マグノリア ★★★★☆

警官と彼に訪問されたコカイン女、その女の親父でカリスマクイズ司会者、そのクイズ番組にでている天才少年、昔でてたけど今はバカでゲイの男、一方で死にかけた老人とその若い妻と主治医、そしてその息子は売れっ子ビンビン作家、、、という話。
↑。なんのこっちゃわからんでしょう。でもそうなんだな。この映画はこれらの人々の偶然の連なりをストーリーの主軸としている。それぞれにそれぞれのストーリーがあり、そしてそれが一応偶然という形で関連している、そういう点では最後近くまで彼ら一人一人の心情も画面で出して、非常に雑というか、当たればもうけものだけどもそれでいいんじゃねえのというような作りだった。
しかしラスト、ここでとんでもないギミックがあるんだが、これはもちろんいきなりこんなバカにしくさった展開だったので見ている側も爆笑したろうが、見終わってからすごぅく後味悪いものとなった。それまではわけがわからんながらも、一応人間の心情を描くという点でストーリーはまっとうに進行しているわけだ。それも普段何かによって遮られる感情を、一度に多くの人間が噴出させてるわけだ。心理描写としておもしろくなりがちな展開だと思う。それがいきなりギミックで寸断され、そしてまたラストのラストに心情描写に戻る。じゃああのあれの偶然のギミックはなんなの一体と、ただバカ笑いのためかと、正直そういう煮え切らない感覚になるのです。
なので話としてはぼんやりとした「雰囲気で稼ぐ」タイプの映画だと思うが、それが突き抜けきれず途中へんなおもしろを入れたのが、映画の後味で最悪な状態を招いたような。もちろんその場面はおもしろいんだけど、映画全体に対する効果は逆のマイナスだと思う。
作品自体は平均の★★★だけども、ジュリアン・ムーアが「ファック」やら「コックサッカー」「プッシー」とか汚い言葉を連呼してたのがおもしろ要素としてプラス1。

スターリングラード ★★★★☆

1942年、ドイツに侵攻されたソ連軍のスターリングラードでの攻防。それに伴う各国のスナイパー同士の戦いの話。
まずおーいと言いたくなるのが、おまえら独人・露人だろうが。なんで英語話しとんのじゃと。
そこはまぁ、別に映画自体がおもしろけりゃ些末なことでないのと言われたらばそうかもしれんが、この言語というのは結構大事で、たとえば特徴的なイタリア映画やフランス映画というのはある意味それぞれの言語がもたらす影響というのがその映画全体のイメージを決定しているといってもいいほどのもので、で本作は、たとえば英語を話してるのに書いてる字はロシア語とか、もうそこがもんのすごく矛盾してるのです。これはかなり気になるし、ロシア人が「サウンズグーッド!!」なんてもう、おもいっっきり英語じゃねぇかよそれよと思うようなセリフをしゃべるので、ストーリーに入り込んだところがそこで一端途切れてしまう。これは凄くもったいない。
上のものごっつい矛盾を除いた部分では、結構おもしろい映画である。まず自分はメタルギアソリッドではできる限り狙撃で殺るのが好きだったし、ゴルゴは一巻も持っていないけど「ゴルゴ学」は持っているというほどのスナイパー好き、それにつけて本作ではスナイパー同士の緊張感ある戦いというのがとてもいい感じで、まず序盤の方でスナイパーの魅力というか狙撃を全面にだして、また最後もスナイパーの対決という構成から、後々が冗長になっても全体の印象としてはよくなるように作ってあると思う。
しかしまぁ、確かプライベートライアンもそうだったけど、この戦争映画というのの作りに冒頭が一番人殺しシーンが多いという印象がある。やはりポイントは冒頭とクライマックスの衝撃、これが見終わった後の印象を決定付けるということだろう。またそれがわかってる映画というのは観やすいし、観ていておもしろいものが多い。
ただスナイパー全開ではなく、天才スナイパーとそれを見いだした軍人、そして女の三角関係を持ち出した構成は見てて非常にハリウッドくさく、あれは正直いらんです。スナイパーの戦いが凄くいいだけに、よけいに邪魔に見える。それを差っ引いてもとても面白い映画だと思う。

太陽を盗んだ男 ★★★★★

ダメな理科教師○○は修学旅行中図らずもバスジャック事件に巻き込まれてしまう。それが触媒となったのか、突如ある考えがひらめき、それを実行してしまい、なんとうまくいってしまうというとんでもない話。
一言で言えば、沢田研二と菅原文太をオモチャにした映画。
1979年作品。これ重要。それは例えば西部警察が日産自動車をバックに付けて好き放題車やライフルでドッカンドッカンやってた時代。それがOKだった時代。そんな時代の、そんな映画です。だから今の時代にこんぐらいのテンションで作ろうと思っても色んな理由で不可能だろうし、仮にやろうとするならDOAのようにCG使ってなんとか巧みにやるしかない。正直、これを観るとDOAはなんだったのと思ってしまうよなぁ。
だって、1979年というと沢田研二はまだジュリーで「Oh!ギャル」とか歌ってるころでしょ。そしてまた文太兄ぃは仁義とかトラック野郎とか硬派なやつにばりっばりの主役ででてる頃でしょ。そう考えるとこの映画ほんと凄い。キャスティングの時点で成功してる。
当方今まで色んなハリウッドのガンアクション、カーアクションを観てきましたが、もちろんこれからも観る機会があるかと思いますが、純粋な物でこれ以上の作品というのはおそらくない。まずストーリーの概要の部分で負けるだろうし、そして本編の場面場面のインパクトの部分でも負けるだろう。それぐらいスケールの部分ではものすげぇことになっている。
しかも、そのテンションにまかせてガンガンいくだけでなく、むしろそうなるのは後半からクライマックスにかけてのことで、冒頭および太陽を作る課程は不気味な映像。いろんな感情が急に切り替わり、そのたんびにジュリーがへんな動きをしたりするから、変。
もう、観てください。これが日本のアクション映画だ。