2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ

サッカートピックを最後に更新したのは2006年7月、2006ドイツワールドカップの決勝の頃だった。それから4年、毎年8月~翌5月までのヨーロッパリーグ観戦と、早春~秋にかけての自転車3大レース+ワンデーレース観戦は、すでに日常となっていて、なんら特別な事ではなくなっている。アーセナルは今年も無冠で終了。この4年は補強で失敗してきたわけだが、ヴェンゲルが長年言い続けてきたように、ソング・ディアビ・デニウソンがようやく使い物になって、これでセスクをキープできて、ラムジーも復活して、シャマクやらハイクラスのキーパーやらバックアップの充実ができれば、来年こそ・・・いけるかもしれない。

逆に、その間断続的に行われるインターナショナルマッチに関しては、イレギュラーな、非日常的なものとして興味が薄らいでいる。これは日本代表に限らず、代表戦そのものに興味がなくなった。むしろ、リーグ戦の日程を乱したり、マッチデーの週は強制的に国内リーグ戦が休止となるため、邪魔ですらある。また過密日程による個々の選手への負担→怪我、そして代表戦での怪我(今シーズンのファン・ペルシ)など、実際クラブや国内リーグにも余計な負担を与えている。今大会もすでにロッベン・リオ・ドログバ・ナニなど活躍が期待されるスタープレイヤーが怪我で離脱している。ワールドカップは主要選手がリーグ戦で消耗した後に行われるのである。

ワールドカップは4年ごとだが、その間に、例えばヨーロッパでは欧州選手権(EURO)、アジアではアジアカップがあって、ワールドカップと同じように予選リーグ、本戦リーグ、決勝を行う。よって実質的にインターナショナルカップは2年周期だ。予選に使えるのは恐らく15ヶ月ぐらいか。ヨーロッパ(UEFA)の場合、この15ヶ月でどのように予選リーグを行っているだろうか。

現在UEFA加盟のFA(サッカー協会)は53。加盟国ではない。ワールドカップはFIFA主催の大会なので、国ごとではなくFAごとに出場資格がある。例えばフェロー諸島はデンマーク領だが、フェロー諸島FA(これもFIFA?)はUEFAのリージョンで予選リーグに参加し、毎回いいカモになっている(ただまれに波乱あり)。またフットボール発祥国のイギリスでは、FIFA設立前に既に存在していた英国四協会にそれぞれ出場資格がある。逆にIOC主催のオリンピックではこれが仇となり、「イギリス代表」を結成できず、もう長い間発祥国が出場していない。

そして今回の予選では、53を6×8+5×1の9リーグに分けて予選を行ったようだ。6チームのリーグ戦の場合、ホーム&アウェイで1チームあたり10試合行う。こう見ると意外に少なく感じるが、10試合を通常の国内リーグ戦に換算すると、実に2ヶ月~2ヶ月半の試合に相当する。この分日程が詰まるので、週2試合だとか、中2~3日で試合が続くとか、負担の多くは選手や所属クラブにむけられる。これだけではなくて、予選に付随する国際親善試合を入れると、恐らく14~16ぐらいにはなる。

この負担を減らす方法がないわけではない。ワールドカップの場合、UEFAに与えられた本戦出場枠は13。現状これを、9リーグの1位チームと、2位チームの中から勝ち点の多い順に8チームがプレーオフ、勝った4チームとを組み合わせて、9+4で13チームを選んでいる。リーグ2位チームへの救済措置もあるというわけだ。減らす方法とは、この救済を無くし、すべて予選リーグ1位通過のチームを本戦出場チームとすることである。

53/13=4.07、つまり4×12+5×1の13リーグに分けて予選を行えばよい。4チームのリーグ戦の場合、ホーム&アウェイで1チーム当たり6試合行う。これでもまだ多いが、4試合=1ヶ月分の試合が減るのなら良いだろう。リーグ戦も4チームならば成立する。

予選リーグの組み合わせによっては本戦優勝も狙えるようなチームが2チーム・3チームとか重なる可能性もあるが、それはそれで「予選から死のリーグ」の面白さもある。逆にミラクルでフェロー諸島が本戦に出場できる可能性も今よりは高まって、そういう意味での面白さもある。実際今大会でもロシアやスウェーデンのような、個々人を見ると世界トップレベルの選手がいるのに本戦に出場出来ない場合もあるわけだから、なんら問題はないと思う。

問題あるとしたらやっぱ経済面か。何度も何度も例示して悪いが、フェロー諸島にとってインターナショナルマッチの経済効果は意外と大きいかもしれない。イングランドFAカップは伝統的にFA所属であればアマチュアクラブさえも出場可能な大会で、ちょっとの運があればマンチェスター・ユナイテッドと8万近い収容のオールド・トラッフォードで試合ができる。FAカップの収益は基本対戦クラブ同士の折半だから、アマチュアクラブにしたらこの1試合で向こう何年分の収益が得られる場合もある。それで設備を改善したり、良い選手を買って上のカテゴリに昇格できるかもしれない。つまりFAカップはカップ戦だけでなく、裾野の拡充にも寄与しているわけだ。ワールドカップやリージョナルカップは規模も相当大きくなって、経済効果も大きいため、こういう側面もないわけではないだろう。

結局治安の問題は解消されずに南アフリカワールドカップが開幕する。日本からの観戦ツアーも定員に達していないケースも多いらしく、また日本代表も初出場の時から比べても、一番状態が悪いかもしれない。なんか、オリンピックに近い感覚がある。特に応援したいチームも、そのバックボーンをまったくトレースしなかったから無いし、今更ミーハー的に見ることも不可能だし、こうなりゃ一周してボーッと見てやろうかと思っている。

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