Software Design 2014年6月号

あけましておめでとうございます。

年末年始休暇も終わり、また通常営業の日々が始まりましたな。Software Designの2014年振り返りもこの休暇でなんとか終えたので、引き続き一言コメントエントリを残していくことにする。

さて、今号は引き続き新入社員向け特集だろうか、Linuxの入門記事。著者がレッドハットの人なので内容はRHEL。仕事で使っているのも主にRHEL系なのでまあ役に立つかな。といっても入門記事だけに知識の確認程度の意味合いだが。ただRHEL7については全く別のOSと言ってもいいほど変わっているので、読む価値はある。筆者もCentOS7を使い始めているので、興味深く読めた。

で、第2特集は同じくLinuxでUbuntu 14.04の記事。個人的にはUbuntuはクライアント向けのイメージが強いが、特集もそのイメージ通り、デスクトップ環境やインプットメソッドの話が中心。最近Ubuntu使ってないなあ。Windowsタブレットあたりに入れて遊びたい。

Software Design 2014年5月号

この号から(やっと)PDFによる電子書籍の販売が始まったのでそちらに切り替え。
この時期のIT系雑誌のお約束として、おそらく新入社員向けの初心者のための記事が特集になることが多い。今号もTCP/IPの基礎講座とUNIXコマンドの話が特集。でも改めて読み返すと自分が知らなかったコマンド(の使い方)が載っていたりして、無駄に年季を重ねた使えないエンジニア(自分)にも役立つ。コマンドなんて体系的に覚えたりせずに必要に応じて調べるだけだから、便利な使い方を知らないことが多いんだよなあ。画像ファイルの加工やフォーマット変換をするconvertコマンドって初めて知った。

Software Design 2014年4月号

特集はMVCモデルの話とロードバランサの話。どちらも自分には疎い分野なのでまあまあ興味深く読める。特にロードバランサについては今後使う機会がありそうだし。データセンタに行くとよく見る「F5」の光る赤いロゴの機器。かつての常駐先でも社内向けシステムしか扱っていなかったから使ったことないんだよね。
他の記事で興味深かったのはSIMの話。こういう8割がた知っているけど2割は初耳という記事が一番読んでいて楽しい。

Software Design 2014年3月号

第1特集は「RDBとNoSQLどちらを選びますか?」。まさに筆者の本職の土俵ですな。まずしょっぱなから「データベースの漢」奥野さんのリレーショナル理論の記事。鉄板ですね。毎回db tech showcaseでお会いするけどなんとなく挨拶できないんだよなあ。あとはRDBとNoSQLの使い分けについての話が続く。これ、今特集を組んだらSQL on Hadoop関連のプロダクト(ImpalaとかPrestoとか)の話が絡んでくるんじゃないかな。

第2特集はプロキシサーバ。プロキシといえばクライアント向けの方(フォワードプロキシ)しか思い浮かばなかったけど、こっちの特集はWebサーバの前に立つリバースプロキシがメイン。ロードバランサとかもこのカテゴリらしい、って全然わかっていない人の感想みたいだけど、実際Web系の仕事をしたことなかったのでよく知らなかった。

Software Design 2014年2月号

第1特集は関数型プログラミング再入門。総論(関数型プログラミングとはなんぞや)がなくいきなり各言語の話に入るので、正直なところ理解するのが難しかった。一応Sparkをいじろうかと勉強し始めているのでλ(ラムダ)式の存在も知っていたが、そのあたりの基礎知識がないと辛いんじゃないかな。

第2特集は「2014年IT業界はどうなるのか?」。こういうのは年末に振り返って答え合わせをするという意地悪なことができるね。個人的には今年の流行プロダクト、DockerとSparkがどれだけ触れられていたのかなあと思って読んだが、残念ながらほとんど言及はなし。でも書いてあることはそれほどずれていなかったように思う。というより現実の方が若干遅いくらいか。

Software Design 2014年1月号

Software Design全バックナンバーをレビューしようと意気込み、しかし20年以上前の雑誌のレビューなんてだるいと思って中断して1年余り。気づけば今年のエントリーが一つもない!これまでなんとか毎年更新し続けてきたので途切れるわけにはいかん!というわけで、今年の正月休みは勉強を兼ねて今年のSoftware Designを読み直して感想を書くつもり。

というわけで第1回は1月号。毎年恒例(?)のお守りシールがおまけについたこの号、正確には昨年12月発売のもの。特集の一つ目はシェルの話。普段何気なく使っているけれどもあまり深く使い込んでいないので、このような基本的な特集でも興味深く読める。って永遠の初心者だな、自分は。しかし今の仕事だとお客様納品のサーバの構築とか検証用・デモ用マシンの設定がメインなので(つまり自分のアカウントを作って使うわけではないので)、そんなにカスタマイズはできないなあ。

