることがマナーというか、それこそFIFAが掲げるフェア・プレイとして、暗黙のうちにそうなっている。
しかしこのシーンでは、レフェリーがドロップボールからのリスタートを徹底させず、守備側のコクーが横にパスしてそのままインプレー(オランダの攻撃)になってしまった。この直後まずデコが危険回避するように後方からのタックルでイエローカード、もめたところでスネイデル・ラフィーが立て続けにイエローカード。その後ポルトガルのプレーヤーが主審を取り囲み何か訴える様子が何度か見られた。
この裁定が引き金となり、互いのテンションの高まりが抑えられない形でラフプレーが頻発、「フェア・プレイ」の見地から主審は次々にファウル・イエローカード・累積レッドカードを出しまくり、終わってみれば9人-9人。会場内も最後までブーイングの嵐だった。
荒れた展開になってからは大味な試合ながらも、両者とも質の高い選手が揃っていてあわや得点というチャンスシーンが幾度となく作られたので試合だけ見れば面白い残り20分だったが、ジャッジに対する不信感は最後まで払拭されなかった。試合後の会見でファン・バステン/フェリペともにその点を指摘していたし、特にファン・バステンは決して負け惜しみではなく、実際に主審が試合を壊してしまったのでもう言っちゃえって感じでぶちまけたのだろう。その気持ちもわかる内容だった。
スタートからの熱さで言えば前日のアルゼンチン-メキシコに負けず劣らず、顕著に違うのはブサッカとイワノフのレフェリングの基準設定のように感じる。ヒートアップが予想される試合ではそんなに危険でないものについてはファウルを取らない(ファウルの判断基準を高めに設ける)ようにしたり、また危ないスレスレのプレーについては口頭注意を徹底したり、一旦クールダウンする間を作ったりするなどしないと、この試合のように壊れてしまうのだろう。ブサッカは流して好ゲームを演出し、イワノフは「フェア・プレイ」に則り、負けたオランダは後味の悪さ、勝ったポルトガルにしても手痛い傷(デコ・コスティーニャ・ロナウド)を負った。

アルゼンチン 2 – 1 メキシコ

ソリン

中米と南米のテクニシャン対決。
予想通り接戦となったが、最後は全体的なポゼッションで若干分のあるアルゼンチンに運が巡ってきたという感じ。
アルゼンチンはいつも通りリケルメを中心にパスワーク主体で崩しにかかったんだが、メキシコディフェンスの各個のゾーン意識がに広く、ボールホルダーに対して2~3人で囲い込もうとする。この方法は当然、囲い込みが失敗したりいともあっさり突破されたりすると必然的に数的不利な状況が色んなシーンで出来てしまい、後手後手に回るケースもあるんだが、守備に回った時の全体の守備意識が高いので、大きなサイドチェンジ(時間的余裕が生まれる)以外は致命的な突破を許すシーンはかなり少なかった。それでも、サビオラに2回・テベスに1回GKとの1vs1を作られたが、オズワルド・サンチェスが勝負強さを発揮してナイスセーブを繰り返した。このキーパーはホルヘ・カンポス以来長いことメキシコの正GKに収まってる気がするんだが、俊敏でいいGKだ。
解説の宮内さんは「サッカーをよく知っている」と言っていたが、守備に関してはそういうゾーン意識の高さと予測の的確さがそれを象徴していると感じた。なのでアルゼンチンは流れるようなパスワークを展開することができず、非常に苦戦する戦いとなった。お互い切り札を投入する70分前後ごろまでは、結果的に硬直状態であってもいつゴールが入ってもおかしくない緊迫した展開で見てるこっちもめちゃんこ熱くなる。
今回ブルディソの怪我で、右SBにはミリトでもなくコロッチーニでもなく、スカローニが起用された。これが特に前半ブレーキになったように感じる。アルゼンチンはソリン/マキシの左サイドを重視したサイドアタックが多く、右はある意味攻撃において捨てにかかってるようにも見えるんだけど、スカローニは頻繁にオーバーラップし、右からゴール前にクロスを放り込むものの精度が悪く(ゆるいクロス)簡単にカットされてしまう。むしろその裏を狙われたメキシコのカウンターが何度か見られ、実際自身のミスを取り返そうとしてイエローカードももらってしまった。次回は本来CBのミリトあたりをコンバートして使って欲しい。
展開が動き出したのはメキシコがシーニャ、アルゼンチンがテベス/メッシを投入してからだった。シーニャは中央からのドリブル突破でアルゼンチンの固いディフェンスを揺さぶるなど、アルゼンチン寄りの自分としてはうぜーことこの上なし。彼にボールが渡ると(これまたバイタルエリア付近でフリーで受けることが多いんだ)、何か起こりそうな予感が巡り気が気ではなかった。これはペケルマンが珍しく奇策を用いたというか、安定していた2ボランチのうちカンビアッソを下げて、リケルメをフリーな状態でパス出し出来るようにアイマールを投入したのも影響しているように感じた。残ったもう1枚のマスチェラーノは、そりゃもう獅子奮迅。
アルゼンチンの前2人も巧みなメキシコディフェンスを引っ掻き回すのには成功したと思う。特にメッシの動きは機敏で危険な感じはしたが、正直得点が生まれそうなにおいはしなかった。彼らはとりあえずスピードと下半身の強さでディフェンスを揺さぶるのが目的であるように見え、勝負は中盤の攻撃参加にあるように見えた。
結局決勝点はマキシの「ワールドカップぽい」ミラクルなボレーだったんだが、両チームのディフェンスの固さを考えるときっちり崩して得点を決めるというよりも、ああいう形で運を引き入れたほうが勝利するというのも妥当な結果だと思う。それに俺、なんつーかGL見ててやっぱ昔の予想通りアルゼンチンが一番好きなようだ。別にメッシやリケルメといった個人に魅了されているのではないが(ソリンには顔で魅了されてるが)、ペケルマンが作ったチームのピースのはまり具合が見ていて非常に心地いい。Jリーグ開幕からサッカーを見続けて(といってもそのうち半分はテレビの都合や住んでる地域の都合でかなり限られたソースだったが)、最初にはまった1995ベルマーレ、ヴェンゲルグランパス、博実FC東京、アーセナル、2002トルコ、そして今回のアルゼンチンと、一貫性はないが方法がはっきりしてるチームが好きなようだ。
※リアルタイムと約3日ずれている。いくら何でも詰め込みすぎだろうが。見るのを捨ててるゲームもいくつかある。あーもったいねー

