ブログエディタを使ってみる その1 Windows Live Writer

bitchの振り返りのじゃまをしてしまって恐縮だが、その2を読んでふと思ったことがある。記事をローカルに保存しておき、かつ楽にアップロードしたいのなら、ブログエディタを使ってみてはどうかな、と。
そこで、おそらくbitchが本当に思っていることとはずれているだろうとは思うが(たぶん使い慣れたホームページビルダーと自作テンプレートで編集したいというのが肝だと思うので)、ローカルで保存できるブログエディタを紹介してみたい。
とはいっても、筆者自身はブログエディタについて詳しいわけではないので、とりあえず手元にあるWindows Live Writerを紹介してみたい。

Windows Live Writerとは、Microsoftが行っているWindows Liveという一連の個人向けサービスで提供されているツールのうち、ローカルにインストールして実行する「Windows Live おすすめパック」に含まれているブログエディタである。筆者は標準でメールクライアントが搭載されていないWindows7でメールを見るためにWindows Liveメールが、そして実家にいる父親のPCをリモートアシスタンスするためにWindows Live Messengerが必要だったため、それに併せてついでにインストールしていた(もちろん、インストール時に除外することも可能)。これが、Microsoft製品の割には意外に評判がいい。というわけで、早速起動してブログのオフライン編集を行ってみる。

まず実行すると、管理するブログの初期設定が実行される。

WindowsLiveWriter01 

このサイトはレンタルサーバにWordPressをインストールして使っているので、「他のブログサービス」を選んで次に進む。すると、以下のブログアカウント追加画面が出る。

WindowsLiveWriter02

見ての通り、サイトのURL(管理画面のURLではない)とユーザ名、パスワードを入力しさえすればよいので(パスワードを保存にもチェックしておくと古いメールをあさってパスワードを確認する必要もない)、入力して次へ進むと、あとはWindows Live Writerが自動的にブログをチェックして設定を進めてくれる。

WindowsLiveWriter03

このプログレスバーが終了すれば完了だ。ブログの設定名を適当に入力して保存すればOK。

WindowsLiveWriter04

実際の使用感は良好。それほど機能が多いわけではないが、さくさく動いて快適であり、通常の編集画面の他、プレビュー画面やHTMLソースの直接編集もすぐに切り替えられる。また、下書きは保存先をローカルかブログか選ぶことが出来、カテゴリ指定や日付の変更もこの画面から行える。なお、当ブログの場合、画像付きの投稿をブログへ保存するためには、FTPの設定を行う必要があった。 訂正。先日WordPressをアップデートしたときにディレクトリのパーミッションがおかしくなっていたのと、レンタルサーバの仕様変更に伴って修正した設定項目が間違っていただけだった。修正したらFTP設定をしなくとも画像がアップロードできた。

image

ただちょっと残念なのが、ローカルへの下書き保存が独自形式でしかもバイナリ形式であること。つまり下書きはWindows Live Writer以外で編集することは出来なそうだ。せめてXMLにしてくれれば良かったのに。

と、ここまでをWindows Live Writerを使用して書いてみた。感想としては常用してもいいかなと思っている。特に、出先でネットワーク環境がないところで下書きを書き進めたいときに重宝しそうだ。bitchにとっては、過去の文章をWindows Live Writerに貼り付けて編集する手順自体は変わらないが、実際の手間はずいぶん減るのではないだろうか。新しい感想は直接Windows Live Writerで書けばよいのだし。というわけでおすすめ。

さて、「その1」としたからにはその2も考えているということだ。実はbitch愛用のホームページビルダーも、最近のバージョンではブログ管理が出来るようになっている。調べてみると、最新のホームページビルダー14は体験版がダウンロードできたので、これを使ったブログ管理にも挑戦してみたのだ。ただ、結論としては「このサイトではちょっと使えないかも…」。というわけで、次回はホームページビルダー14のブログ管理機能を紹介する。

新年にあたって、当サイトのこれまでを振り返ってみる。

あけましておめでとうございます。と書いてみたが、実のところ今年は喪中で正月らしいことはしていないので、ちっとも正月気分にならないうちに一週間以上過ぎてしまった。休み明けの仕事も特に普段と変わらなかったので、なおさらそう感じる。

さて、今年は2010年、ということで、新しい十年紀(decade)が始まることになる。このような機会はそう無いので、せっかくだから赤の扉、じゃなくて、このサイトのこれまでを振り返ってみたい。

さて、そもそもこのサイトを始めたのはいつだったか。右側のアーカイブは2001年4月から始まっているが、実はこれはこのサイトオープン以前からbitchが公開していた個人サイトのコンテンツを譲り受けたもので、実際に開設された日ではない(それにしても、2001年4月といえば筆者とbitchが大学を卒業した直後だ。ここから現在までコンスタントに良質のコンテンツを書き続けるなんて驚異的だな、とbitchを持ち上げてみる)。自分でもすっかり忘れてしまったので、Internet ArchiveのWayback Machineを使って調べてみた。当時はplalaのDDNSサービスを使っていたので、それを入力してここの右上を確認したところ、どうやら2002年10月に開設したようだ。

サイト開設時期がわかったので、次に開設した頃の自分の記事を読んでみた。やはり懐かしいな。そして書き方が若い、というのが印象。まだこの頃は20代半ばだしな。まあbitchの筆致が今とほとんど変わらないことと比較すると、単に筆者がバカだっただけかもしれない。

当時の記事で特に懐かしかったのは日本シリーズ開幕という記事。1段落目のオナニーネタはどうでもいいとして、そういえばこの頃は入社2年目にして職場でリーダーだったな(ただし二人チームの)、とか、この頃はまさかフィオリーナおばさん退場後の某社に自分の勤務先まで買収されるとは思わなかったなあ、とか、隔世の感。ところで、Jornada(ただしOSはWindows7希望)の復活は社内のどこにリクエストを上げればよいのでしょうか?

