実録 安藤組 ★★★☆☆

財界人になめられて、だまってられない安藤組のみなさんが色々やらかす話。
主演、安藤昇。この人実録という通り、実際の安藤組(元)の組長でその後に東宝の安藤組シリーズであたりまえのように主役を張ってしまったという、ものすげぇ人です。だって辰ちゃん・文太兄ぃと競演し、夢の3大スターとかいわれてるし。半端なことやってなければ、ヤクザ→スターという方向もありえると。
で、本作はおそらく実際にあった事件をもとに再現というか、まんまというか、安藤組長の思いの丈が詰まっているような感じであります。というのも法の下に反社会的集団であるとされているヤクザという組織が、法でなく漢としてのメンツやなんやに基づいて行動した結果がこうであると、あくまで我々は国家権力という強きを助け弱きを挫く馬鹿者どもにいっちょう一泡ふかせてやるヒーローでありますのですともいわんばかりの画面構成になっている。
たしかに警察組織というのはクソの塊ではある(警察官それぞれの人格を言っているのではない)が、それ以上にクソの塊であるのが反社会集団なわけで、たとえば局部で見るなら警察も彼らも鉄砲を持ってはいるけども、ポリはこっちに対してまず撃ってこないが、彼らはむしろ有利な状況にもっていくツールとして積極的に使ってくるのであり、また200円ぐらいで仕入れたビールを10万円で売ってしまうという、まさしく反社会的な行為をしてしまうわけで、さらに集団で計画的に窃盗したり、ヤクを売ってしまったり、つまるところこういうことをやってしまうから、同じクソでもその抑止力としてポリ公の方がまだましであると。その点安藤組というのは「カタギ」と「スジモノ」をきっちり分けているという律儀なところがありますが、結局その判断基準は安藤御大のさじ加減一つであるという、法の下の平等ならぬ「俺の下の平等」的思考プロセスが横たわってるところが怖いです。
なので、この安藤御大の行動規範によりかかれたならば、それはそれでヒーロー像を見る、まさしく当時のヤクザ映画の王道を見る気分で熱中するのだろうが、殊このような線引きをされたとあっちゃあ、かなりゆるゆるな線引きがなされたままで事が進んでいくという感覚を覚える場合もあるのです。というかオレの場合がまさしくそれ。
ストーリー自体は安藤組を魅せるように作ってあるのでなかなかおもしろく見れたのだが、底辺に横たわる思考プロセスがまったく滅茶苦茶に感じられたのであまりのれなかった。でもまあ、ふつうに見る分にはおもろいんでないの。

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