クラブ・ブリュージュ 2 – 1 アヤックス

UEFAチャンピオンズリーグ・グループHは、ここまでACミランの勝ち抜けが決定している以外、3チームの勝ち点差が1の混戦状態で最終第6節に残り1チームの勝ち抜けがかかっている。ベルギー・ブリュージュのホームスタジアムは満員のサポーターが共鳴してブリュージュホームの環境を作り出し、また雨の影響でピッチの一部が凍ってしまうほどの悪条件で、早いパス回しをそのスタイルとするアヤックスには不利な状況となっていた。

開始からブリュージュペースで試合が進んでいく。早い時間帯で何度も決定機をつくるブリュージュに対し、その攻撃を跳ね返すことに終始せざるを得ないアヤックスは攻撃どころか落ち着く暇もない状態が続いた。

そして27分、何気ないアーリークロスがPAまで通ってしまい、それに反応したFWランゲがDFに寄せられながらもヘディングシュートでブリュージュ先制。ペースをつかんでいても得点できず、逆に一発の逆襲で敵にあっさり得点されてしまうのはよくあることだが(特にホームで多い)、この時間帯できっちり決めてきたブリュージュはやはり、しぶとさが信条のベルギーのクラブチームなのだなあと感じた。

この後両者攻める時間が続く。アヤックスもピッチに慣れてきたのか、セカンドボールを拾えるようになりそれまでブリュージュサイドでしか動かなかったゲームがフルコートで展開されるようになっていった。

そして前半終了間際、左のミテアのクロスボールをイブラヒモビッチが競った時にベルヘイデンがうっかりハンドでPK、これをソンクが決めて同点となる。イブラヒモビッチが取ったPKなんだから彼が蹴るのではと思っていたが、敢えて昨シーズンまでベルギーでプレイしていたベルギー人、ソンクに任せたのは、またそれを決めたソンクの落ち着いた表情も、このゲーム落とせないアヤックスの意志表明のようだった。

前半は早い段階でブリュージュのゲームとなりアヤックスもリアクションをせざるを得ない状況だったが、一点取られた後は持ち直したようだった。この流れで後半へ。

後半も基本的にはブリュージュペースが続いていくが、アヤックスもカウンターに出るときはいいところまでいくものの決定機には到らない。というのも得意のサイドアタックはブリュージュの守備に押し込まれてあまり機能せず、一本調子の攻めを強いられていたからで、しばしカウンター合戦のようなものが続いた。

アヤックスとしてはこの状況で引き分けでもOKのような、ブリュージュにボールを持たせた感じになり試合は硬直する。勝つしかないブリュージュはポスト役のランゲを下げて山田くん(仮名。名前忘れた)を投入して流れを変えようとする。

そして終了間際の84分にブリュージュのカウンターからアヤックスのクリアボールがなぜか山田くんの足下に入り、ついにブリュージュ勝ち越しゴール。試合はこのままブリュージュが逃げ切り勝利した。・・・が、セルタが2軍ミランに勝ったため結局ブリュージュは勝ち抜けることはできなかった。

ブリュージュは勝つ意志を全面に出し結果を伴わせた力強いサッカーを見せた。いいゲームだった。

野球狂の詩 ★★☆☆☆

いきなり水原勇気話。
たぶん企画段階で、水島新司が当時バリバリのアイドルだったであろう木内みどりに会いたいつーか尊敬されたいつーかぶっちゃけ触りたいだけの話がトントン拍子に進み、じゃあ今またファンタジー野球話として好評の野球狂があるでねえがと、そういう感じで進んだのかもしれない。
というわけでドカベンほどおもしろに走っておらず、なんだかんだでまともな映画ちゃあそうなんだがオリジナルが頭おかしいのでやっぱ変な映画だ。
というのも、話の核であった水原と西山さん(一軍と二軍を往来するキャッチャーの人の仮名、絶対に西山さんではない)との絡みが、ここから来てクライマックスになるのではないかという所で尻切れ気味に映画自体が終了してしまうというあっけなさ、そりゃまあ純粋に映画が好きだ!好きだ!な人からは日本映画見放されるのもうなずけるような作品であるし、当時の勢いでごまかせばなんとかなるブームを反映しているような、なんとも中途半端な映画でした。