その後、2003年頃まではbitchの映画・ゲームの良質なコンテンツと、筆者のどうでもいい日記が混在する混沌とした状態が続いている。たまに二人(もしくは鬼畜学園を入れた3人)で企画ものをやったりもしているのだが、その中でも筆者が当時楽しんだのが俺がんばってみる週間だ。エキサイトサーチストリームでランダムにテーマを決めて書くというもので、bitchの振り返りではかなりきつかった旨が書かれているが、筆者は結構楽しめた憶えがある。またやってみるのもいいかも。

また、この頃bitchのコンテンツの質に追いつこうと筆者が用意したネタが、当時入学した慶應義塾大学の通信教育だった。しかしながら、当時仕事が忙しくてなかなか学習を進めることができず、結局このネタで本格的に書き始めるのは2008年に入ってからという体たらく。実はそろそろ卒業も見えてきたので、それまでにはもう少しこのネタでのコンテンツを充実したいものだと思っている。それが2010年の目標か。

話を戻すと、2004年以降はほぼコンテンツ作成はbitch、システム管理が筆者と役割分担のようになってしまい、コンテンツ数も減少してしまう。それでもここまで続いたのはbitchのコンテンツが定期的にアップされてきたからで、管理者としては本当にbitch様々である。

さて、ここまで過去を振り返ってきたところで、今年の当サイトの目標を考えてみたい。まずは筆者が大学通信教育関連のコンテンツを増やすこと。実は、最近いくつかの慶應通信関係のブログを見たところ、当サイトにリンクを張っていただいているものがあった。ありがたいことだが、現在のコンテンツ数では中途半端で申し訳ないので、もう少しコンテンツを増やして通教生に役立つ情報を提供していたいと思っている。あとは、鬼畜学園に久しぶりに記事を書いてもらうこととか。やつは相変わらず忙しそうなので無理かもしれないが、特に音楽関係の記事を書いてくれると読みたいんだがなあ。

といったところで、今年もよろしくお願いします。

一部コンテンツの待避

先週末、急にレンタルサーバの事業者から「高負荷なので何とかしろ」というメールが来た。

google Analyticsで調べてみると、どうもかつてbitchが作ったレミングスの攻略ページにアクセスが集中しているっぽい。このページはブログとは独立してbitchが直接HTMLを作成したものなので、とりあえずfc2の無料ホームページスペースを急ぎ借りてコンテンツを移転した。

今日になってもう一度google Analyticsを確認すると、やはり週末からレミングスの攻略ページへのアクセスが跳ね上がっている。いったいなぜ今頃レミングスなんだろうとちょっと調べたら、先々週のゲームセンターCXで24時間レミングス攻略なんてのをやっていたのを知った。最近TVを観る時間がなかなかなくてCSの契約を切っていたので気づかなかった。そういやカイの冒険の時は途中で寝てしまって結局クリアを生では見られなかったなあ。

というわけで、レミングスの攻略は別館に移りました。一時的に/game/lemmings/index.html が無くなっていたのでアクセスできなかった人もいたかもしれませんが、現在は復活しています。以上、ご連絡まで。

2011年4月3日追記

レンタルサーバを帯域制限のかからない別業者のところへ移設したため、コンテンツを元に戻した。

レンタルサーバに移行&CMS変更

 春だ!新年度だ!(といっても勤務先は10月末決算なので新年度でも何でもないのだが)というわけで、サイトの設置先をこれまでの自宅サーバからレンタルサーバへ移行し、ついでにCMSもNucleusからWordpressに変更した。

 変更理由にはいろいろあるのだが、大きなものとしては、セキュリティを考えて毎回パッチを当てるなど、自宅サーバは運用が煩雑だ(勉強にはなるが)と考えていたところに、実家のマシンがウイルスに感染したとの連絡を受けて、サーバに使っていたマシンを送ってあげようと考えたところにある。

 CMSの変更については、NucleusもいいCMSではあったのだが、どうも最近更新が滞っているのと、いまいちマイナーで情報があまりないこともあって、思い切ってメジャーなWordpressに変えてみた。NucleusのプラグインにMovableType形式でエクスポートできるものがあり、それを使うとあっさり移行できたので(WordPressではMT形式エクスポートファイルのインポートができる)、興味がある人は参考にしてほしい。

 使い勝手はなかなかよい。設置は非常に簡単だったし、インポートもきれいに出来た。最近は筆者しか更新していないが元々3人のサイトであるため、3ユーザ作らなくてはならないが、それもインポートで自動作成できた。ただ、鬼畜学園のユーザ名がうまく漢字で入らなかったため、アルファベット標記に変更したことが残念。

 あと、コメントが自動表示されない(編集者の承認が必要)というのも知らなかった。おかげでせっかく頂いたコメントを3日も放置してしまった。すみません。

 ともあれ、心機一転で更新を続けます。

慶應義塾大学通信教育課程の噂:評価(その1 システム)

