麻薬密売組織とそれを取り締まる機関、現場で動く捜査官たちの麻薬大戦争。
「麻薬捜査機関のトップとそのヤク中の娘」「現場で動く捜査官」「ヤク密売人のダンナをパクられた若奥様」「メキシコの麻薬取締官」、だいたいこの4者くらいが場面場面で次々に切り替わり、互いが互いに直接・間接的に影響しあうという、結構入り組んだ作りになっている。そしてそれがそのまんま麻薬取引の複雑さを表してると思う。
実際やったこともないし、また一切やりたいと思ったこともないしやるつもりもないので、無理矢理強要される以外これからもやることはないであろうが、麻薬というもんはそんなに気持ちいいもんなんですか。中毒性という意味では煙草とよく似ていると思うが、まあ本作でもそれが皮肉かどうだか煙草をふかすシーンがこれ見よがしによく登場し、なんか思わせぶりな感じなんだけれども、煙草と決定的に違う点、それはまず麻薬は個人の破壊的な死の原因になりうるという点、それから多くが非合法であるゆえに非合法組織の資金源となりうる点、この個人の死に関わるミクロの視点、そして麻薬組織というマクロの視点、この二つが互い違いに絡み合ってるのが本作を面白くしているポイントだろう。
つまり、麻薬を中心とした人間や組織の心理ゲームのようなもので、特にあの若奥様やデルトロなんかが凄くいいんだけども、個人レベルでの駆け引きやタマの取り合い、組織レベルでの勢力争いや摘発なんかがこう、まさしく戦争なんですね。局面での事柄がそのまま戦全体に関わっているという。それがアメリカ社会に根付いている(だって若者の4分の1がやってるらしいし、俺がアメリカに行った時、こりゃヤク中であろうと思われる女が道で寝てるのを数人見たし。そういやあいつもナッシュビルの小学校で注射器がいっぱい転がってたとか言ってたしなぁ。)麻薬だけに、やけにリアルであるし、またデルトロあたりの映し方がなんかドキュメンタリーぽくていい味だしてる。
というわけで、いわゆる戦争を題材にした戦争映画よりも一般の生活レベルに及んでいるという意味でよっぽど戦争戦争している戦争映画であるし、かなりエキサイティングな物語です。ただこれが当事国であるアメリカに住んでいたらまたかなり違った受け止め方、もっとセンセーショナルな映画だったであろうという点で、日本に住んでいる自分に対して-1。
実録 安藤組 ★★★☆☆
財界人になめられて、だまってられない安藤組のみなさんが色々やらかす話。
主演、安藤昇。この人実録という通り、実際の安藤組(元)の組長でその後に東宝の安藤組シリーズであたりまえのように主役を張ってしまったという、ものすげぇ人です。だって辰ちゃん・文太兄ぃと競演し、夢の3大スターとかいわれてるし。半端なことやってなければ、ヤクザ→スターという方向もありえると。
で、本作はおそらく実際にあった事件をもとに再現というか、まんまというか、安藤組長の思いの丈が詰まっているような感じであります。というのも法の下に反社会的集団であるとされているヤクザという組織が、法でなく漢としてのメンツやなんやに基づいて行動した結果がこうであると、あくまで我々は国家権力という強きを助け弱きを挫く馬鹿者どもにいっちょう一泡ふかせてやるヒーローでありますのですともいわんばかりの画面構成になっている。
たしかに警察組織というのはクソの塊ではある(警察官それぞれの人格を言っているのではない)が、それ以上にクソの塊であるのが反社会集団なわけで、たとえば局部で見るなら警察も彼らも鉄砲を持ってはいるけども、ポリはこっちに対してまず撃ってこないが、彼らはむしろ有利な状況にもっていくツールとして積極的に使ってくるのであり、また200円ぐらいで仕入れたビールを10万円で売ってしまうという、まさしく反社会的な行為をしてしまうわけで、さらに集団で計画的に窃盗したり、ヤクを売ってしまったり、つまるところこういうことをやってしまうから、同じクソでもその抑止力としてポリ公の方がまだましであると。その点安藤組というのは「カタギ」と「スジモノ」をきっちり分けているという律儀なところがありますが、結局その判断基準は安藤御大のさじ加減一つであるという、法の下の平等ならぬ「俺の下の平等」的思考プロセスが横たわってるところが怖いです。
なので、この安藤御大の行動規範によりかかれたならば、それはそれでヒーロー像を見る、まさしく当時のヤクザ映画の王道を見る気分で熱中するのだろうが、殊このような線引きをされたとあっちゃあ、かなりゆるゆるな線引きがなされたままで事が進んでいくという感覚を覚える場合もあるのです。というかオレの場合がまさしくそれ。
ストーリー自体は安藤組を魅せるように作ってあるのでなかなかおもしろく見れたのだが、底辺に横たわる思考プロセスがまったく滅茶苦茶に感じられたのであまりのれなかった。でもまあ、ふつうに見る分にはおもろいんでないの。
ショコラ ★★★★★
フランスの片田舎の街に二人の親子がやってきてチョコレート屋さんを開いた。それを快く思わない村長と彼女らの対決!
