ジョニー・イングリッシュ ★★★☆☆

英国諜報機関MI7に属するMr.ビーンが、英国支配を企むフランス人を阻止する話。
映画の内容には直接関係ないが、MI5とMI6の存在は知っていたけどMI7もあるんだなあと見終わって調べてみると、そういう機関は実在せず、よく架空の諜報機関として映画などではMI7として使われるらしい。
ローワン・アトキンソンが90年代半ばにMr.ビーンとして世界的に認知されるようになってから、本国イギリスではまあなんらかのコメディアン活動をやっていたのだろうが(でないといきなり映画の主役ってわけにはいかんだろうし)、ここ日本では丸々間が空いているのでどうやっても今の段階ではMr.ビーンのイメージを払拭することはできない。それぐらいインパクトのあったキャラコントだったし、イギリスでコメディといえばモンティ・パイソンとMr.ビーンはおそらく並び称されるだろう。
なので、この映画のギャグの部分は総じておかしくて笑えるんだけど、その笑いのうちの何割かは「まだこいつビーンやってるよ」という思いそのものが面白く、そういう意味で見ていて確かに笑っている反面、なんかこっ恥ずかしかった。なんだろうなあ、たとえば志村けんが今いきなり「だ~いじょ~ぶ~だぁ~・・・ウェ・ウァ・ウォ」を突然推してきたとする。それを見たこちらはもちろん笑うだろうが、一部なんか切なく恥ずかしくしょんぼりした気分になってしまう。それと結構似ているかもなあ。
で、この「Mr.ビーンの影」という部分を抜きにしてニュートラルで見てみると、ボケが「前フリがあって、それに対して忠実にボケる」というパターンが多く、これもギャグではなくその笑いの構造自体が「ストレートすぎるだろ」てことで笑ってしまう。正直自分が笑いに対してかなり擦れてしまっているということに気づかされる。筋弛緩剤のところやおなじみMr.ビーンぽいおとぼけコントのような部分は掛け値なしに面白いんだが、「前フリ→忠実なボケ」の構造の部分に関しては、一度とまってから笑ってしまうような感じだ。
ストーリーに関してはコメディなんだから期待してはいけない。ディティールにも目をつぶらないといけない。なんにしろこういうストーリーからして馬鹿馬鹿しいのは「馬鹿馬鹿しいなあ」と思いながら場面場面の逆や笑いを楽しんでいくのがいいスタンスだろう。一々ストーリーに突っ込みいれていたらきりがないからなあ。
ローワン・アトキンソンがMr.ビーンを払拭しようと新境地に挑むのではなく、いつまでたっても、たとえ舞台が映画になり大げさになろうとも根っこの部分でMr.ビーンであることに個人的にはうれしかった。というわけで純粋なコメディとB級映画ではMaxの★3。

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