日本 1 – 4 ブラジル

Group F 成績

ジーコは残された最後の運を使い切り、ただのハゲちらかしになった。前半34分、稲本のミドルレンジの横パスが運良くカットされなかったシーンがそれである。その後のサントスのノールックパス(タイミング含めて)、玉田の飛び出しとノートラップでの上角シュート、これらは個人のスキルが素晴らしく発揮されたシーンであり、ワールドカップでブラジル相手にちょっとの運と実力で得点したという点だけは、日本サッカーにとっては歴史的事項として残るのではないかと思う。
ただ運を使う時間帯が早すぎた。願わくば75分頃まで堪え忍び、このゴールが生まれていれば・・・。後はテンションと気合で可能性は残せたかもしれない。仮に2-0で勝利していたとしても、オーストラリアが自力勝ち抜けを決めていたので結果論で言うとどうでも一緒なんだが、試合前の目標設定として「2点差勝利」を掲げて、達成していれば賞賛に値する勝利だったはずだ。少なくとも充実感を得ることは出来た。
前半ロスタイムの失点は、専門家の指摘通りDFがボールウォッチャー状態で人(ブタ)を捕まえきれなかったというのが一番大きな要因だろうが、それ以前の問題点としてディフェンス組織が全く構築されていなかったという点を見逃してはいけない。日本の4バックは一般的なゾーンのラインディフェンスではなく、3バックの代替という認識で用いられている。守備の方法としてDFの4・MFの4で2ラインのゾーンを敷き、それからのプレッシングを基本とするのではなく、CBのうちどちらかは自分のゾーンに入ったFWなどのマンマークに付き、ボランチがCBのスペースをカバーするようなやり方を取っている。ブラジルのボランチでも攻撃的なジュニーニョが比較的フリーでボールを受けれたのは、ボランチの稲本がディフェンスラインに吸収されてしまうシーンが多かったからだ。ブラジルの2点目はこの影響が大きい。
また、ブラジルに易々とボールをポゼッションされ続けたのはもちろん個人のスキルの高さに起因する部分が大きいが、守備の連動がなされていない点もある。守備の寄せが単発で、パスコース限定や予測による数的優位がなされていないので、一人行ったら回され、また一人が行ったら回され・・・と、好き放題やられてしまう。
これらはジーコが守備についても自由放任を貫いたことに起因している。
本大会になっても3バック/4バックを併用していたのは高度な次元の戦術的な選択ではなく、あくまでMF(主にOMF)の枚数から逆算された選択であった。ジーコは明らかに戦術家ではないし(かといって用兵家でもないが)、自身OMF出身なので守備戦術に関してまるっきり興味ないのかもしれないが、Jリーグに所属するDFで構成される日本のディフェンスラインは、リーグ特性に合わせて3バック固定を貫いて欲しかった。あの場面、仮に中澤が守備のギャップを埋めるようにライン押し上げを敢行してポジショニングを取っていればブタは易々とオフサイドになっていた。あの失点は時間帯も含めて非常に悔やまれるもので、前半1-0なら流れからして後半凌げたかもしれないし、重要なポイントだった。
後の3点は、ブラジルという事を考えればしょうがない失点だった。これが今の日本とブラジル(出来5割)の実力差を反映している差だろうし、点差が開いてからの屈辱的なGK交代や大人と子供のボール回しなど、あの惨状に目を背けてはいけないと思う。勝つためには先制点からの流れを活かすしかなかった。それこそ「マイアミの奇跡」のように。それにメディアは大衆の興味が逸れないように必死で「2-0勝利」を掲げていたが、近い過去を振り返るとグループFではブラジルからの敗戦はオーストラリア・クロアチアともに織り込み済みだったはずだ。なので、ブラジル戦の結果も妥当であればその前段階のオーストラリア・クロアチアで結果を出せない時点で終わっていた。
終了後一人長い間倒れ込んでいる中田の姿は多くの人の印象に残ったのではなかろうか。あの時何を感じていたのか。そして、声をかけたのは日本代表の誰でもなく、試合前いくらか言葉を交わしていたロナウドだったというのも、今の日本代表チームの人間関係を象徴しているようで。このへんの裏事情というか、事後の生の声については現地取材のジャーナリストの方々のルポなんかを待ちたい。いや・・・・再三指摘されてる「ミックスゾーン取材」でそれは可能なんだろうか・・・。まあ誰かに薄い期待を持っておこう。個人的にもてきとーにジーコJAPAN総括はいつかやりたい。

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