 先日、1月の科目試験が返ってきた。結果は、まず無理だろうと思っていた統計学がAだった一方で、前回は落としたが今度は大丈夫だろうと思っていた人口論が再びDという、二重の予想外な結果だった。おかげで4月受験予定の科目が1つ受けられなくなった。さらに、これまでささやかな自慢だった、レポートも試験も同一科目を2回落としたことはないという記録も途絶えてしまった。残念。
 気を取り直して、前回からちょっと間が空いてしまったが、今回からは単位取得が難しいと言われている慶應通信の評価について考えてみたい。今回は、その単位取得のシステムについて考えてみる。
 まず、科目を履修して単位を修得するまでの過程をおさらいしてみる。慶應の通信教育では、年度初めの履修登録というものがない。自分のテキスト配本年次(実質的な学年)を確認し、履修可能な科目であればレポート課題に従ってレポートを提出し、それが受け付けられた時点で(評価とは無関係に)履修と見なされるようだ。塾生ガイド(年度初めに配布される通信教育課程生への案内冊子。学生便覧。)を筆者が読んだ限りでは「履修」の定義は書いていなかったが、不可レポートの再提出期限が切れてから再度レポートを出し直すことを「再履修」と呼ぶことから、おそらくレポートを提出することをもって履修とするのではないかと思う。他大学では通信教育でも年度初めに履修登録を行う必要がある大学もあるようなので、履修についての制限は緩い方だと思う。
 ちなみに、この「登録をせずとも履修」というのがもし通学課程で可能であるならば、それは相当単位取得が楽な大学だと言ってよい。筆者が以前卒業した通学課程の大学は「卒業が楽な国立大学東の横綱」などと在学当時に揶揄されていたが、その理由の一つは、時間割が全部埋まるまで好きなだけ履修登録ができるとことにあった(ただし、筆者入学の前年からだったと記憶している)。しかし、筆者の2学年下から年間の履修登録科目数に再び制限が設けられ、これだけでかなり単位取得が厳しくなったようだ。そして、この大学をしのぐ西の横綱と呼ばれていた京都大学は、同期入社の卒業生に聞いたところでは履修登録すらないという話だった。ちなみに去年読売新聞が実施した調査では、京都大学の4年卒業率は92.3%だそうで、平均の84.6%よりかなり高い。この履修登録という縛りがいかに単位取得を難しくしているかを物語っていると思う。
 このレポート提出(=履修)によって科目試験の受験資格が得られる。このとき、レポートの評価は関係ない。戻ってくるまで待つ必要もない。事務局に受け付けられていれば受験可能なのだ。しかも、科目試験合格後にレポートがD(不可)で戻ってきても、6ヶ月後の再提出期限以内にレポートを再提出すれば、科目試験の合格を取り消されることもない。これも他の通信制大学によっては、科目試験の受験資格をレポート合格に限ったり、レポートが不合格であれば科目試験の合格を取り消されるところもあるようなので、制度的にはかなり緩い方だと思う。
 その代わり、と言っては何だけど、科目試験の受験時に若干の制限がある。科目試験は3ヶ月に1度、土日の2日間に分けて実施されるのだが、その際に科目群としてA~Fまでの6群が設定され、時間割は各群ごとに1科目ずつ試験が実施されることになる。つまり、土曜の1限はA群の試験、2限はB群、3限はC群、日曜は各時限それぞれD~F群といった具合だ。そしてそれら科目群内の科目が別の群に移動することは基本的にはない(少なくとも筆者の入学以来無いと思う)。このため、ある履修科目が試験で落ち続けて合格できないでいると、いつまでたってもその群の他の科目を受験できないことになる。
 例えば、筆者は今回F群の人口論を落としたが、これによって既にレポートを提出している同じF群の会計監査が次回試験で受けられなくなった(もちろん、人口論をいったん休んで会計監査を先に受けてもよいが、どちらにしても両方受けることはできない)。
 また当然ながら、1回の試験での受験科目数の上限は6科目となる。これを考えると、実質的に履修縛りはあると言ってよいだろう。
 というわけで、結論としては、一見履修の縛りが緩く履修が楽なように感じられるが、よくシステムを眺めると、きちんと履修縛りに値する仕組みが組み込まれており、それほど楽でもないことがわかる。
 次回はいよいよ「難関」という噂の根幹をなす、レポート・試験の課題と採点について考えてみる。

慶應義塾大学通信教育課程の噂:テキスト

 前回は、次回はレポートの評価について書くと予告していたのだけれども、やはり評価関連は主観が入ってきてまとめるのが難しかったので、今回はテキストについての話を先に書こうと思う。
 よく2ちゃんねるなどの煽り系掲示板で嘲笑されているのが、慶應通信のテキストが古すぎる、旧仮名遣いで古典のようだといったものである。これについては入学当初から疑問に思っていた。少なくとも筆者が入学した時点で経済学部の教科書で旧仮名遣いだったのは「憲法(E)」だけだったし、これについても数年後に全面書き換え(市販書に移行)したため、現在は廃止になっている。まあ確かに、1科目でも旧仮名遣いのテキストが残っているのは驚異的だともいえるし、その他の科目でも古いテキストが散見されるので上述したように言いたい気持ちもわかるのだが、一方で改訂・全面書き換えしているものも多くあるので、放置しているというほどではないのではと思っていた。
 ただ、単に古いとかそうではないとか言っているだけでも芸がないので、今回もちょっと調べてみた。幸い、2008年度の塾生ガイドにはテキスト一覧が市販書も含めて掲載されている。手元のテキストと併せて確認したところ、これに掲載されているテキスト番号のうち、ハイフン以下の4桁数字の上2桁が、科目新設・全面書き換え時の西暦の下2桁になっているようだ。たとえば今手元にある経済数学のテキストは「E001-4904」となっているので、初版発行が1949年となる(ちなみに、このテキストは1997年に改訂されているため、内容はあまり変えていないそうだが古くささは全くない)。塾生ガイドにはさらに1989年4月以降の改訂・書き換えの年月も記載されているため、少なくとも最近20年についてはテキストの発行年を特定することができる。それ以前に改訂があった場合はわからないが(改訂があったときはテキスト番号の末尾が2以上になっているようだが、いつ改訂されたまではわからない)、あったとしても少なくとも20年以上前の改訂になるということで、今回は割り切ってテキスト番号を発行・改訂年として扱った。
 なお、市販書採用科目については、最近までは市販書の発行年をテキスト番号にしていたようだが、2007年くらいから科目新設・書き換え年をテキスト番号にするよう変更したようだ。まあどちらにしても、市販書の場合は別途発行年一覧が掲載されているので、そちらの記述に従い、テキスト番号は採用していない。
 というわけで、総合・各学部ごとにまとめたテキスト発行・改訂年が以下の表となる。