日本 1 – 4 ブラジル

Group F 成績

ジーコは残された最後の運を使い切り、ただのハゲちらかしになった。前半34分、稲本のミドルレンジの横パスが運良くカットされなかったシーンがそれである。その後のサントスのノールックパス(タイミング含めて)、玉田の飛び出しとノートラップでの上角シュート、これらは個人のスキルが素晴らしく発揮されたシーンであり、ワールドカップでブラジル相手にちょっとの運と実力で得点したという点だけは、日本サッカーにとっては歴史的事項として残るのではないかと思う。
ただ運を使う時間帯が早すぎた。願わくば75分頃まで堪え忍び、このゴールが生まれていれば・・・。後はテンションと気合で可能性は残せたかもしれない。仮に2-0で勝利していたとしても、オーストラリアが自力勝ち抜けを決めていたので結果論で言うとどうでも一緒なんだが、試合前の目標設定として「2点差勝利」を掲げて、達成していれば賞賛に値する勝利だったはずだ。少なくとも充実感を得ることは出来た。
前半ロスタイムの失点は、専門家の指摘通りDFがボールウォッチャー状態で人(ブタ)を捕まえきれなかったというのが一番大きな要因だろうが、それ以前の問題点としてディフェンス組織が全く構築されていなかったという点を見逃してはいけない。日本の4バックは一般的なゾーンのラインディフェンスではなく、3バックの代替という認識で用いられている。守備の方法としてDFの4・MFの4で2ラインのゾーンを敷き、それからのプレッシングを基本とするのではなく、CBのうちどちらかは自分のゾーンに入ったFWなどのマンマークに付き、ボランチがCBのスペースをカバーするようなやり方を取っている。ブラジルのボランチでも攻撃的なジュニーニョが比較的フリーでボールを受けれたのは、ボランチの稲本がディフェンスラインに吸収されてしまうシーンが多かったからだ。ブラジルの2点目はこの影響が大きい。
また、ブラジルに易々とボールをポゼッションされ続けたのはもちろん個人のスキルの高さに起因する部分が大きいが、守備の連動がなされていない点もある。守備の寄せが単発で、パスコース限定や予測による数的優位がなされていないので、一人行ったら回され、また一人が行ったら回され・・・と、好き放題やられてしまう。
これらはジーコが守備についても自由放任を貫いたことに起因している。
本大会になっても3バック/4バックを併用していたのは高度な次元の戦術的な選択ではなく、あくまでMF(主にOMF)の枚数から逆算された選択であった。ジーコは明らかに戦術家ではないし(かといって用兵家でもないが)、自身OMF出身なので守備戦術に関してまるっきり興味ないのかもしれないが、Jリーグに所属するDFで構成される日本のディフェンスラインは、リーグ特性に合わせて3バック固定を貫いて欲しかった。あの場面、仮に中澤が守備のギャップを埋めるようにライン押し上げを敢行してポジショニングを取っていればブタは易々とオフサイドになっていた。あの失点は時間帯も含めて非常に悔やまれるもので、前半1-0なら流れからして後半凌げたかもしれないし、重要なポイントだった。
