警官と彼に訪問されたコカイン女、その女の親父でカリスマクイズ司会者、そのクイズ番組にでている天才少年、昔でてたけど今はバカでゲイの男、一方で死にかけた老人とその若い妻と主治医、そしてその息子は売れっ子ビンビン作家、、、という話。
↑。なんのこっちゃわからんでしょう。でもそうなんだな。この映画はこれらの人々の偶然の連なりをストーリーの主軸としている。それぞれにそれぞれのストーリーがあり、そしてそれが一応偶然という形で関連している、そういう点では最後近くまで彼ら一人一人の心情も画面で出して、非常に雑というか、当たればもうけものだけどもそれでいいんじゃねえのというような作りだった。
しかしラスト、ここでとんでもないギミックがあるんだが、これはもちろんいきなりこんなバカにしくさった展開だったので見ている側も爆笑したろうが、見終わってからすごぅく後味悪いものとなった。それまではわけがわからんながらも、一応人間の心情を描くという点でストーリーはまっとうに進行しているわけだ。それも普段何かによって遮られる感情を、一度に多くの人間が噴出させてるわけだ。心理描写としておもしろくなりがちな展開だと思う。それがいきなりギミックで寸断され、そしてまたラストのラストに心情描写に戻る。じゃああのあれの偶然のギミックはなんなの一体と、ただバカ笑いのためかと、正直そういう煮え切らない感覚になるのです。
なので話としてはぼんやりとした「雰囲気で稼ぐ」タイプの映画だと思うが、それが突き抜けきれず途中へんなおもしろを入れたのが、映画の後味で最悪な状態を招いたような。もちろんその場面はおもしろいんだけど、映画全体に対する効果は逆のマイナスだと思う。
作品自体は平均の★★★だけども、ジュリアン・ムーアが「ファック」やら「コックサッカー」「プッシー」とか汚い言葉を連呼してたのがおもしろ要素としてプラス1。
カテゴリー: 映画
スターリングラード ★★★★☆
1942年、ドイツに侵攻されたソ連軍のスターリングラードでの攻防。それに伴う各国のスナイパー同士の戦いの話。
まずおーいと言いたくなるのが、おまえら独人・露人だろうが。なんで英語話しとんのじゃと。
そこはまぁ、別に映画自体がおもしろけりゃ些末なことでないのと言われたらばそうかもしれんが、この言語というのは結構大事で、たとえば特徴的なイタリア映画やフランス映画というのはある意味それぞれの言語がもたらす影響というのがその映画全体のイメージを決定しているといってもいいほどのもので、で本作は、たとえば英語を話してるのに書いてる字はロシア語とか、もうそこがもんのすごく矛盾してるのです。これはかなり気になるし、ロシア人が「サウンズグーッド!!」なんてもう、おもいっっきり英語じゃねぇかよそれよと思うようなセリフをしゃべるので、ストーリーに入り込んだところがそこで一端途切れてしまう。これは凄くもったいない。
上のものごっつい矛盾を除いた部分では、結構おもしろい映画である。まず自分はメタルギアソリッドではできる限り狙撃で殺るのが好きだったし、ゴルゴは一巻も持っていないけど「ゴルゴ学」は持っているというほどのスナイパー好き、それにつけて本作ではスナイパー同士の緊張感ある戦いというのがとてもいい感じで、まず序盤の方でスナイパーの魅力というか狙撃を全面にだして、また最後もスナイパーの対決という構成から、後々が冗長になっても全体の印象としてはよくなるように作ってあると思う。
しかしまぁ、確かプライベートライアンもそうだったけど、この戦争映画というのの作りに冒頭が一番人殺しシーンが多いという印象がある。やはりポイントは冒頭とクライマックスの衝撃、これが見終わった後の印象を決定付けるということだろう。またそれがわかってる映画というのは観やすいし、観ていておもしろいものが多い。
ただスナイパー全開ではなく、天才スナイパーとそれを見いだした軍人、そして女の三角関係を持ち出した構成は見てて非常にハリウッドくさく、あれは正直いらんです。スナイパーの戦いが凄くいいだけに、よけいに邪魔に見える。それを差っ引いてもとても面白い映画だと思う。
太陽を盗んだ男 ★★★★★
ダメな理科教師○○は修学旅行中図らずもバスジャック事件に巻き込まれてしまう。それが触媒となったのか、突如ある考えがひらめき、それを実行してしまい、なんとうまくいってしまうというとんでもない話。
一言で言えば、沢田研二と菅原文太をオモチャにした映画。
1979年作品。これ重要。それは例えば西部警察が日産自動車をバックに付けて好き放題車やライフルでドッカンドッカンやってた時代。それがOKだった時代。そんな時代の、そんな映画です。だから今の時代にこんぐらいのテンションで作ろうと思っても色んな理由で不可能だろうし、仮にやろうとするならDOAのようにCG使ってなんとか巧みにやるしかない。正直、これを観るとDOAはなんだったのと思ってしまうよなぁ。