話の流れはヒューマン映画にたびたび見られるような、旧態依然の秩序の下で暮らしている人々の所に、ある日突然新参者がやってきて、最初は周りの人々もついていけなかったけれども次第にその人に惹かれてついには再秩序化されてしまうという、ヒューマンドラマの王道的作品です。創造的破壊ってやつ。
でこういうシュンペーター系ヒューマンドラマの場合よくあるのが、その創造的破壊者があまりに突拍子も無い奴であるとか、いちいちちょっかい出したりやけに陽気であったり、そりゃもう「破壊するぜワシは」というオーラパワーがビンビンに出てるという設定が多いのだけども、こういうのは見ていて逆に引いてしまうものです。というか、実際にそんなのありえんやろうがとなる。一つ例を挙げるならば、最近見た中ではそうだな、今思いついたのでライフ・イズ・ビューティフルとかです。あれなんかまさしく。
しかし本作では、破壊者が秩序をぶっ壊すというよりも、秩序の方が破壊されるのを恐れてあれこれ行動するという描かれ方であるから、チョコレート屋の女将に人々が惹かれていく様というのも自然であるし、見ていて純粋にとても楽しかった。
そして最後にがっつり語られてしまったのだが、本作がヒューマンドラマという体裁を借りて古くから存在し今でもありうるという普遍的な観念をテーマにしているというのが、おもしろく魅せる決め手となっているように思われる。それは前に書いた異質なものを受け入れるということ。物理的にではなく、再秩序化するための破壊。これは現代社会でもいろんなとこで、政治にも当てはまるであろうし、官僚組織なんかにもあてはまること。
まあたまたまこういう風に感じてしまったので、難しいような話になってしまったが、別になんも考えずダラーっと見るにも入り込めるようないい映画だと思います。
愛のコリーダ ★★★★☆
アベサダ。
なにぶん直接的な表現をする方が適切である場合が多く、ただそれにつけピンポイントで不愉快である方もいらっしゃるでしょうから、伏字を多用します。意志を介在させときゃいいでしょう。
えーーーと、アベサダ事件。テレビか何かで見たにしろどこかで聞いたにしろ、知っている人も多いと思うけど一応簡単に補足しておくと、昭和10年頃阿部定という人が愛人を殺してそのちんちんをちょん切ってしまったという、当時にしても仮に今の事件であってもかなり衝撃でかい事件です。さらにその続きがあって、数日後に彼女は逮捕されるわけであるが、そのときの表情が恍惚の表情を浮かべていたという・・・。実際テレビで当時の写真を見たことがあるが、確かに恍惚ってた。
本作はその事件を題材にしたっちゅうか、まんまなんです。それ以上にいろいろな事柄がまんまなんです。まず本作はそのほとんどが結合シーンの連なりで描かれているわけであるが、それが「やってるふり」じゃなくて「マジでやってる」てのが一つ。そして主演である藤竜也のちんちんには一応ボカシがいれられているもののそのおおよそは想像がつき、でなぜかサオにはボカシあるにもかかわらず、キャンタマふぐりは丸出しという不可解っぷり、さらに定とか舞妓のほうの万個はもうそら、まるみえっていうか、まるみえ。
で、以上のような特異部分はまあよしとして内容をきちんと見てみると、これはかなり見応えがある。まあまず普通の成人男子であれば、ちんちんは吉のように勃起しっぱなしであろうし、その結合云々よりもシチュエーションでやられている感じでエロいのです。ラストにかかる盛り上がりもよくわかるし、定が行き着いたところはおそらく自分自身にはないであろうけれども、否応なしに客観的には見れない、定と吉の語り合いをうまく最後のところで描いていると思う。そらまぁ、ちんちんぶった切ってもアリなんじゃないかと。それが彼の本望であるし、彼女の想いであると考えるのが自然なのでしょう。
あとこれは全然関係ないですが、どうも見てる最中に気になったところが、本作と単体系AVとの違いはなんなのだろうかと。単体系って大体どうしようもないドラマがあるでしょう。加藤鷹が先生役でAV女優がその生徒役とか。そこんとこが、フランス人も大絶賛した「芸術性」とかいうやつなんだろうか。
クンドゥン ★★★★☆
ダライラマ14世の話。
