Software Design 1994年11月号

特集は「コンピュータグラフィクス最前線」。CGの基礎、OpenGLの解説など当時のCG事情を概観できる。

一般記事「Tcl/Tk入門」。Tcl/Tkは自分も大学に入った頃(97年位)はよく聞いた気がするけど、結局あまり流行らなかったと考えていいのかな。でも今でもDBベンチマークツールのHammerDBなど、地味に使われているね。

連載「OS Watch」ではChicago、つまり後のWindows95が取り上げられている。発売の1年前からこの盛り上がり方(盛り上げ方?)だったのが当日のフィーバーまでつながっていたのか。

Software Design 1994年10月号

特集は「徹底調査!これがX11R6」。筆者が最初に触れた頃のXはこのバージョン、というか、PC-UNIXから入った人の大半はこれだと思う。このあと6.1, 6.2と続き、最後の6.9が7.0と同時にリリースされるのが2005年、ということは基本的に10年続いたバージョンということになるわけだ。このバージョンでXIMがリリースされ、国際化対応も一段落ついたということになったらしい。

新連載「Internet Surfing with WWW」。主なWebサイトの紹介記事だ。今から見ると非常に素朴な画面の各国・各企業のWebサイトがこれから毎号紹介される。貴重な資料である。

Software Design 1994年9月号

特集は前号の続きで「インターネット入門 [活用編]」。前回は接続方法が主な内容だったが、今回はアプリケーションについて。メールとニュース、そしてもちろんWWWも(1月号ではWWWの話はなかった)。

前回取り上げたTowns Linuxの連載は無事第2回が掲載されているが、それと全く同じ「Let’s Enjoy Linux!」を冠した別の連載もスタートしている。その名も「Linux活用メモ」。Linuxとインターネットが同じタイミングでどんどん取り上げられるようになっていくのが興味深い。

「オブジェクト指向データベース入門」という記事。「第1部 リレーショナルデータベースの世紀末」というやや刺激的なサブタイトルで、以下にRDBとオブジェクト指向プログラミングの相性が悪いかが説明されている。このあたり、結局なぜオブジェクト指向データベースはうまく行かず、今でもRDBが使われ続けているのかはどこかで調べてまとめてみたい。

Software Design 1994年8月号

特集は「インターネット入門 [接続編]」。1月号、5月号の特別企画に続いての登場だ。もう完全にインターネットブームがスタートしていたと思っていいのだろう。ちなみにこれまでは「Internet」と英語表記だったのが、今回の特集では記事のタイトルは「インターネット」とカタカナ表記に統一されている。

新連載で「Towns Linux WORLD GUIDE」というのが始まっている。ただタイトル名の上に「Let’s Enjoy Linux!」というのがでかでかと書いているので、そっちがタイトルであるようにしか見えない。それにしてもTownsにもLinuxが移植されていたというのは初めて知った。

Software Design 1994年7月号

特集は「もっと手軽にNFS」。MS-DOSやNetWareからNFSを使おうという主旨の特集なのだが、今のように手軽にLinuxが使える環境に慣れていると、全然手軽に見えない。

特別企画は「PC UNIX真っ盛り」。386BSDを始めとしたPC上で動作するUNIX系OSの特集で、本誌でも再三取り上げられているネタだ。よっぽど反響がいいのだろうと思われる。

連載記事「Cheers for NeXT!」は、通常はタイトルとは裏腹に変質していくNeXT周辺についての嘆き節がメインなのだが、今回はほぼインターネットについての記事。特にWWWについて大きくページを割いており、まさにこの94年がwwwの一般への普及元年だったことが伺える。

Software Design 1994年6月号

まず特集のタイトルを見て頭がクラクラした。「UNIXだってマルチメディアしたい!」だ。CD-ROMが読めて動画や音楽の再生ができればマルチメディアだ、というのが当時の認識だっただろうか(記事内容から想像)。おそらく筆者が聞いた最初のIT系のバズワードがこれだったような気がする。でも今まさに世の中で最も使われているコンシューマ向けIT機器の用途がこれだし(メディアはすべてネット経由だけど)、言葉自体は聞かなくなってもどっこい生きている概念と言えるかも。