分類 科目名 発行・改訂年 市販書
総合教育科目 哲学 2003  
  論理学(A) 1979  
  文学 1976  
  歴史(日本史) 1995
  歴史(東洋史) 1971  
  改訂・歴史(西洋史) 2008  
  法学(憲法を含む) 1984  
  政治学(A) 2000  
  経済学 1981  
  新・社会学 2004
  統計学(A) 1994  
  数学(基礎) 2000  
  数学(微分・積分) 1985  
  数学(線形数学) 1997
  地学 2006  
  物理学 1996  
  化学 1996  
  生物学 2005  
  英語I 2000  
  英語II 2001  
  英語III 2000  
  英語VII 1989  
  ドイツ語第一部 1973  
  ドイツ語第二部 1980  
  ドイツ語第三部 1975  
  ドイツ語第四部 1988  
  フランス語第一部 1990  
  フランス語第二部 1995  
  フランス語第三部 1977  
  フランス語第四部 1995  
  新・保健衛生 2007  
  体育理論 2006  
文学部第一類 西洋哲学史I(古代・中世) 1988  
  西洋哲学史II(近世・現代) 1953  
  論理学(L) 1977  
  科学哲学 2004  
  倫理学 1989  
  現代倫理学の諸問題 1978  
  日本美術史I 1972  
  社会学史I 1997
  社会学史II 1995
  社会心理学 2003  
  都市社会学(L) 1999
  心理学I 1979  
  心理学II 1977  
  教育学 1993  
  教育心理学 1986  
  教育史 1982  
  教育思想史 1979  
  教育社会学 1995  
  心理・教育統計学 1992  
文学部第二類 史学概論 1974  
  歴史哲学 1967  
  日本史概説I 2003
    1996
  日本史特殊I 2004  
  日本史特殊II 1992  
  新・日本史特殊IV 2003
  古文書学 1949  
  東洋史概説I 1976  
  東洋史概説II 2003  
  東洋史特殊 2006  
  西洋史概説I 1972  
  西洋史概説II 1988  
  西洋史特殊I 1972  
  西洋史特殊III 2002  
  オリエント考古学 1991  
  考古学 1988
  地理学I(L) 1962  
  地理学II(地誌学)(L) 1973  
  人文地理学 2005  
文学部第三類 国語学 1949  
  国語学各論 1968  
  国文学 1977  
  国文学史 1959  
  近代日本文学 1995  
  国文学古典研究I 2004  
  国文学古典研究II-1 1965  
  国文学古典研究II-2 1969  
  国文学古典研究III 1977  
  国文学古典研究IV 1994  
  国語国文学古典研究V 1975  
  書道 1977  
  中国文学史 2000  
  漢文学I 1996  
  漢文学II(論語) 1962  
  漢文学III(孟子) 1960  
  新・現代英語学 2007  
  英語学概論 1992  
  英語音声学 1950  
  英語史 2003  
  ACADEMIC WRITING I 1998  
  ACADEMIC WRITING II 1999  
  現代英文学 1977  
  英文学特殊 1992  
  中世英文学史 1976  
  近世英文学史 1977  
  イギリス文学研究I 2004
  イギリス文学研究II 1976  
  イギリス文学研究III 1979  
  アメリカ文学 2003
  アメリカ文学研究I 1976  
  アメリカ文学研究II 1969  
  シェイクスピア研究 1977  
  新・日米比較文化論(総論) 2004
  近代ドイツ小説 1997  
  近代ドイツ演劇 1996  
  十九世紀のフランス文学I 1996  
  十九世紀のフランス文学II 1998  
  二十世紀のフランス文学 1983  
  新・ロシア文学 2007  
  ラテン文学 1984  
経済学部 経済原論(E) 1995  
  新・経済政策学(E) 2008  
  経済史 1997  
  財政論(E) 1976  
  金融論(E) 2003
  経営学(E) 1994  
  経済変動論 1995  
  新・国民所得論
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2008  
  計量経済学 1995
  経済数学 1997  
  日本経済史 1973  
  西洋経済史(中世) 1978  
  西洋経済史(近世) 1992  
  社会思想史II 1976  
  社会政策(E) 1993  
  国際貿易論 1997  
  人口論 2000
  世界経済論 1999
  都市社会学(E) 1999
  産業社会学(E) 1975  
  地理学I(E) 1962  
  地理学II(地誌学)(E) 1973  
  経営管理論 1985  
  経営分析論 1991  
  経営数学 1976  
  商業学 2001
  保険学 1995  
  新・会計学(E) 1998
  簿記論 1976  
  原価計算 1997
  会計監査 1983  
  憲法(E) 2000
  民法 2008
  労働法(E) 1954  
  経済法(E) 2005
  新・会社法(E) 2006
法学部 憲法(J) 2000
  改訂・民法総論 2007
  刑法総論 2004
  法哲学 1954  
  日本法制史I(古代) 2003  
  国際法I 1999
  国際法II 1998  
  行政法 2005
  新・物権法 2007
  債権総論 2005  
  債権各論 2004  
  親族法 2000  
  相続法 1970  
  新・会社法(J) 2006
  商法総則・商行為法 2007
  保険法・海商法 2004
  手形法 2003
  新・刑事政策学 2008
  刑法各論 2007
  民事訴訟法 2005
  破産法 2006
  新・刑事訴訟法 2007  
  国際私法 1950  
  労働法(J) 1954  
  経済法(J) 2005
  英米法 1979  
  政治学(J) 1972  
  政治哲学 1976  
  日本政治史I(古代) 1977  
  日本政治史II(中世) 1985  
  日本政治史 1972  
  ヨーロッパ政治史 1972  
  アメリカ政治史 2005
  ロシアの政治 2005  
  現代中国論 1999
    2004
  日本外交史I 1973  
  日本外交史II 1993  
  西洋外交史 1998  
  政治思想史III 1998  
  ヨーロッパ中世政治思想 1998  
  コミュニケーション論 2006  
  産業社会学(J) 1975  
  経済原論(J) 1995  
  財政論(J) 1976  
  金融論(J) 2003
  新・経済政策学(J) 2008  
  社会政策(J) 1993  
  経営学(J) 1994  
  新・会計学(J) 1998