後の3点は、ブラジルという事を考えればしょうがない失点だった。これが今の日本とブラジル(出来5割)の実力差を反映している差だろうし、点差が開いてからの屈辱的なGK交代や大人と子供のボール回しなど、あの惨状に目を背けてはいけないと思う。勝つためには先制点からの流れを活かすしかなかった。それこそ「マイアミの奇跡」のように。それにメディアは大衆の興味が逸れないように必死で「2-0勝利」を掲げていたが、近い過去を振り返るとグループFではブラジルからの敗戦はオーストラリア・クロアチアともに織り込み済みだったはずだ。なので、ブラジル戦の結果も妥当であればその前段階のオーストラリア・クロアチアで結果を出せない時点で終わっていた。
終了後一人長い間倒れ込んでいる中田の姿は多くの人の印象に残ったのではなかろうか。あの時何を感じていたのか。そして、声をかけたのは日本代表の誰でもなく、試合前いくらか言葉を交わしていたロナウドだったというのも、今の日本代表チームの人間関係を象徴しているようで。このへんの裏事情というか、事後の生の声については現地取材のジャーナリストの方々のルポなんかを待ちたい。いや・・・・再三指摘されてる「ミックスゾーン取材」でそれは可能なんだろうか・・・。まあ誰かに薄い期待を持っておこう。個人的にもてきとーにジーコJAPAN総括はいつかやりたい。

アルゼンチン 0 – 0 オランダ

マラドーナとプラティニ

すでにGL勝ち抜けを決めている両者の1位/2位争い。試合開始前、マラドーナと会話するプラティニ・大会主催者ベッケンバウアー・オランダVIPクライフと、ペレ以外の「レジェンド」が集結したというのもこの試合がただの消化試合ではないことを象徴している。
アルゼンチンがリケルメを中心としたパスワーク主体の崩しに対して、オランダは両サイドからの突破を主体としたクロスからの空中戦勝負と、お互いにキャラが立ってる強豪国同士の争いは、結果的にスコアレスであれ面白い内容だった。イエローカードの兼ね合いもありお互いに1.5軍のメンバー構成だったが、それでも高いクオリティの試合を見せてくれた点がまず両者とも素晴らしい。
内容ではアルゼンチンの方が優勢だったように感じる。特に中盤でのフィフティのボールの支配権では、オランダがコクーの1ボランチに対してアルゼンチンは通常通りカンビアッソ/マスチェラーノの2ボランチと言うこともありほとんど奪取していた。さらに、オランダのパス出しに対する守備の予測も的確で、DFが積極的にパスカットを敢行しそれが成功するシーンもかなり多かった。ただそこからの速攻を安易に許さないオランダDFの素早い寄せもよかったし、さらにその囲い込みを受けても易々とボールを奪取されないアルゼンチンのテクニシャンどももすごい。消化試合でこれだけハイレベル、日本代表のしんどい顔と対照的すぎる。
ただこれはガッチガチの本気勝負とは全く違うだろう。まずオランダ、ロッペン/ジオのいない左サイドアタックは正直脅威でなかったし、スネイデルとラフィーの併用は機能せず、前半ラフィーがポジションを維持していた時間帯は存在が消えていた。後半になってFWに近いポジションを取るようになってようやく何とかなった感じだ。またその影響を受け、ファン・ボメルを外し1ボランチとなった結果は上に書いた通り。
アルゼンチンも、ソリンの代わりにクフレを左SBに配置して、悪くはないんだがソリンと比べると「ふつーのSBの動き」になっていて特徴が消える。逆にソリンもまた、アルゼンチンの攻撃のアクセントとして欠かせない存在なんだなあと認識させられた。
これで両チームともスタメンのイエローカードを消化し、悪くない体制で決勝T進出となる。アルゼンチンは順調にいくとドイツと当たる可能性があるんだが、そこさえなんとかできりゃあ、こりゃマジ優勝あるよ。

