インソムニア ★★★☆☆

LAからアラスカへ殺人事件の捜査にやってきた刑事が同僚を殺めて不眠症になる話。
結局最後まで、なぜドーマーは正直にハップへの誤射を言えなかったのかがわからなかった。誰も見ていないとはいえ、事実をありのまま語らなければ今回のように証拠は次々に矛盾を示し、それを覆すために自分で自作自演、映画だから成立するがこういうねじ曲げをするにはグリーンベレーとSWATとSEALSとDELTAを足して4で割るぐらいの根性と判断力と技術が必要だろうが、ここでまったくリアリティを放棄したのがまず、まずかったと感じた。
ハップ殺しの隠蔽は、これまでやってきたでっち上げの癖がつい出てしまったのだろうか。それとも内部調査中のハップ殺しが誤射とは認められない可能性を考慮したのだろうか。見終わって改めて振り返ると、例えばウォルターのまいたエサに乗せられ、何の警戒もなく危険な会話を録音されたり、9mm弾の証拠を突きつけられても無理からごまかしたりするのは、(前述したハップ殺しも含めて)すべて「不眠症だったから」で片付けられることではないか。でないと、敏腕刑事のくせにこのゴリ押しぶりは説明できない。
アラスカの白夜かなんかしらんが夜がない環境と、(想定した理由であれば)誤射と内部調査に悶える感覚、そして何より真犯人ウォルターに見た「同じ穴のムジナ」意識が、彼の気を動転させ、根っからの嘘つき癖を存分に発揮、それが不眠症パワーによって不可能を可能にしたのだろう。それが落ち着いたのが結局、ホテルの女将への吐露なのだが、あそこでどうしてふっきれたかもイマイチ謎だ。これも不眠症からくる判断力の低下か?
最後はアメリカ映画的正義描写があったので、筋が一本通ってはいなかったが(個人的には極悪人ドーマーを最後まで貫いて欲しかった=女をぶっ殺しウォルターと共にハッピーエンドを迎える)、確かにタイトルは合ってるけど、なんかパッとしないラストだったなあ。

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