 これを見た限りでは、学部によってかなり差があるが、それほど古いテキストだらけではないような気がする。そこで、もう少しわかりやすいようにこれをヒストグラムにしてみた。
 まず、単純に古いものから10年刻みで順に集計し、総合教育・各学部科目別に積み重ねてグラフを作ってみた。それが以下のグラフだ。
発行年別テキスト数
 次に、テキストの古さの度合いが学部ごとに偏っているような気がしたので、学部別にテキストの古さの度合いを集計してみた。それが以下のグラフだ。
総合科目・学部科目別テキスト発行年割合
 これらのグラフを見てまずわかることは、やはり言われているほど古いテキストは多くないという点だ。確かにまだ多少残っているのは残念だけれども、少なくとも半分以上は平成に入ってからの発行・改訂であるし、近年も発行・改訂のペースは鈍っていない。ちょうど昨日、2月のニューズレターがうちに届いたが、2009年度も多くの科目が全面書き換えとなっていた。たとえば古いものでは1962年発行の地理学Iも全面書き換えとなる。いずれ大半の科目テキストは最新のものになるのではないだろうか。
 次いで確認できるのは、文学部のテキストの古さだ。他の学部では6~7割が平成に入ってからのテキストで、総合教育科目も6割近くが平成に入ってからのものである(80年代以降に広げると8割近く)。その一方で文学部のテキストで平成以降に発行されたものは半分に満たない。上の表を見ると特に第三類のテキストの古さが目立つ。これは内容が文学史や古典研究といったものだから、社会の変化に伴って改訂が必要になる経済学部・法学部と比較すると改訂の必要性が低いと判断されているのだろうか。また、市販書採用科目も極端に少ない。経済学部は36科目中12科目が市販書を採用し、法学部は49科目(テキスト数は50)中、19科目(テキスト数は20)で市販書を採用している一方で、文学部は79科目(テキスト数は80)中、市販書採用科目はわずかに9科目(テキスト数は10)である。
 慶應通信の在学生で最も多いのは文学部だ。テキストの古さについて話題に上るのも、文学部のテキストが古いことに由来するのではないだろうか。
 なお、テキスト発行年の山が近年のほかに1970年代にもできているのは興味深い。以前紹介した奥井晶氏の著書によると、1974年度から1978年度にかけて、通信制を実施していた各大学に文部省が補助金を出し、古いテキストの全面改定を行ったと記載されているため、そのときの科目なのだろう。大学通信教育の歴史も垣間見ることができた。
 というわけで、この噂についての筆者の結論は以下の通り。確かに古いテキストはまだ残っているが、特に経済学部と法学部において改訂は進んでいる。今後も、古いテキストで問題ないと判断されているような文学部の一部科目を除いては、テキストの改訂は進んでゆくのではないだろうか。
 なお、筆者は慶應通信のテキスト科目における学習のしづらさは、テキストの古さよりももっと別のところにあると考えているのだが(これは奥井氏も指摘している)、それはまたいずれ書きたいと思う。

慶應義塾大学通信教育課程の噂:レポート

(前回まではちょっと文体が硬かったので、もう少し普通に書きます)
 土日は慶應通信の科目試験の日。筆者は日曜日に妻が出かけるために娘のお守りをしなければならなかったので土曜日のみ受験したんだけど、全然だめだったね。特に統計学。さすがに公式もろくに覚えずに受けたのは無謀だった。問題用紙に公式が書いてあると聞いていたんだけど、全部書いてあるわけではなかったのね。次回がんばります。
 ところで、慶應の通信がなかなか卒業できない理由の一つとして、レポートの返却がすさまじく遅いというものがある。まず数ヶ月かかるのが普通で、遅いと1年くらい待たされるといった話がWeb上のいろんなところに書いてある。20世紀の終わりくらいにはそれで訴訟まで起こされたようだ。ちなみに訴訟を起こしたのは以前に著書を紹介したライターの松本肇氏で、リンク先のサイトでネタばらしをしているけど、この噂を聞いて、始めから噂が本当なら訴えてやろうと思って入学したそうだ。氏の他の著書を読んでも思うけど、やっぱりライターの行動力はすごい。ちなみに筆者はこの訴訟の後でレポート返却期間がかなり早く(ましに)なったという話を松本氏のサイトで読んで入学を決めたので、氏は筆者を慶應に導いてくれたある意味恩人だったりする。
 では、実際のところ現在の慶應通信のレポート返却期間はどれくらいなのだろうか。筆者はレポートの評価とともに返却期間もメモして表にしているので、そこから現在のレポート返却状況について考察してみる。
 まず、以下の表が筆者がこれまで提出したレポートとその返却状況だ。これを見て、「2003年入学のくせにまともにレポート出し始めたのはここ2年くらいじゃないか」と自分につっこみを入れたくなるけど、それはぐっと我慢。これをご覧になった方は、とりあえずこんないい加減なやつでも慶應通信を続けていられるんだと思っていただければ。

