ストレイト・ストーリー ★★★★☆

73歳のアルヴィンが73歳ぐらいの兄貴に会いに行く話。
感動した。
俺デビッドリンチ強化期間であったこともかなり影響しているが、これまであたまを削ったら消しゴムができただの、像の顔の奴がフガーフガー、ふたこぶ女ダンス、ちっちゃいおばあちゃん、「はあ・・・?」な映像を散々連発し、見る側をぐにゃあとさせてくれたデビッドリンチが普通の映画を撮ってくれたことはとても感動的だ。
本作を語る時は大抵この感動的なストーリー、老いた弟が10年前の仲違いを後悔していて、ほんのちょっとのきっかけでそれを見つめ直す旅に出る、そしてその旅の過程でのロードムービー的人との交わりなど、作品内容自体の形容として「感動」「しみじみ」など用いられるが、むしろデビッドリンチの方にそれらの形容を用いるのがいい。それぐらい”心安まる”映画だ。
内容自体はまあ、いいんだろう。というかこれ例えば新宿のガード下にいる自由気ままに振る舞っている人々のなかから無作為に一人抽出して、同じ様にその人の人生を語らせたり、びっくりなハプニングなんかを八百で用意したりすると適当にリアクションくれたりして、また違った味が出ておもしろいのではないかと。つまり年輪重ねた老人が語る言は相対的に若い自分が体現することは不可能という点で重い言葉だし、それには耳を傾けたいと思うし、なにより最後のあっさり具合がこの、「しみじみかみしめる」という見終わった後の感覚につながっているんだろう。
昔いつだったかこれはマジに、人が捨てたジャンプとかを一冊100円という低価格で路上で売るという、ニッチな価格戦略で業界を席巻しているグループの人と、なんとかスタバでコーヒーおごるぐらいで小一時間トークできないかと考えたこともあったが、臭いが臭かったのと後々面倒くさそうということで、やめた。

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