だって、1979年というと沢田研二はまだジュリーで「Oh!ギャル」とか歌ってるころでしょ。そしてまた文太兄ぃは仁義とかトラック野郎とか硬派なやつにばりっばりの主役ででてる頃でしょ。そう考えるとこの映画ほんと凄い。キャスティングの時点で成功してる。
当方今まで色んなハリウッドのガンアクション、カーアクションを観てきましたが、もちろんこれからも観る機会があるかと思いますが、純粋な物でこれ以上の作品というのはおそらくない。まずストーリーの概要の部分で負けるだろうし、そして本編の場面場面のインパクトの部分でも負けるだろう。それぐらいスケールの部分ではものすげぇことになっている。
しかも、そのテンションにまかせてガンガンいくだけでなく、むしろそうなるのは後半からクライマックスにかけてのことで、冒頭および太陽を作る課程は不気味な映像。いろんな感情が急に切り替わり、そのたんびにジュリーがへんな動きをしたりするから、変。
もう、観てください。これが日本のアクション映画だ。
ハンニバル ★★★☆☆
羊たちの沈黙のラストから、国外逃亡中の連続殺人犯ハンニバル・レクター。その彼に顔を剥がれた大富豪メイソンは、復讐せんと彼をおびき出すためFBIに圧力をかけ、捜査官クラリス・スターリングを10年ぶりに彼の担当に戻させた。そのころクラリスは担当する事件で多くの死者を出し、世間から非難を浴びていた。
前作「羊たちの沈黙」が1991年公開、10年ぶりの続編である。当時をプレイバックしてみるとその前年ぐらいに「氷の微笑」というサスペンスが上映されて大当たり、主演のシャロンストーンの股座が見えた見えないで中学生大はしゃぎしたもんです。そういう時にタイミングよく「羊たちの沈黙」が公開されて、またエロサスペンスかと期待してみるとなんともグロサスペンスだった、中学生大萎えという思い出がある。
で前作はレクターの手のひらで踊るクラリスという構図が絶妙でとても面白かった記憶があるのだが、本作ではあんなに狡猾で裏の裏まで見通してるかのレクター殿がナマクラ野郎に成り下がっており、あの強大なレクター先生はどこへ行ったのよと思ってしまう。
大体が捕まっちゃだめだろう。あんなあっさりと捕まってはキャラ付け台無しだ。それよりも今回はクラリス大好きレクターという位置づけが強調されたようで、もうそれはそれはクラリスにやさしい。自分の手も差し出すぐらいだ。
そして話題になってた脳味噌シーンは、グロいというよりも笑いが先に来た。あれ怖いより爆笑だろ。確かにおかしかったのだが、なんかこう全体的にひきしまってなかったです。
なので、前作を見て大好きというようならばトーンダウンしているのでお勧めできない。ただ脳味噌シーンは笑えるので見るといい。
スリーピーホロウ ★★★☆☆
1900年にさしかかろうとしている19世紀末のアメリカ。そのはずれにあるスリーピーホロウという村で連続首切り殺人事件が起きた。犯人調査に向かう捜査官某がそこで見たのは、その村の同族的閉鎖環境から生まれる怨念めいた事実だった。
一応ホラー映画のカテゴリに入ると思うが、今日日のホラー映画はどれもこれも、とりあえずCG使ってなんやら怖いのをつくっとけば客は怖がるやろう、どうせホラー映画なんて暇つぶし以外ありえんのだからねーと考えているのかどうだか、さっぱり怖くないのです。
本作の場合その首切り映像等をCGによってリアルに表現しているようだが、正直なところ怖いという前に、「ようがんばったな技術屋」という感想が漏れてしまうわけで、CGではなんの感情も生まれないというのはここ最近の通念のようです。虫は生理的にびっくりしたが。
そうなると、全体から醸し出す怖さを追求するようなストーリー重視の勝負になってくるのだけども(要するにB級映画の方法では勝負できない)、本作では犯人が結局魔女ありきのファンタジックなものだったので自分は入り込めませんでした。後半明らかになる裏の操り師にしたってなんかグダグダだったし、どうもこう、ジョニーデップmeetsC・リッチというわりになんだかパッとしてない作品でした。
ただこの全体の世界観がアリならば、結構おもしろいんじゃなかろうか。いずれにしろ自分はファンタジーというカテゴリは苦手です。
コピーキャット ★★★★☆
精神異常者の連続殺人を研究している女。彼女は一度殺されかけ、それがために外出恐怖症になっている。そして数年後、かつての連続殺人を模倣するような連続殺人が起こった。
「氷の微笑」「羊たちの沈黙」がブレイクして、後を追うように二番煎じを狙った頃の作品です。しかしこの頃の二番煎じは内容が内容だけに見応えがあった。日本でもマークスの山とかあったなぁ。あれもおもしろかった記憶がある。
で本作は、途中で犯人を明かして警察の追撃を追っていくような羊タイプの作品です。それはそれで見応えはあるんだが、どうしても都合のいいように話が進みすぎてしまって、よく言えば優等生映画、さらっと淀みなく見ることができるような映画なのだけども、それは全然くせのない、終わってからおもしろいはおもしろいけど全く感動しないような作品です。