科目名 年度 提出回 受付日 提出締切日 締切差 返送日 採点期間 評価
経営管理論 2005 1 2005/09/05 2005/09/05 0 2005/12/02 88 C
産業社会学(E) 2005 1 2005/12/05 2005/12/05 0 2006/01/20 46 B
保険学 2005 1 2006/03/06 2006/03/06 0 2006/04/19 44 B
経営学(E) 2006 1 2006/05/22 2006/05/22 0 2006/08/09 79 D
会計学(E) 2006 1 2007/05/10 2007/05/28 18 2007/05/25 15 A
金融論(E) 2007 1 2007/05/17 2007/05/28 11 2007/06/29 43 A
経済史 2007 1 2007/07/03 2007/09/03 62 2007/07/18 15 D
経済史 2007 2 2007/07/23 2007/09/03 42 2007/08/10 18 B
経営学(E) 2007 1 2007/07/23 2007/09/03 42 2007/08/31 39 B
統計学(A)第1回 2007 1 2007/08/01 2007/09/03 33 2007/08/15 14 A
経済原論(E)前半 2007 1 2007/08/27 2007/09/03 7 2007/09/28 32 D
経済原論(E)後半 2007 1 2007/09/03 2007/09/03 0 2007/10/19 46 B
簿記論 2007 1 2007/11/20 2007/12/03 13 2007/12/05 15 A
経済原論(E)前半 2007 2 2007/12/19 2008/03/03 75 2008/02/13 56 B
経済政策学(E) 2007 1 2008/05/26 2008/05/26 0 2008/08/27 93 D
国民所得論 2007 1 2008/07/14 2008/09/01 49 2008/08/27 44 A
財政論(E) 2008 1 2008/08/01 2008/09/01 31 2008/10/08 68 C
人口論 2008 1 2008/08/27 2008/09/01 5 2008/10/31 65 A
経済政策学(E) 2007 2 2008/10/07 2008/12/01 55 2008/11/07 31 B
都市社会学(E) 2008 1 2008/11/26 2008/12/01 5 2008/12/10 14 A
統計学(A)第2回 2008 1 2008/10/28 2008/12/01 34 2008/12/10 43 A
統計学(A)第4回 2008 1 2008/11/20 2008/12/01 11 2008/12/12 22 A
統計学(A)第3回 2008 1 2008/11/07 2008/12/01 24 2008/12/17 40 A
会計監査 2008 1 2009/01/07 2009/03/02 54 2009/01/16 9 A

 この表で、「受付日」と「返送日」はそれぞれ返却されたレポートの「受付年月日」「返送年月日」に押された印の日付(おそらく「受付年月日」は消印の日)で、「提出締切日」は直近の科目試験のためのレポート締切日、そして「採点期間」は「受付日」と「返送日」の差で、「締切差」は「受付日」と「提出締切日」の差である。まず「採点期間」をざっと見ていただくと、ばらつきはあるけれどもだいたい1ヶ月強くらいで返却されていることがわかると思う。もう少しちゃんと計算してみると、
レポートの平均返却期間:41日 標準偏差:24.27
となる。
 この段階で、噂ほどはレポートの返却は遅くないことがわかると思う。唯一事務局が目安としている(これ以上遅かったら連絡をくれと言っている)3ヶ月を超えてしまったのが経済政策学の93日だが、まあ1日だけだし(大の月を2回挟んだので)、許容範囲ではないかと思う。
 というところで今回は終えてもいいんだけれども、せっかくここまで表を作ったのでもう少し分析してみる。まずもう少し分野別に平均を出してみて、差がないかどうか見てみた。とりあえず合格・不合格、また必修・選択科目で分けて平均を出してみると、以下の通りとなった。
合格レポート:38日
不合格レポート:55日
必修科目:43日
選択科目:38日
 これだと必修と選択の差はあまりないように思える。一方で合格と不合格ではレポート返却期間に差があるようだ。そこで、せっかく統計学の勉強をしたので、評価と返却期間について相関係数を求めてみることにした。今回は評価のA~Dをそれぞれ1~4と割り当てて計算した。すると、相関係数は0.49619となった。だいたい中くらいの相関なのかな。統計学のテキストによると、自由度22(標本数24から変数2を引いた数)の5%有意水準は0.404らしいので、有意な相関といえると思う。といっても先日のテストをおそらく落としている筆者が偉そうにいえるものではないけど。
 ついでに、締切ぎりぎりに出した方が、レポートが殺到していて採点が大変で返却が遅れるのではないかと思ったので、これも相関係数を求めてみた。すると締切差と採点期間の相関係数は-0.3577。どうやら有意な相関ではないようだ。
 というわけで、どうやら返却が遅いほどレポートの評価は期待できないようだ。さんざん待たされたあげくに帰ってきたレポートはD。うーん、これはダメージが大きい。
 なお、上の表には入れていないけど、もっとはっきりと返却期間の傾向がわかるものがある。それが採点者だ。たとえば経済史の第1回提出と再提出の採点者は同じ先生だが、返却期間が15日、18日ととても早い。また会計学と会計監査の採点者も同じ先生だが、返却期間は15日と9日(!)だ。ただこれも、たとえば統計学の第1回と第3回の採点者は同じ先生だが、返却期間は14日に40日で全然違っていたりと、確実な法則とはいえない。
 というところで、筆者の結論は「レポート返却は噂ほど遅いとはいえず、(少なくとも筆者にとっては)レポート返却の遅さによって学習に支障が出たことはない」というものだ。ただ大学によっては1ヶ月以内のレポート返却が決まっていたり、レポート返却予定日がWeb上で確認できたりするところもあるようなので(以前どこかの大学のWebサイトで見たことがあるが、どこの大学かは忘れてしまった)、今の慶應の状態がベストではないと言うことも押さえておきたい。
 では次回は、レポートについてのもう一つの噂、「レポートの採点が厳しい」というものについて考えてみたい。でもこれは結構難しいんだよね。人によって感じ方が違うと思うし、客観的に表すことができないと思うので。

