クンドゥン ★★★★☆

ダライラマ14世の話。
まずストーリー云々の前に、学校の世界史ではかなり軽視される、今生きている我々にもリアルタイムで関わっているであろう現代の歴史をこういう映画を通してリマインドする意味というのは大きい。自分が行ってた高校の世界史の教師がかなりイカレた野郎で、二日酔いで酔っぱらって授業してるような奴だったので、最後の方は時間が足りなくなりかなり適当にやられてしまった。なので現代史ほど授業で習うというより本やニュースで知った印象がある。
で、本作はそのダライラマ14世がチベット仏教の慣習通り見いだされ即位した後、中国の理不尽でインドに亡命するまでの話である。おそらく今なおインドに亡命したままだったと思うが、今までの中国、国際社会からすれば経済的にも中級でただ国土がだだっ広く人が多いヤリマン大国の中国から、いよいよ経済立国を目指している現代の中国へと変貌するにあたって、そろそろ台湾とこのチベットの問題が大きくなる時が来るだろう。
つまりどこがいけないかというと、たぶん中世とかならば中国の行為は単なる領土拡大行為、正当なる戦争行為だったと思うが、現代のようにマスコミが発達した国際社会のコンセンサス、大義名分がなければそういうことは許されないという大昔との違い、そして明らかにWWIIの終結のどさくさに紛れてやっちゃったこと、このへんは日本の北方領土とも似ているが、本編でもあるように実際にチベットに攻め込まれボスが亡命するほどのことだからこちらの方がでかい。
そしてまたその亡命シーンがうまいこと作ってあり、なんというかたぶんダライラマも抱いたであろう観念的なリアルさが感じられるというのがいい。美しく見せすぎということもなく、逆にそれがストレートにさらっと入ってくるような感覚で、このリアルさは凄いと思う。
それ以上に、冒頭にも書いたとおり現代の今起こっている歴史的事実を振り返るという意味でまず見る価値がある。いい映画だと思います。

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