羊の場合、犯人とクラリスの間にレクターというでけぇ悪党がいて、くせがあっておもしろいのだけども、本作は基本的に善VS悪、それもあんまりにもサクサク行き過ぎるから最後に向かってジリジリ責めるような焦燥感もないし、サスペンスと言うよりも普通のドラマを観てるようだった。なんか物足りんのよね。
しかしまぁ、全くおもしろくないというわけでもなくそこそこ観れます。オープニングの方法がいい感じだったので期待したのだけども、全体的にはふつうだった。
キャスト・アウェイ ★★★★☆
Fedexで働いているバリバリのリーマンが貨物飛行機に乗っていると墜落してしまい無人島へ。ろっ骨マニアどうしてるかなぁ。
よくよく考えるとありそでなかった「無人島」映画。題材として作りやすいし、例えば漫画「サバイバル」のようにほっといてもずんずんと展開し、まぁまぁおもしろい話が作れそうだからもっとあってもよさそうなのに、恐らくこのジャンル見るの初めてです。
でまぁ本作も同じようなもので、都会生活に慣れた主人公が無理矢理原始的な生活を余儀なくされ、そこには当然「初めての火」とか「初めての食い物」とか定番のイベントが待っているわけで、それはそれで見てておもろい。やっぱ作りやすいよどう考えても。ほんと、ほっといてもおもろくなるもんなぁ。
ただこの映画でユニークでおもろかったのはジョンソンを置いたことか。彼はしゃべりもしないし、しかしずーっと映ってるし、見てる側がジョンソンの他愛もない登場から、そして別れのシーンまで感情移入できるように作ってあるのは見事だと思った。
ただ時間の関係もあってか、急に4年分を端折ったり、トントン拍子に事が進んだりと「無人島もの」にしては見応えが薄い。もっと、例えば「彼にとって一日の快楽は排便の時だけだった」とかサトルみたいなダメっぷりを描くと人間くさくて良かったのに。あれじゃあ、あんまりにもあのふぇでっくす野郎が格好良すぎる。
LIAR LIAR ★★★★★
世の中嘘ついたもん勝ち、悪いことは嘘で切り抜けることが普通になっている弁護士。それがたたって妻とは離婚、唯一心が通っている息子とも約束をやぶりまくるという始末の悪さ。誕生日に来れなかった父に息子が願ったこと、それがかなって色々。
アメリカのいまんとこ喜劇のトップスター、ジムキャリーが主役の映画。というかそれオンリで成り立ってしかもおもろいから凄い。方法としてはドリフ系の顔芸なんだが、それはもちろんおもしろい事になるわけで、という風におもしろい。
これを卑怯と言うべきか。いや、単純に見てて笑えるのだからOKだろう。ジムキャリーの顔芸やアドリブは役者の芸なんだろうなぁ。
なのでこの映画はストーリーや全体の雰囲気で笑わせるコメディではなくて、ジムキャリーというトップスターが持つ瞬発力、それが全開なのです。しかもそれで笑わせるので凄い。
サボテンブラザーズ ★★★★☆
ハリウッドのおもしろトリオ、アミーゴス。彼らは映画会社をクビになり、行く当てのないところにメキシコからのオファーが。しかしこれが誤解で彼らは見せ物でなく、本当に悪党と戦う羽目になる。
なんちゅうかヘンテコです。まず全体的な流れは勧善懲悪ものなんだけれども、このバカトリオがイチイチおもしろいので、なんだよ垂れ流し映画かよと見ていると実はかなりおもしろがって見ている自分がいるという、結果的にはまってしまいました私は。
くだらねぇ、ばかばかしいです。歌うサボテンがいて、自分達で呼び出した透明剣士を瞬殺して。あのシーンの淡々とした具合、それでも歌うサボテン、なんだか変ーな映像だった。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
みいご
カポネ大いに泣く ★★★☆☆
栃木の山奥にいる歌舞伎者、海右衛門はナニワブシを習い女房とともにアメリカに行く。そこで出会ったヤクザのガン鉄、アルカポネといろいろ。
あーわからん。なにがって、つながりがわからん。これはもう「あ、清順先生暴走したんだなぁ」て感じだった。
この映画は原作のあるちゃんとしたストーリーを持っているのですがそれは最早放棄、場面場面の愉快さや綺麗さを楽しむような、映画なのかこりゃと思うような作品になってます。
さらに役者が無駄に豪華だけども、あのショーケンの大袈裟っぷりがOKならば結構観れるのではなかろうか。俺はナニワブシはありだったけど、チャップリンはイタかった。田中好子いい。綺麗だった。
しかし、そういう全体の妖しいいかれた雰囲気をぶっ壊してるのが外人部隊であって、変にまともに演技をこうやられると冷めてしまうのが不思議。大袈裟に大袈裟をかぶして、こうなりゃもうわけわからんようにして欲しかった。
要するに、全体がグデングデンなのではなくて、要所要所がグデングデンなのです。だから清順暴走に見える。つーかこんな映画を御老公に撮らせるな。