特別企画が「ネットワークOS大集合」。今までずっとネットワークOS(というかNetWare)ってなんなのかよくわからなかったのだが(ネットワーク技術に触れ始めた頃はすでにTCP/IP一色の環境しかなかった)、これを読んでやっとわかった。OSという言葉に引っ張られていたけど、要はNICドライバ、ネットワークプロトコルおよび各種サービスがセットになったパッケージなのね。

新連載の「クライアント/サーバデータベース事始め」。著者は玉川竜司さんだ。玉川さんってこの頃からすでに執筆活動していたんですね。所属は「(株)テーロ」となっているけど、ちょっと調べたら現在の所属先のSkyが子会社のテーロを合併したという情報があったので、出戻りじゃなければずっと同じグループの会社にいることになるのか。この業界では珍しい。

Software Design 1994年5月号

冒頭の連載「OS Watch」は、PowerPCに対するAppleとIBMの話だ。AppleはPowerPCへの移行、IBMはPRePという標準規格の推進。結局PRePは普及しなかったことは歴史が示すとおり。

特集は「低価格ワークステーション120%活用法」だが、表題のまんま、単なる低価格WSの紹介記事なので省略。

本号の目玉は「特別企画 身近になったInternet」だろう。徐々に増えてきたインターネットネタだが、個人でIIJに接続した人の記事や(まだ個人でインターネット接続環境を持つのは非常に敷居が高かったことがわかる)、WWWサイトをいち早く公開した奈良先端科学技術大学院大学の関係者へのインタビューが掲載されている。

Software Design 1994年4月号

特集は「RISCの可能性」。この頃が一番RISCの将来性について議論されていた頃だったか。結局PCはx86アーキテクチャがRISCを蹴散らしたが(というかIntelがRISCの長所をうまく取り込んだというべきか)、スマホなどのモバイル機器や組み込み機器はRISCのARMが制覇したというのが24年後の今。なお、この特集の中の記事、「Alpha PCに見るRISCパソコンの可能性」という川俣晶氏の寄稿が、RISCというよりWindows NTの(ということはイコール今のWindowsの)設計思想の原点を押さえる上で興味深い。

 

Software Design 1994年3月号

特集は「ワークステーション周辺機器アラカルト」。主にSCSI機器の接続を解説?した記事だ。これを読んで、ちょうど同じ頃のOh! X誌でX68000に接続するMOドライブの特集があったことを思い出した。SCSIは標準規格のはずなのによく接続に問題があったなあ。

Laser5版日本語Linux + JEの紹介記事。JE(と後のPJE)といえば、初期のLinuxの日本語化に多大な貢献をしたプロジェクトだったのを思い出す。ところでこの記事の中で、当該ディストリビューションのことを「Laser5 Linux」と略しているが、これはもちろん後のLASER5 Linux(Red Hatと喧嘩別れしてできた独自の日本語Linuxディストリビューション)とは無関係。

連載「Cheers for NeXT!」の第3回では、NeXT創業時の裏話の暴露本についての話題。今となってはSteve Jobsの尋常じゃないこだわりとApple初期からNeXTにかけてのメチャクチャな経営は有名だが、当時はまだNeXTを経営している真っ最中であることもあり、生々しい。

連載「フリーソフト道楽」の枕の部分でWWWについて取り上げられている。当時の奈良先端科学技術大学院大学のHomePageがブラウザ(たぶんMosaic)で表示されている貴重な写真も掲載されている。

 

Software Design 1994年2月号

特集は「実践!クライアント/サーバコンピューティング」。当時のSD誌はワークステーションが話題の中心であるため、サーバについての話は珍しい。当時はクライアントサーバ構成は珍しかったのか、はじめに丁寧に説明していたのが印象深い。

連載第2回の「OS Watch」は、どっこい生きてたOS/2というタイトルでOS/2の話題。自分がPCを触り始めたのがこの2年ほど前で、その頃はよく聞いていたOS/2の話題がたしかにこの頃はほぼ聞かれなくなったのを思い出した。このあとは歴史が示すとおりWindows 95とガチンコ勝負したOS/2 WARPが敗れて歴史の中に消えていくのだが、この記事はどっこい生きてたというタイトルとは反対に、その後を予言するようだった。