慶應義塾大学通信教育課程の噂:入学時の倍率

慶應通信の近況。

今年1月試験の段階で単位は充足し、5月の卒論指導で卒論提出許可をもらったので微修正後に卒論を製本し提出した。 これで、長かった慶應通信も後は9月の卒業試験(口頭試問)のみとなった。ただせっかく在籍しているので4月・7月の科目試験を1科目ずつ受け、夏期スクーリングも1期のみ参加予定という今までどおりの通信生活をしている。

というわけで、先日最後の科目試験を受けてきたわけだが、その際に久々に大学図書館で調べ物をした。元々は、2004年に慶應が実施した大学点検・評価に関する資料を見たかった(Web上にある情報では、通信に関する情報も多少あったので、さらに詳しい資料があればと思っていた)のだが、目に付いたのは「慶應義塾年鑑」という資料。この資料、慶應に関するさまざまな統計が載っていて、以前卒業率を算出しようとしたときにもお世話になったものだ。最新の2008年度版があったのでぱらぱらめくってみると、「入学試験」の項目に通信教育課程の欄が。以前見たときは、欄があったとしても合格者数と入学者数しか記載されておらず、あまり意味のないものだったのだが、この2008年版では志願者数からきちんと書いてある。あれっと思って直近数年間の年鑑を見直したところ、どうやら2006年あたりから徐々に載せるようになってきたようだ。これまで入学時の倍率は一切非公開とされてきたが、この資料に当たれば多少は状況がわかるかもしれないと思い、早速メモを取ってきた。

以下の表が「慶應義塾年鑑」記載の通信教育課程の入試状況である。年度によっては「合格者数」や「手続者数・完了者」といった項目にも数値が入っていたが、「合格者数」は「入学許可者数」と同一、「手続者数・完了者」は「入学者数」と同一だったため省略した。なお、「実質倍率」は「受験者数/入学許可者数」であり(年鑑での定義)、「志願者数」と「受験者数」の数値が異なるのは、「通信教育については、入学許可前後に志願を取り消した者を、便宜的に、入学許可前に志願を取り消した(志願者数-受験者数)とみなして掲載。」というためだそうだ(年鑑に注が記載)。また、2007年4月については入学者数の記載しかなかったため除外している。ついでに書くと、年度単位での各部の入学定員は、文学部:3000人、経済学部:4000人、法学部:2000人であるが、志願者数を見ていただければわかるとおり、あまり意味のある数値ではない。

文学部 志願者数 受験者数 入学許可者数 入学者数 実質倍率
2006年4月 450 444 391 391 1.1
2006年10月 248 248 220 220 1.1
2007年4月
2007年10月 311 309 269 261 1.1
2008年4月 608 603 512 494 1.2
2008年10月 326 325 296 280 1.1
2009年4月 567 561 529 512 1.1
           
経済学部 志願者数 受験者数 入学許可者数 入学者数 実質倍率
2006年4月 341 337 285 285 1.2
2006年10月 191 191 167 167 1.1
2007年4月
2007年10月 262 261 239 237 1.1
2008年4月 481 479 423 404 1.1
2008年10月 258 257 223 215 1.2
2009年4月 507 503 443 422 1.1
           
法学部 志願者数 受験者数 入学許可者数 入学者数 実質倍率
2006年4月 353 346 226 226 1.5
2006年10月 171 170 117 117 1.5
2007年4月
2007年10月 247 243 164 157 1.5
2008年4月 421 417 315 304 1.3
2008年10月 215 215 173 168 1.2
2009年4月 398 397 320 307 1.2

 

どうだろうか。やはり噂どおり入学者を絞っていたのかと驚かれる方、あれ?倍率ってこの程度なの?と肩透かしを食らった感でいる方、それぞれだろうか。個人的には、原則全員入学できるものとされている大学通信教育の中で、志願者の一割が入学できないというのは、書類選考しかしていないことも考えるとかなり厳しいと感じた。特に法学部は厳しいようで、2006年の1.5倍という倍率だと志願者の1/3は入学不許可だったということになる。1.1~1.5という数値だけを見るとたいしたことがないように感じるが、上述したようにどれくらいの人が落ちるのかを考えると結構厳しいことがわかるだろう。

