道 ★★★★☆

大道芸人ザンパーノに新しい相棒ができた。その女ジェルソミーナ、芸はできないわラッパは吹けないわ、ザンパーノは持て余し気味である。そんな二人も各地を旅する間さまざまのことがあり、紆余曲折、やがてそれぞれの道をみつける。
人生は基本的に思い通りにいかない。「思い通りにいかないから人生というとてつもなく膨大な退屈な時間を埋めることができるのだし、人生に意味を見出せるもんだ」のようなことはたびたび語られるのだが、それはある程度思い通りにいっている人間の視点からの意見であるのはもっともな話で、万事が万事うまくいくはずのないダメな種類の人間には全然響かない語りである。
そしてまた、ザンパーノもダメなにおいがする奴だ。浮世家業の大道芸人、しかも演ずる芸はひとつ、それでいて見栄っ張りの強欲家ときたもんで、典型ともいえる。そこに現れたのが純粋無垢なジェルソミーナ、彼女の振る舞いに翻弄されつつもザンパーノは次第に彼自身の心に揺り動かされてしまい、結果的に大きな悲劇を招いてしまう。
ただザンパーノは、最後の最後に運命的なめぐり合わせから救われることになる。いやもう、ここで救われるだけザンパーノはまし。往々にして救われないのだから。そこが悲哀と絶望の分かれ目である。

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