慶應義塾大学通信教育課程の噂:卒業率(その2)

 それでは、筆者の考察(ともいえない妄想)を書くこととする。それにしても、科目試験まで一週間を切っているというのにこのような駄文を書き連ねているのは明らかに時間の浪費なのだが(しかも毎朝出勤途中に会社近くの喫茶店に寄って書いている)、中途半端に終わっていると落ち着かないので。
 まずこの表の全体を集計すると、通信教育課程が始まってから現在までの卒業率が約5%ということがわかる。この卒業率は噂でよく出てくる割合とほぼ一緒である。しかしながら、これは通信教育課程発足直後の現在とは全く環境が異なる時代の数値も含んだものであり、直近ではどうなのかがぼやけてしまっているように感じる。そこで、もっと単純にその年度の卒業者数を入学者数で割った割合を「単純卒業率」として出してみる。
 当然ながら、入学者がその年度にすぐ卒業することはあり得ないので、この「単純卒業率」は正確な卒業率を表してはいない。ただ、分母である入学者数が安定しているのであれば、ある程度実態を反映しているのではないかと思って出してみた。これを見ると、発足直後は除いてしばらくは5%を超える卒業率であるが、1970年代には5%を切る低迷期が続き、その後1980年代はほぼ5%で横ばい、そして1990年代後半以降は急に卒業率が跳ね上がり、直近では20%前後の卒業率となっていることがわかる。
 しかしながら、この直近の高い卒業率はあまり実態を表していないだろう。この時期、入学者数がそれまでの3000人台から一気に1500人程度まで激減し、先ほど書いた安定した入学者数という前提を満たしていないからである。たとえば直近の2007年度について考えてみると、「ニュースレター慶應通信2008年春季特別号」に記載された卒業生の在籍年数は、12.5年以上(つまり最長在籍年数までに卒業できず、再登録して卒業した人)が1/3の101名となっている。この人たちが入学したと思われる13~16年ほど前の入学者数は5000人前後もいる。これだけを見ても、この「単純卒業率」があまり当てにならないことがわかる。
 ただ、そうはいっても近年卒業率が急速に改善されているだろうことは想像ができる。1980年代までは200人前後で安定していた卒業者数が、直近15年ではほとんど300人を超えているためである。今後、入学者ラッシュの影響がなくなった後の卒業者数がどのように推移するのかは興味深い。
 また、もう一つの注目点は「退学率」である。通算の入学者数・卒業者数と現在在籍者数から退学者数=入学者数-(卒業者数+在籍者数)を算出し、そこから退学率=退学者数/入学者数を求めると、実に90.7%にも上る。この数値も直近ではなく通信教育発足以来の通算であるが、いかに途中で挫折する人が多いかの傍証にはなるであろう。
 さて、このように慶應の卒業率について考察してみて、絶対的に卒業が難しいことはわかったが、他の大学と比較して卒業は難関なのであろうか。直近で入手できるデータとして平成20年度学校基本調査があるが、これによると大学通信教育の正規課程在学者数は185,719名、平成19年度中の卒業者数は16,232名となり、これで求められる「卒業者/在学者」率は8.7%となる。同じ計算を慶應でも行ってみると、平成19年度在学者数9,383-1,202=8,181名、卒業者数323名であり、「卒業者/在学者」率は3.9%となる。どちらも厳しい数字だが、このように比較すると、やはり慶應通信の卒業の厳しさは際立っている。
 以上で卒業率についての考察はとりあえず終える。やはり中途半端なデータだけで判断するのは難しい。ただ、慶應にしても他大学にしても、通信教育で卒業するまでこぎつけるのはかなり大変だというイメージは持ったのではないだろうか。
 次回以降は、なぜ慶應通信の卒業が難しいのかという点でよく挙げられる噂である、「レポートの返信が遅い」「採点が厳しい」について考えてみる。