一瞬、これは書類不備で不許可になった人も含むのかな、とも考えたのだが、書類不備の場合、普通に考えると志願不受理で志願者数にすら入らないだろう。そのため、この倍率は純粋に選考によるものだと筆者は考えている。ちょうど昨日届いた「ニューズレター慶應通信」特別号に掲載されていた、通信教育課程入学式での清家塾長の挨拶の中にも「入学の審査をきっちりと行い」という文言があったので、ちゃんと選考しているのだろう。恐ろしいことだ。

というわけで、入学を考えている人に多少は役に立つ記事だっただろうか。もちろん、過去記事でも触れたように、卒業は入学と比べ物にならないくらい難しいので、入学を考えている方はその辺も考慮に入れていただければ。では。

「慶應義塾大学通信教育課程の噂:入学時の倍率」への6件のフィードバック

  1. >Kou-shiさん
    面白いデータを拝見させていただき、ありがとうございます。

    >2006年の1.5倍という倍率だと志願者の1/3は入学不許可だったということになる。

    確かにこれって、凄いですよね。
    お金だけ、ふんだくって、ふるい落とす作戦もできたでしょうにね。
    (そもそもの入学者を絞り込むレポート遅延の裁判沙汰になった経緯も、やった人物も知っておりますが)

    1. キャパシティの問題でここまで絞らざるを得なかったのか、
      書類選考の段階で「この人はついていけないだろう」と判断された人がこれだけいたのか、
      そこはわかりませんが、学費目当てで安易に受け入たりしないのは慶應の良心なのでしょう。
      レポート遅延訴訟は顛末がWeb上に公開されていましたね。
      訴訟の結果、リソースの増強(採点担当の増員)か規模の縮小か(入学者数の絞り込み)を
      迫られて、規模の縮小を選んだところに、慶應における通信教育部の苦しい立場を
      垣間見るような気がします。

  2. 貴重な情報ありがとうございます。志願者自体が定員割れしているにもかかわらず、全入でないところに、慶應義塾の良心をかんじます。明らかに、この志願者は、うちの教育に堪えられないだろうと判断したわけですね。

  3. 一番重要なのは「志願理由書」な印象です。
    トンチンカンな事を書くとダメでしょう。ここで、しっかりした意思のあるコメント書ければ
    大丈夫と思います。
    また、書類不備では落ちません。私も不備があったのですが、ちゃんと連絡が来て、書類揃えて提出し、合格しました。

  4. 慶應通信を受けるにあたり、色々なサイトを見ていたらたどり着いたのがこちらのサイトでした。元々慶應通信は全入ではない、とは聞いていたのですがこの数字を見て、安堵と不安どちらもありました。例えば慶應大(通学課程)は学部の差あれど倍率4~6倍くらい。私はその中を挑戦してきたのでこの数字ならよほどのことが無ければ、と思うと同時に、高校入試でこのくらいの倍率で落ちた事がありました。

    だから気を引き締め、他の方のサイトもまわり、ありとあらゆる情報を得うる限り得て書類、志望理由書を書きました。
    書類は、はんこの二重線での押し間違い訂正の方法は無効と知って青ざめました。
    押印とあるけど捺印とふつうの印鑑と何が違うのか?でも書かれているのは同一では駄目。同一ではないのは私と保護者には捺印しかない。
    などと、たぶん社会人の方からすれば笑いごとを、私はこの書類を通して色々知りました。

    ところでツイッターを見ている限り、落ちた、というツイートは見ませんでした。
    まあ落ちていたらツイートする気力なんかないとも納得しますが。
    でも、受かった、ついうツイートもこのツイッター社会で(今でこそ自重する人が増えたにせよ)あまり多くなかったように感じます。
    上の方も仰っている通り、志望理由書が全て、と言っても過言ではないかと思います。

    最後に。
    慶應通信の合格を頂きました。
    それもこのサイトあってのものと感謝しています。
    サイトを運営している方へ、貴重な情報ありがとうございました。

  5. 通学課程浪人の間、通信に在籍してというのはNG。卒業の意志がない志望理由は不合格になります。事務局の職員の方から指摘されました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA