ロード・トゥ・パーディション ★★★☆☆

マフィアの幹部マイケルが色々あって息子マイクと一緒に旅する話。
はじめタイトルを「ロード・トゥ・パーティション」と思って、それでマフィア映画となるとなんらかの抗争による別離なのかなと見ているうちに、確かにそんな感じにはなっていくのだが途中で「パーディションという街にいくぜ我々は」というのであ!パーティションじゃなくてパーディションかよと、物語とは全然別のところで気になった。
時代設定はアルカポネのマフィア時代で、その時代にあった実際のマフィアのあり方(早い話がゴッドファーザー的血縁・契り重視)が物語全体のキーとなっている。物心ついたくらいの子供が親の仕事について詳しく知りたがるというのは自然なことだが、この息子マイケルは好奇心が強いつーか行動力があるつーか、結局そのせいですべてが悪い方向に動き出す、また物語が進行するというのがうまい導入だなあと思った。
とこのような導入からクライマックスまで、行動の動機付けや因果関係まで淀みなく、またまた現代ハリウッド映画にありがちな「スチーブンスピルバーグの 映画!こう作ればおもしろくなる」本を見たまんまつくったような、かっちり型にはめた作りになっているので隙がなく面白くないわけがない。と同時にこれも何遍もこういう映画で書いた気がするが、これが一生もんの映画として永年記憶に刻まれるかというと、それは絶対にあり得ないわけで、そもそもこういうのはテーマが何であれ興行重視なんだから余韻はともかく長い間記憶に残るというのは結構まずい。だから敢えてなのかどうだか、パーフェクト超人並みに予算かけて完璧に作るのが特徴である。
なので、マフィアやドンパチ映画に必須なポイントともいえる「銃の撃ち方への美意識」「殺しの美学」なんてものはあまり重視されず、物語に重きが置かれる(象徴的なのは、なんか変な殺し屋がチョイチョイでてくるのが効果的だったり)のが残念といえば残念だ。マイクが売春宿に取り立てに行った時の間合いの取り方、間の作り方はよかったが、あとは殺しに対する怨念のようなものが見えなかった。やっぱマフィアは殺し合いでなんぼ、いや数出せってわけじゃなくて、質がよければ上記のようにワンポイントでも記憶に残るんだよなー。

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