ドカベン ★★☆☆☆

水島新司 脳内野球漫画のひとつ、ファンタジーな野球の話。
冒頭いきなりドカベン~26巻が好評発売中だよ的なCM映像から入るのがこの時代、この映画のポジションを物語っているという、現代ではありえないつかみの映像でその世界観に巻き込むことにまずは成功してるのではなかろうか。

イワキ役は図体のでかい人が演じていて、口にはこれもむかしのバンカラ漫画などでよくある草(こういうやつ→
を常にくわえている状態で話したり、おもしろな感じのことをやったりするのがひどく大変そうだった。さらにイワキが惚れている女に当時女子プロレスで名をはせていたマッハ文朱を起用、学園っぽい話meetsマッハ文朱という組み合わせは古来よりかなりはまる。
で話は野球がほとんど登場しない、クライマックスは柔道の腕一本フェアプレー山田だぜの所で、野球らしいシーンと言えばその後にいきなり登場する作者水島によるノックのシーンぐらいで、当時山田の野球での活躍を期待したであろうチャンピオン読者は失望したことだろう。
それ以上に一番気になったのがコカコーラのタイアップの尋常でない丸出しっぷりであり、マッハ文朱はイワキの応援シーンでコーラを常に携帯、うまそうに飲んだり、でかい宣伝看板が映し出されたりしたのが非常によかった。
という夢いっぱいな映画でした。

地獄甲子園 ★★☆☆☆

漫☆画太郎作全3巻 まだ絶版じゃないので是非ゲットしておこう。
原作における見所の一つである、うんこ・おしっこ・ゲロ・下痢・etc この辺がもろに「アウト」であるのは映画という表現媒体の限界の一つかもしれないが(つーかこんなもんは当然限界であっていいし)、やっぱ画太郎漫画の他メディア化というのはかなり難しいものだというのを再認識するような仕上がりになっていた。
たとえば上記の見所は自主規制であったり倫理規制であったりするが、それ以外の「意図的なコマコピー乱発」「背景は手抜きでもばばあやじじいはかなり綿密にしつこくリアル」といった要素すら映画では安っぽく、到底見るに耐えないものだというのが大きく印象として残った。
そんで内容以上に、自分が見ている後ろに座っている人達が大絶賛していたというのが、そっちの方が作品の出来よりむしろ気になった次第。

インテル 1 – 5 アーセナル

このところサッカー関係の文しかありませんが、自分の脳内が今のところサッカーで4割ぐらい占められていて、これはジャニーズ追っかけ女がジャニーズを追っかけている状態と大体一緒という認識でいいと思う。そのうえCL後半戦、EURO最終予選、Jリーグ優勝&降格争い、天皇杯、選手権と続く年の瀬は、スマップが乗っている御輿をV6となんだっけ・・・5人組のやつ(バンドみたいなものをやってる人)とキンキキッズと忍者と光GENJIと少年対が担いでやってきて、それをワッショイワッショイと掛け声送ってる状態。

UEFAチャンピオンズリーグも残りは今回の第五節含めて2試合、グループによっては勝ち抜けが決まっているところもあるがアーセナルが入ったグループは第4節まででどのチームも一位勝ち抜けが可能な大混戦状態。これまでアーセナルは、ハイバリーでの対インテル戦で0-3の大敗、前節ホームでの崖っぷちディナモ・キエフ戦では終了間際アシュリーコール魂のヘッドにより気合で勝利を得て1勝2敗1引き分けの勝ち点4、もう勝ち続けるしかない状態で糞インテルホーム・サンシーロに乗り込んでの雪辱戦である。


シーズン前からディフェンス陣の選手層の薄さが指摘されていたが、この大事な試合に不安定なパスカルシガンがCB、ローレンも怪我で右SBは最近CBやってるコロトゥーレというやりくり布陣はせつない。他にもヴィエラ・ジウベウトシウバ・ヴィルトール・キーオンあたりが怪我で離脱し、ベルカンプはいつものように飛行機に乗れず、なんとも心配なチーム状態であるが、結果的にここ最近プレミア・CLともに負けていないのはいい感じではある。


対する糞インテルはレコバ・エムレ・キリあたりはいないけれども、トップにゴリラと快足バカ、中盤のサネザネッティ、ディフェンス3枚という要所は押さえてあってかなりうざそう。特に快足バカは0-3の試合で大活躍だっただけに、ここの対策ができているかどうかは期待したいところだった。


