千と千尋の神隠し ★★★★☆

千がクリーチャーを風呂に入れる話。
よくできとるよね。テンポいいし、たるくもないし、キャラは相変わらずそろってるし、見せ場は見せるし、テーマはやんわり匂わすし、なんつーか見ていて率直に思ったこと「参りました。」
けどね・・・。まあ当たり前なんですけどやられてないのよねこっちは。つまり、古くは未来少年コナンからあるわけだ。その後記憶曖昧かもしれんが、ナウシカ・ラピュタ・トトロ・魔女宅・もののけ、、、やってることは大体同じ作者がやってんだから筋が一本通ってるわけだ。どれが良くてどれが自分にぴったりくる、それは人それぞれであるが(自分はコナン・ラピュタです)、その前からの流れをくんだ最新作であり、テーマも醸成されていい感じになる。今回は人間のつながりまでテーマにしてたし。そうなると、千と千尋で受けるべき衝撃を過去に一度ぐらいは受けている。それぐらい衝撃のある映画であることは見ながらわかるし、それがためにやられた感はないということになる。
ただ変わった部分もある。それは前述した人間関係の描き方。厳密に言えば”人間”関係ではないが、千尋が千に変わったり、またあの川の奴(名前忘れた)の名前を思い出したときは素直にあーよかったよかったと思えたし。
「顔なし」ってのはまさしく顔が見えないという人間関係・時代の有り様を示唆してるんだろう。千尋の「わたしが欲しいものはあんた持ってねえよ」的なセリフが象徴的だ。えーとあれだ、この煮詰まった時代における「ほんとの豊かさって何?」というテーマだ。
ただこの議論自体はあまり意味がない。意味がないつーか、たとえばアフリカあたりで内戦とかやっててハエが集ってる飯を奪い合う所に「ねえねえほんとの豊かさって何だろね」と聞いてもたぶん「どうでもいいから飯くれ」しか言わんだろう。つまりそれは、資本主義が煮詰まっていっぺんその盛り上がりがバブルでぶっ壊れた物質的に豊かな社会(=先進国)のみが持てる問いであって、個人レベルではそれぞれの豊かさを追求するかもしれないが、全体では恐らく二つに一つ、とりあえず作り続けるだけ作ってみるか、資本主義を極めた時代の共産主義(社会主義)に移行するのか、だいたいこんぐらいだろう。
て全然話変わってるよ。とにかく、20数年間同じテーマで傑作を作り続けた監督の作品だから言えることだけど、また自身もそう言っていることだが、これは子供が見るべき映画だ。逆に言えば大人がこれを評論することにはあまり意味がない。せいぜいこれまで書いてきたような思いつきの感想文を書くぐらいが関の山だろう。
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【追記】
技術的な部分だけど、アニメのアニメたる部分、口の動き。いい加減「開く」「閉じる」の2パターンだけという伝統は破るべきでは無かろうか。「あ」「い」「う」「え」「お」基本の5パターンを作れば全然違ってくるはず。これぐらいの大作がブレイクスルー起こさないときっかけにならんし。
あとDVDで見たが、やっぱ全体的に赤いと思う。オリジナルを見てなくてもそう思うんだから、これは大問題なんだろね。

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