イングランド 2 – 2 スウェーデン

ボールの特性が顕著に見られたゲームだった。
ENG1点目
ジョーコールの綺麗な放物線は、従来のボールだとゴールネットの上に落ちてしまうような軌道だったが、下りのドロップが野球のフォークボールのように急激に落ちてきて入ってしまったような得点だった。あれをもし狙って蹴ってるのならすごいことだが、それまで入らずともバッチバッチミドルシュートを狙ってきた姿勢がもたらした賜物だろう。
SWE2点目
高い軌道で地面に入ってきた時のワンバウンド目が異常に高く跳ねる。キャンベルの目測誤りもあるかもしれないが、あれはとっさの判断だしGK出ないししょうがない。
開幕戦のラームやフリングスのイメージが強く、各チームとも積極的にミドル/ロングシュートを狙っている。が、このボール真芯で捉えたように見えてもゴールバーの上に逸れていったり(このパターンが一番多い)、変な変化したり面白い。
あと原さんも何度か指摘したけど、今回のマッシモ・ブサッカ主審はいいジャッジングだった。審判は存在を消すのが理想的だし、ポマードびっちりの「俺が俺が系」隆盛の昨今、熱い試合の割にカードも少なくまさに消えてたんじゃなかろうか。
オーウェンの怪我だけがかわいそうだったが、試合自体は非常に熱く見応えあるものだった。ジンクスもあるが、同点は妥当な結果だと思う。

日本 0 – 0 クロアチア

柳沢ミス後、鈴木通訳一点見つめ

オーストラリア戦に続き真昼の炎天下ということで、両チームともに動きが鈍く、判断やプレイそのもののミスが多い大味な試合だった。ワールドカップの試合/日本代表の試合、でなければ見続けることはなかっただろう。
この展開をもたらしたのは前半中頃の川口のPKセーブだったように思う。得点が入って初めてゲームは動き出すとよく言うが、まさしくそれが当てはまった。前書いたとおり個人的には安定感の楢崎の方がいいでないのと事前予想してたんだが、いやオーストラリア戦も含めて好調時の川口はすばらしい。この点は感服した。
で、前半から展開を見ていて両方とも「待ちガイル」状態、カウンターを軸としているのに展開が遅く、時間だけが過ぎる感じだった。期待を持てたのはバイタルエリア付近からのミドルシュートだけで、それに終始した展開は非常に退屈なものだった。こうなると、70分以降勝負になるだろうと半ば片手間に見てしまう。唯一期待が持てたのは、やっぱり中田だったなあ。

試合後ストレッチ

勝負の時間帯に入って、両方ともFWやOMFなど前目の選手を変えて来たんだが、その時間になってもなおミスが目立つ展開でやるせなかった。日本のFWの消極性は今に始まったことではないので別になんとも無いのだが(←これが普通になってるからヤバい)、クロアチアの攻撃もまったく噛み合ってなかったのは勝負で言えば幸いしたが、見てる側にとってはフラストレーション要因だった。
加地のクロスを受けたのがゲルトミュラーならば・・・80分頃中村のワンタッチパスを受けたのがアンリならば・・・・・確実にファーへインサイドシュートを決めたことだろう。こんな妄想アホくさいがそれぐらいFWがひどい。
GL突破も得失点差を考えるとかなり厳しい。しかし最終戦はラッキーな事にヨユーでGL突破を決めたブラジル、指揮するはジーコ大好きパヘイラとザガロじいちゃん、全体が空気呼んで面子ぐらいは立ててくれるんじゃなかろうか。コンフェデも引き分けにさしてくれたし。
おいテメーハゲ、ここで最後の運を使い切れ。