まずストーリー云々の前に、学校の世界史ではかなり軽視される、今生きている我々にもリアルタイムで関わっているであろう現代の歴史をこういう映画を通してリマインドする意味というのは大きい。自分が行ってた高校の世界史の教師がかなりイカレた野郎で、二日酔いで酔っぱらって授業してるような奴だったので、最後の方は時間が足りなくなりかなり適当にやられてしまった。なので現代史ほど授業で習うというより本やニュースで知った印象がある。
で、本作はそのダライラマ14世がチベット仏教の慣習通り見いだされ即位した後、中国の理不尽でインドに亡命するまでの話である。おそらく今なおインドに亡命したままだったと思うが、今までの中国、国際社会からすれば経済的にも中級でただ国土がだだっ広く人が多いヤリマン大国の中国から、いよいよ経済立国を目指している現代の中国へと変貌するにあたって、そろそろ台湾とこのチベットの問題が大きくなる時が来るだろう。
つまりどこがいけないかというと、たぶん中世とかならば中国の行為は単なる領土拡大行為、正当なる戦争行為だったと思うが、現代のようにマスコミが発達した国際社会のコンセンサス、大義名分がなければそういうことは許されないという大昔との違い、そして明らかにWWIIの終結のどさくさに紛れてやっちゃったこと、このへんは日本の北方領土とも似ているが、本編でもあるように実際にチベットに攻め込まれボスが亡命するほどのことだからこちらの方がでかい。
そしてまたその亡命シーンがうまいこと作ってあり、なんというかたぶんダライラマも抱いたであろう観念的なリアルさが感じられるというのがいい。美しく見せすぎということもなく、逆にそれがストレートにさらっと入ってくるような感覚で、このリアルさは凄いと思う。
それ以上に、冒頭にも書いたとおり現代の今起こっている歴史的事実を振り返るという意味でまず見る価値がある。いい映画だと思います。
みんなのいえ ★★★☆☆
作家夫婦が家を建てる話。
まず全体の感想として映画を見ている気はしなかった。そこらへんのテレビの2時間ドラマを見ている感じ。この映画とテレビドラマの線引きを説明するのは難しいような、見る側の感覚なんだけれども、例えば自分の場合テレビで放映されている映画はまず見ない。CMによって寸断されるから。そういう意味では本作の途中にCMが入っていても特に気にならないと思うので、それくらい画面に引きつけられるものがなかったから、そのへんが線引き。
あと配役がきつかった。★★★の大部分は邦衛が支えている。これまで北の国からとか青大将とかで見せた彼の新作を見れた心地がそうさせるのだろう。例えるなら、サバイバル1-6巻が完結した20年後くらいにサバイバル番外編が出版されて、その内容如何にかかわらず評価は高値安定すると。
要するに、パッとせんのです。コメディというわりに全然笑えないし、新旧職人の葛藤もありがちなまとまり方、こぢんまりとしているのがかわいらしいというか、そう、パッとしない。
ひとごろし ★★★★☆
臆病者の侍が、武芸で名をなしている浪人に上意討ち。その作戦が「ひ・と・ご・ろ・し~」
かなり久しぶりにテレビで放映されていた映画を積極的に見た。というのも本作の存在すら今の今まで知らず、しかも松田優作主演だったのでまあしょうがねぇかなと。これから見れるかどうかわからないし。
松田優作作品というのもなにが基点になるかはわからないけれども、確実に以前と以後があるわけで、例えば代表作人間の証明、遊戯シリーズ3つ、蘇る金狼、野獣死すべし、家族ゲーム、探偵物語、ア・ホーマンス、ブラックレイン、あきらかにアクション俳優としてのヒーロー像と、その後のなんでも味が出る松田優作という存在のようなもの、そういう意味では本作は後者に位置する作品であるし、少しコメディチックな面白い映画もOKであると。
なにがどういうふうにおもろいのかというと、まず優作が「ひ・と・ご・ろ・しぃー」と叫ぶシーンがいっぱいあるんだけど、これだけでおなかいっぱいになれる。だっておもろいんだもん。いやもちろん、本作になにがしかの特徴のある独特な雰囲気の斬新な映画かというと決してそうではなく、それゆえ後世に残っていないのだけども、単純な「おはなし」としておもしろかった。ただ、それだけ。