慶應義塾大学通信教育課程の噂:卒業率

 慶應の通信教育課程における噂でもっともよく聞くのは「低い卒業率」であろう。曰く、一割もない、いや5%だ、いや3%だ、といったような話は、慶友会などの通信仲間での会話や慶應通信を扱ったブログを閲覧するとよく出てくる。
 しかしながら、実際はどうなのだろうか。これがなかなか難しい。まず大学が卒業率を公表していない(Webサイトの「入学者Q&A」を参照)。そもそも卒業率の計算をどう行うのかによって数値も異なってくる。たとえば日本福祉大学通信教育部は高い卒業率をアピールしているが、ここで使用されている卒業率は4年次在籍者卒業率である。また、中央大学通信教育課程のWebにあるFAQでもこの計算式を使用している。この計算式が表すのは、年次的にもう卒業可能になっている学生の中からどれくらい卒業生が出ているかの数値であり、たとえば通信教育について行けずに1年で中退した学生についてはこの母数には含まれない。確かに大学から見ると興味本位で入学してすぐ退学する学生を数に含めたくないという気持ちはわかるのだが、筆者を含め通信教育の受講を考えている人間が知りたいのは、このような学生も含めた卒業率ではないだろうか。まあそもそも慶應では4年次在籍者(慶應の場合は学年制をとっていないと明言しているので、テキスト配本完了年以降の在籍者とでもなろうか)の人数は公表されていないため、この計算式をとることはできない。
というわけで、慶應で公表されている数値を用いながら、できるだけ卒業率に近いものを求めようと、去年の夏頃に少し調べてみた。慶應では、通信教育発足50周年を記念して1998年に「慶應義塾大学通信教育部の五十年」という本を出版している。この巻末に通信教育が誕生した1948年から1997年までの入学者数と卒業者数が記載されている。これに、1998年以降の「ニューズレター慶應通信」(毎月通信生に配布される学内連絡用の冊子)各号の中で入学者数・卒業者数が記載されたものをメモして表にまとめてみた。
ただこれが意外と大変だった。筆者が入学したのは2003年であるため、それ以前のニューズレターは大学図書館で閲覧したのであるが、ここで集計した数値のうち、1998年~2000年の入学者数が、2008年春季特別号に記載されている年度別の入学者数と一致しない(春季特別号では全体数を集計している。今回は学部別の数値をまとめたかったために過去のニューズレターをあたった)。具体的にはすべて数十人多くなってしまう。数え間違いかと思ってもう一度図書館に行って1998年のものだけ数えなおしたが間違いはない。おそらくニューズレターに発表されなかった入学辞退者でもいたのだろうとあきらめ(でも2001年以降は一致しているのだが)、学部別と全体集計とで別々の値を用いることで妥協した。
このようにまとめたのが、20090114-stat_graduate.pdfである。とりあえず眺めていただきたい。次回にこの集計値についての筆者の考察をまとめてみる。

慶應義塾大学通信教育課程:概要

これまでも書いてきたとおり、慶應の通信教育課程はもっとも古い大学通信教育の一つであり(法政に次いで2校目)、それゆえ採用している制度はもっともオーソドックスなものであるといえる。以下、簡単にその特徴をまとめる。

  • 学費が低廉である。
  • 基本的な学習手順は以下の通り。
    1. テキスト・参考書を読む
    2. レポートを作成する(科目によって異なるが、基本的には4000字以内)。
    3. レポート提出・受付の時点で科目試験受験資格が発生
    4. 科目試験を受験
    5. 試験・レポートがともに合格した時点で単位取得
    6. 卒業所用単位の1/4はスクーリング(要するに普通の講義)で取得
    7. 一定の条件(所得単位等)を満たすと卒業論文指導を受けて卒論作成開始
    8. 半年ごとに卒論指導を受け、提出可能となれば卒論提出
    9. 卒業所用単位の充足・卒論の提出が終わると最後に卒業試験(卒論審査と面接試問)を受け、合格であれば卒業
  • 大学側からのサポートは薄い。科目試験の受験から卒業の申告まで基本的にはすべて学生側からのアクションによって実施される。
  • その代わり学生の自主的な集まりである「慶友会」をサポート

とりあえずこんなところにしておくが、要するに「学士となるための道筋(カリキュラム)とリソースは用意した。これをどう利用するのかはあなた次第だ。」というのが大学側のメッセージであろうか。ある意味突き放した姿勢である。
さて、この慶應の大学通信教育であるが、日本屈指のブランド私大が実施していることもあって、インターネット上には様々な噂が流れている。この中には、当然ながら確かにそうだと頷けるものから本当にそうだろうかと首をひねるものまで様々なものがある。次回以降は、これら噂を、筆者のこれまでの体験と資料から検証していきたいと思う。しかしながら、当然ながら筆者はこの通信教育の全貌を把握しているわけでもないし、まだ卒論指導を受けている段階で卒業すらしていない。また、慶應通信以外には通学課程の大学を1校卒業しているのみであり、他の通信教育や通学課程との比較が適切にできるかどうかもわからない。というわけで、今後記載する事項は、あくまでも筆者の主観であるということをあらかじめご承知願いたい。
その代わりに、筆者が有用だと感じた通信教育に関するWebサイトをいくつか紹介する。
大学通信教育つれづれ
9つの大学通信教育を体験されている方が通信教育の特徴について記載されているブログ。慶應通信も卒業されているが、かなり昔であるため記載内容に現状と異なる点もあるが(ご本人もその旨断りを入れている)、実際に体験した上での各大学の通信教育比較はほかにできる方がなかなかいないため、とても参考になるサイトである。
ようこそ!アトランティスへ
2007年に慶應通信を卒業されたアトラン氏によるサイト。氏は他の通信教育も体験されており、それらと比較した現在の慶應通信の内容が豊富に記載されている。何より氏のエネルギッシュな姿勢がにじみ出たテキストを読むと、こちらもやる気にさせてくれる。
通信制大学体験記
1994年に慶應通信を卒業された方のサイト。これも情報は古いのだが、慶應通信での勉学の仕方が網羅されていて、非常に参考になる。筆者はこのサイトを読んで慶應通信に入学しようと決意した。
以上、例によって次回も更新間隔は長いと思うが(もうすぐ科目試験でもあるし)、今後ともご愛読いただければ幸いである。