アルゼンチン 6 – 0 セルビア・モンテネグロ

サビオラ・メッシ

アルゼンチンやばい。WC本戦でGAMEではなくSHOWを展開してしまった。この前のスペインもそうだが、それ以上にここまでうまくいった試合は滅多にないんじゃなかろうか。
「死のグループ」の名の通り実力伯仲同士が相対する接戦が予想される試合だったはずだ。いくらセルビアの堅守の要Famous4(安定した4バックをサッカーでは度々こう呼ぶようだ。アーセナルファンとしてはアダムス・キーオン云々でもおなじみ)のうち2枚が欠けてるとはいえ、長期で戦う予選の失点数からしても、バックアップの守備陣がザルではない。しかも情報の不足している数十年前ならいざしらず、素人でもいくらでも情報の入る現代においてだよ。
全体的に目立ったのは、セルビア守備の寄せに対して、素早いパス回しで次々にかわしていき、それに各個の個人技やフリーランニングが合わさって得点が量産されたように感じる。前半の早い内は、セルビアもまけじとパス回しで崩そうと仕掛けていたが、そういう土俵でがっぷりやると、やはり南米のテクニシャン集団に一日の長があった。
6分に早々先取点が決まり、すでに勝ち点3のアルゼンチンと勝ち点0のセルビアにはメンタル面で相当差が生じたと思う。勝つためには最低2点が必要になったセルビアをいなすように、アルゼンチンは余裕のあるパス回しを展開する。ここでキーマンとなったのがやっぱりリケルメで、パス回しの緩急を指揮し、ゲームの流れをコントロールするまさしくゲームメーカーを担っていた。かつ、マスチェラーノとカンビアッソがリケルメの補助として相手の攻撃を潰し、最終ラインも安定していた。
本大会になってようやくペケルマンの意図が少しわかったよ。原さんも指摘してたが、ソリンの馬鹿上がりを前提としているため、変則3バックを想定したサネッティ切りだったんだな。ヘタにサネッティをメンバーに入れていると格からしてスタメンにせざるを得ないし、最初からすっぱり無くすことでチーム内の不協和音を寸断するためだとしたら大したもんだ。
期待を込めてスタメン抜擢したサビオラが前半の3得点すべてを呼び込む。不慮の交代で投入したカンビアッソが流れる展開から得点。あんなシーンがWCで見られるなんて。正直感動した。
乗ってる時というのは凄いもので、後半の交代も恐ろしいぐらい当たってしまう。テベスは当初乗り切れなかったものの持ち前のフィジカルの強さでゴールをむしり取り、メッシはマラドーナの目前で異才ぶりを発揮した。初出場で1ゴール1アシストなんて、こりゃ確かに「2世」、選ばれた人間だわ。
ベストゲーム候補だな。最高だった。

スペイン 4 – 0 ウクライナ

プジョルのルーレット

残酷2。日本が天国から地獄へ急降下する残酷さなら、こちらはいきなり地獄に落とされて後はやることなすこと裏目に出る感じ。
結局ルイス・アラゴネスはホアキン/レジェスのウインガータイプではなく、ラウル/トーレスの2トップでもなく、ビジャ/L・ガルシアという直前のテストマッチで一番結果の良かった組み合わせを使ってきた。それがモロ当たったのがでかい。トーレス含めて3人とも運動量豊富でウクライナのディフェンスラインをかき乱し積極的にゴールを狙う姿勢丸出し、しかも前線からの守備もきっちりやっていたのでウクライナは攻守の切替が遅れ、お得意のシェフチェンコ頼みのカウンターに持ち込めなかった。
またリーグの気質も手伝って、全員がテクニシャンで1vs1ではまずボールを奪われない自信のあるプレイで思い切ったポゼッションが可能となり、スペインらしい速いグラウンダーワンタッチパスの応酬、実際それでウクライナのディフェンスをかわして決定機を迎えることも多く、良い面しか出なかったなあ。4点目のプジョルも熱かったね。
逆にウクライナはもうしゃーねーから後2試合で頑張るしかない。日本がオーストラリアに惨敗した翌日のメディア、サッカー解説者はほとんど(見た限りU-Turn土田以外)「気持ち切り替えて次頑張りましょう」を連呼してた。アホか。一番勝てる見込みのあったオーストラリアに惨敗し、なぜその発想いくかね。芸人なら本音を言えるが、サッカー専業の人は大人の事情でダンマリ決め込むというのが、まだまだ日本にサッカー文化は存在しないし、根付かせる意志もまだないんだなあと感じさせられるよ。
リーグ本命のスペインに惨敗したようなウクライナこそ「気持ち切り替えて次頑張る」に当てはまる。ということでがんばってね。