仁義なき戦い 頂上決戦 ★★★★☆
広能組となんだっけか・・・、なんとか組の戦い 其の四。
やくざ映画と言えば仁義ですね。最近のやくざ映画とは違い、まずやくざ群像劇であるということでストーリーが見応えあるというのがよろしい。最近のは例えば、竹内力先生とか小沢仁志とか清水健太郎とか、とりあえずアイドルありきのやくざ映画ばっかりで、そのアイドルの視点で描かれアイドルがすべて正義であるというのが自分にとっていわゆるやくざ映画を敬遠する大きな理由であるが、このへんは趣向の問題だな。だってかっこよくないんだもん。清水健太郎のあのもみあげどうにかしてほしい。
その点、文太兄ぃの一言一言は重みが違う。広島弁で「シゴウしたれや」「~~じゃけぇのう」とか言われるとそれだけでノックアウトされます。もちろん準主役の達ちゃんとか旭とか、そのほかにも今では名の知れた役者でもその当時はコワッパであった、黒沢年男とか小林年待、そして青大将=邦衛!邦衛さえ出てればすべてがOK!邦衛最高!
ただ難点が、冒頭にそれまでのあらすじのようなことがバーっと述べられるのだけども、もちろん前作までをきちんと見ていればそれはそれで確認のためにいいんだが、当方いきなりパート4から見てしまったので互いの関係を把握するのに手間取った。結構わかりにくいのでこれはパート1から素直に見るのをおすすめします。
スーパーマリオ マイナス面への道
ややこしいことはまったくない。少しコツをつかめればすぐであります。舞台は1-2。前提としてファイアマリオで1-1をクリアする方がいい。方法は、簡単に言えばマリオ(キャラ)の軸ずらしです。
1-2の道中で、マリオの画面に対する中心軸を少しずつ右にずらし、最後のワープゾーン(通常なら2-1、3-1、4-1に通ずる)からマイナス面へ行くのが基本。
具体的には、道中にあるブロックを使って軸をずらすのだが、まず頭上のブロックに対してマリオを半身の状態にする。そしてジャンプするとマリオが少し右にずれるはず。これをラストのワープゾーンまで可能な限り繰り返して、軸をどんどんずらす。最終的には、タイム表示の部分近くまでマリオが進んでいる必要があります。
***
*** ←ブロック
***
↑
ジ +++
ャ +++
ン +++ ←マリオ
プ +++
! +++
これが
***
***
***
+++
+++
+++ ←マリオ
+++
+++
こうなる。
肝心なのは左に移動しないこと!これをやるとそれまで軸をずらしたのが無駄になってしまう。これは気をつけよう。
バンゲリングベイ
プレイヤーはヘリコプターを操り、巨大なバンゲリング帝国を攻撃する。ヘリコプターの武器は通常攻撃であるバルカン砲と、工場および戦艦への攻撃に使用する爆撃用の爆弾の二つ。帝国内にある6つの工場を爆撃し、すべて破壊すると面クリア。その際ヘリコプターに対しては哨戒挺・戦車、高射砲や戦闘機、戦艦が工場を爆撃させまいと、とんでもなくえげつない攻撃をしかけてくる。ダメージ累計が100以上になるとヘリコプターは撃沈して一機減るが、この際落ちゆく機体を工場などにぶつける玉砕アタックも可能である。。
さらにもう一つの要素として、自機ヘリコプターの旗艦に対しては敵の爆撃機(常に二対)が爆撃で沈めよう(SUNK!)とするので、これを阻止するためALERTが鳴るたびに旗艦を助けに向かうという、攻撃だけでなく防御の意識も求められる。
ヘリコプターは旗艦に停泊すると爆弾が補給でき(最大9)、さらにダメージを回復できる。旗艦が破壊されてもそれでゲームオーバーではないが、これがSUNKされてしまうとヘリが帰る場所がなくなるのでほぼ終わりと言える。
つまり全体の流れとしては、ヘリコプターで工場を爆撃しつつ、爆弾がなくなったりダメージを喰らうと旗艦で補給しつつ、旗艦に攻撃があれば一目散に助けに行くという、正直やること多いし時間かかる。
発売当時、本作と「ボンバーマン」と「チャンピオンシップ・ロードランナー」が「バンゲリング三部作」という位置付けでいずれもハドソンから発売され、バンゲリング帝国の外での攻防が「バンゲリングベイ」、中が「チャンピオンシップ・ロードランナー」、そのロードランナーの敵は「ボンバーマン」で、自身はボンバーマンの生まれ変わりだった気がする。こんな感じのことが当時のコロコロコミックの中の、「ファミコンロッキー」でなんやらやってたような・・・。名人以前にも、ハドソンはコロコロをうまいこと使っていたんですねぇ。