特集の2つ目は10GBase-Tのケーブリングの話。10Gb-NICといえば、先日あったRJ45(つまり10GBase-T)のカードを入れてサーバを納品したらスイッチ側がSFP+だったという失敗を思い出した。10G以上だとケーブルは気をつけなきゃいけないね。40Gまで行くとQSFP+(InfiniBandと一緒のやつ)しかないだろうから(規格上は40GBase-Tがあるらしいけど)、間違えないだろうけど。

Software Design 1991年12月

特集は「UNIX上のスクリプト言語事始め」。内容としては正規表現の紹介の後、sed、awk、そしてperl。今でも定番の話題が並ぶ。余談だがこの記事を書いている時点の最新号(2013年9月号)の特集は「今からはじめるsed/AWK再入門」。やっていることは変わりませんな。

そのほか目についた記事はSGIが3Dグラフィックワークステーション市場で一人勝ちを収めているというもの。そうそう、SGIは当時(というか自分が知っているのはこの5年後くらいだけど)あこがれの機種だった…。懐かしい。懐かしいついでにこの記事の中でアクセントで挿入されている風景写真がマンハッタンを撮影したもの。そこに堂々とした姿をさらしているのはWTCのツインタワー。あの惨事が起きるのはちょうど10年後だ。

Software Design 1991年11月号

今号からUNIX関連をメインに扱うように誌面がリニューアルされた。特集は「UNIX上でのプログラム開発入門」。個人的に注目したいのはこの特集の中の「UNIXとデータベース」という項。UNIX上で動作する主要RDBMSとして紹介されているのが、Empress、informix、Imgres、ORACLE、SYBASE、UNIFY。うーん、自分の知らない製品がポツポツと。ORACLEが「最近急速にシェアを拡大している」として紹介されているのが新鮮に感じる。

その他、誌面リニューアルに伴って新連載もいくつか始まっている。ここで感じたのは一般的なUNIX的なOSではなく、NEXTを推す記事が多いということ。この辺り、UNIXをサーバではなくワークステーションとして利用して行こうと提案したい意向がうかがえる。それにしても、ここで紹介されているNEXTの開発環境(特にInterface Builder)が20年後にもまだ使われていて、しかもOSはOS XやiOSと名を変えて世界を制していることを考えると、ITの世界では相当昔に感じる20年前でも、確実に現在とつながっているのだなあと感慨深い。というか、そもそも現在のコンピューティング環境に直接つながるプロダクトが出てきたのがこの頃だったのか。

あとは、Javaで有名な丸山不二夫氏が稚内北星短期大学の教員として連載を始めているのが注目点か。

Software Design 1991年10月号

特集は「最新GUIプログラム開発ツール事情」。内容はタイトルそのままなのだが、興味深かったのが記事の中でOS/2に触れた一節。すでにIBMとMicrosoftとの共同開発が破綻した後の時期で、OS/2 2.0はIBMが、OS/2 3.0はMicrosoftが出すという話になっている。そのMicrosoft版OS/2 3.0の開発責任者はDECでVMSを作った人だそうな。つまりこれが後のWindows NT、つまり現在のWindowsに連なる源流となるOSとなるわけですな。

さて、この号が12号目、次が創刊1周年となるわけだが、次回予告として衝撃的な報告が。「発刊1周年にあたる次号’91年11月号より、UNIXとワークステーション関係の記事を中心にご紹介することとなりました。」
ここまで当初よりも大分UNIX寄りの記事が増えてきたが、ここで一気に方向転換を行うらしい。この誌面変更が今日まで生き残ったSD誌の第一歩となったわけだ。いったいいつごろ今の誌面に近いものになったのだろうかと思いながら読み進めていたのだが、最初の転換点はどうやらここのようだ。

Software Design 1991年9月号

特集はC++のクラスライブラリ。これだけでかなりの紙面を割いているのに当時の時代の空気を感じる。
気になった記事は海外のUNIX事情を紹介する連載で取り上げられていたSunのSPARCについて。「SunはSPARCの勝ちに会社丸ごとを賭けた」というサブタイトルがつけられている。結果、その後いったんは勝ち、そして破れていったのだなあ。まあこの記事に取り上げられているMotorolaの88000に比べれば遙かにましだが。SPARCはまだまだスパコンにも用いられる高速プロセッサとして現役だしね。
このほか、Cのデバッグの記事を当時連載していたドワンゴの川上会長(もちろん当時は起業前)が、実際に教えるCデバッギング講座のお知らせが出ていた。どんな講座だったんだろう。