しかししかし、これはおそらく全国規模で「バンゲリングベイ=キング・オブ・クソゲー」という認識がなされているのである。その証拠に当方が所持するファミコンソフト最安値は、本作と燃えプロの10円。それは子供時分に本作をプレイした場合、おそらく「なにをやればいいかさっぱりわからん」、子供は当然説明書なんて読みませんから、こんなやることが多く戦略性の高い、しかも超絶な難易度であるバンゲなんぞ、敵をどんどん倒していると勝手にボスにたどり着きそれをやっつけるとゲームクリアという、いわゆる普通のシューティングゲームとは一線を画するシューティングだったのでクソゲーの烙印を押されているのだろう。このへんはナムコの「スターラスター」も同じだと思う。
自分は運のいいことにこれらを定価で購入することはなかったが、焼鳥屋のせがれのH君がたしか、バンゲとスターラスターを同時に所持してて、当然定価で買ってて、おそらく当時小学生なもんだからH君の家で平気で「つまらんやっか」(方言です)とか「いっちょんおもしろうなかぞ」(方言です)とか罵倒しまくってたことだろう。それはバンゲやスターラスターと言うより、それを選んだH君自身に向けられるものだから、キツイ話ですね。
リアルタイム戦略シューティングと呼ばれているように、本作は単純なシューティングではない。スーマリと同じように、バンゲリングベイであることそれ自体が特徴であるとも言える。
ひとつひとつ見ていくと、まずはその操作性。これが一番の取っつきにくさなんじゃなかろうか。ヘリコプターを操縦するので至極当然のことではあるが、まずバルカン兼用のAボタンでホバリング、あとは進みたい方向に十字キーを入力するとその方向に動くという、8方向の操作系の設計が当時はまったく受け入れられなかった。
つまり、直進していて止まりたい時は、進行方向と逆方向にキーを入れて、ホバリング状態にせねばならない。これが結構微妙な操作を要求され、レスポンスのいいコントローラーでないと微妙なヘリ操縦が難しい。これほんと難しいのよ。さらにダメージを喰らうとその分操作性が悪くなるときたもんだ。
次に、工場は時間とともに耐久性を増していくので、どの工場から破壊して、どういう経路で攻めるかを考えなければならない。バンゲリング帝国の工場配置は面が進んでも全く変わらないが、工場周りの高射砲とかレーダーが呼ぶ戦闘機なんかがどんどんどんどん増えていくので、とにかくスピード攻略が要求される。そうなるとかなり繊細なホバリングが要求され、最終的には移動しながら爆撃せねばならなくなるので、面が進むにつれて工場爆撃の能率は落ち、それとともにプレイヤーの精神状態も崩壊寸前、体力や精神力を吸い取る、これぞゲーマーへの挑戦状、漢のゲームである。
あとおもしろ要素として、シューティングのくせに二人対戦プレイが可能であったということ。どうやるのかというと、まず1P側は通常通り、そして2P側はバンゲリング帝国を指揮することになる。たしか、2Pのマイクで「ハドソン!」と絶叫するとヘリコプターの周りに戦闘機が集まってきたような・・・・。たしか当時のCMが「ハドソン!って絶叫しろ」みたいなCMだったような・・・。この場合、絶叫ワードは当然「ハドソン!」に限定される。
1.工場の爆撃順序
まずはMSペイントでテキトーに書いた、バンゲリング帝国の全体図とその爆撃経路を見てください。スタート地点から考えて、また時間とともに増す爆撃回数から考えて、まずはスタートから右の補給所がある2カ所→そしてその下の1カ所→その右の1カ所→旗艦にもどり左の2カ所、こういう順序で攻めるのがいいような悪いような・・・。
1面限定の話ではあるが、まず(1)を爆弾7-8発で破壊し、上にある補給所で補給、そして(2)を9-10発で(できれば一回がいいので9発)破壊、また補給所で破壊して(3)に向かう、たぶんこの辺で最初のALERTがあると思うので(3)を爆撃後旗艦の救援、そして旗艦で補給して(4)の爆撃、あとの(5)と(6)はそのときの旗艦の場所により変えるとよい。
面が進むにつれて、かなり敵の攻撃がえげつなくなるが、順序はこれ固定でいいと思う。
2.敵の対処
以下のことは、「テキトーでなく高い確率でピンポイントでバルカン砲を敵に打ち込める」、これが前提。
1.哨戒挺・戦車
1・2面は全く無視してよいが、3面以降のランダムダメージが1から10に大幅アップ。こうなると無視できない存在になる。ヘタするとランダムダメージだけで50ぐらいいってしまう。なので、3面以降はなるべく倒すか、できるだけ避けて移動するのがいい。
2.レーダー
ある意味最強の敵。画面上で少しでも発見されると、とくに後半戦になるとそれだけで戦闘機が5-6体やってくるという、これに見つかるか否かで爆撃の能率が全く異なる。できることなら大体の場所を覚えて、避けて移動するべきだがなかなかそうもいかないので見つけられ次第破壊。これしかない。
3.高射砲
1面は工場爆撃の前に周りのをピンポイントで破壊するだけでいいが、2面以降は誘導ミサイルを撃ってきやがるのでなるべく避けるor迅速な掃討が必要になる。誘導ミサイルは通常とにかく方向を変えながら移動すればまず当たらない。誘導を連射することはないので、誘導ミサイルを避けている間に高射砲や戦闘機を破壊するのがベスト。
4.戦闘機
いざ爆撃しようとするとタイミング良くやってくるバカなので、これはシチュエーションによって色々異なる。まず(1)パワーが十分あり、工場破壊までまもなく(工場の点滅が止まる)の場合、これは強引に爆撃に行く。1発ぐらいは喰らっても工場破壊を優先。次に(2)パワーはあるが工場がまだ破壊しきれない場合、これは戦闘機をやっつけてから爆撃するように。めんどくさいかもしれんが、この心掛けがないとなかなか面クリアは難しい。そして(3)パワーが無いとき。これは一目散に逃げる。
5.爆撃機
ALERTが鳴った瞬間にこいつらの出現が判明する。通常はその段階で救援に向かう。これ基本。こいつらの怖いのは旗艦のSUNKだけなので、腕に自信があれば目先の工場爆撃を優先させてもいい。ただ、通常は基本通りに、ALERTが鳴ったら即旗艦救援。
6.戦艦
画面上に「WARNING」が出たとき、それは戦艦の建造に取りかかったという合図であるが、この段階で戦艦を爆撃して粉砕することもできる。ただしこれは結構めんどくさいので放置してもまあかまわない。それに、戦艦との対決はいい腕試しにもなるし。ただ戦艦が怖い理由が、誘導ミサイル以上に旗艦を発見次第それを破壊しようとする特性。この辺もスピードクリアが求められる理由でもある。
3.ヘリの動きをマスターせよ
以上のように、まずは通常爆撃に必要である、的確なピンポイントのホバリング、そして後半戦の、高射砲が壊しても壊しても復活しさらにそこに戦闘機が5体ぐらい攻撃してくる中で、それらを破壊しつつホバリング爆撃あるいは移動しながらの爆撃ができるだけの、繊細なテクニックが要求される。またそれが可能にさせるレスポンスのいいコントローラー、これも重要。
4.それでもねぇ・・・・。
今まで偉そうに書いてすいません。正直、6面までが最高。これエンディングは果たしてあるのだろうか。すごく気になる。
今までプレイしたなかで、そりゃもうファミコンだけで500本近く(初プレイ即リセット込)やってるしそのほかも当然色々やってるわけで、そんな膨大なソフトの中で私は一番おもしろいゲームを「バンゲリングベイ」であると、仮に人に聞かれたならば即答することでしょう。よっぽどの名作が現れない限り、これは揺るぎないと思う。
その理由は、つまるところその強烈なゲーム性と難易度に伴うエンドレスプレイが可能という点で、しかもまったく理不尽ゲームなんかではない、すべて撃沈されるや否やは己の腕次第という、かなり漢気溢れる姿勢がたまらんわけです。
しかしまぁ、このバンゲの漢気を気付かされたのも大人になってもう一度プレイした時なわけで、是非幼少期にトラウマっている方々ももう一度プレイして欲しいものです。
本稿を読みまして興味もたれた方は、是非こちらの「バンゲリング帝国復興計画」を訪れてみてください。そして精進あるのみ。