始まってから両者攻めていても決め手に欠ける展開だったがその内容は全く違ってて、糞インテルは攻めるにしても人数をかけずリスクを侵さず、対するアーセナルは攻めても肝心な部分で奪われてしまうという流れである。糞インテルは流石に長年イタリアで上位でやっている分守り倒すのはうまい。ボールを足下に入れるとすぐに寄せがやってきて、サイドに追いやられ数的優位を作られてしまう。まず中盤ではサネザネッティとラムーシがうまく潰し、抜けたとしても最終ラインで対応しきれてしまう。


このままでは不安定な中盤のミスからインテル先制といういやーな流れになっていたのだが、先制点はアーセナルが気合で決める。25分アシュリーコールがタイミングよくオーバーラップしてチャンスを作るとこぼれ球が運良く前で待ってたフリーのアンリの足下に入り、強烈なインサイドで流し込んで0-1。わし絶叫。


こうなるとインテルも引きこもってはいられない。全体のラインを上げて中盤から潰しが多くなると、33分パーラーがミスしてボールを奪われ、うやむやのうちにヴィエリの強引シュートで1-1


スコア上イーブンになったことでまた糞インテルは元に戻る。この時間帯になると気のないロングボールも多くなり、インテルらしい感じに。結局スコアはこのまま動かず前半終了した。


閉塞感が漂っていた。球の出しどころをパサーが探すシーンはアーセナルのゲームでまあまあ見るのだが、それは多くの場合「出しどころがいっぱいあってどこに出したろうかな」という種類の迷いで、この糞インテルと対峙した場合はくやしいけれども出しどころが見つからないという悪循環。特にピレスは消されていて、コールとエドゥの可能性に期待しつつ後半へ。


その不安も吹き飛ばすゴールが48分、糞インテルのスローインをカットしたボールがアンリの足下に入り、マークについたマテラッツィをかわしてラストパス→リュングベリ落ち着いてごおおおおおおおおおおおる。AHHHHHHHHH。1-2


これまでアンリには糞インテルとしては一番いやなストライカーだもんで一枚目にサネッティ、そしてカバーとしてイバンコルドバが対応していて、大体サネッティのところで抑えられていた。してこの2点目のシーンではサネッティが戻らないうちにアンリ得意の緩急で見事にかわしてくれた。すばらしい。


当然インテルはまたラインを上げ、かかり気味になりロングボールを多用する。これはオフサイドとキャンベルの強さでなんとか凌ぎつつ硬直状態が続く。ただこれも強烈なかかり方ではなかったし、それにアーセナルの鋭いカウンターにも期待して見ていた。残り10分になってもスコアは変わらず。糞インテルの方は攻めてはいるものの脅威は相変わらず感じない攻めで、可能性がある快足バカ、マルティンスもアシュリーコールあたりがしっかりついていてうまく機能していない。


83分、糞インテルコーナーキックのクリアボールをアンリにつなぎ、インテルゴール前で件のサネッティとアンリが対峙。これまで押さえ込まれていたアンリがワンステップでかわしてそのまま強烈なシュート。GOOOOLASOOOOOOO!!!。1-3


86分、はしゃぎすぎて苦しくなったアンリがアリアディエールとの交代のためサイドラインに向かっていたところにアシュリーコールからロングボール。なぜかゴール前にはディフェンダー一人しかいなかった。そのままアンリはドリブルしてラストパス。リュングベリスルーしたところをエドゥが詰めて、AHHHHHHHHHHHHH!!!!!。ゴール裏のガナーズサポーターが狂乱している。1-4。現時点でスコア的に雪辱は果たした。すばらしい。


糞インテルがぶち切れていることは画面見ててもよくわかった。勝利に手が届く可能性のあった頃にはあれだけ激しかったプレッシャーもゆるゆる。89分、変わったアリアディエールが競り勝ちゴール前でトルドと1:1になりラストパスをピレス→GOOOOOOOLLLLLAAAAAAHHHH!!!。1-5!!!!!!


このまま終了。勝ち点で糞インテルに並んだだけでなく、最終節アーセナルはハイバリーでのロコモティブ戦に対し、糞インテルは極寒ウクライナまで行っての好調ディナモキエフ戦。これはこれはこれはこれは・・・・勝ち抜け見えてきました。


ありがとうインテル。

日本 0 – 0 カメルーン

もうずっと前から代表自体への興味は薄れていることは、過去のサッカー関係の文を見るとわかるとおもうが、今回はエトオとエムボマの2トップが楽しみで見たのに肝心のエトオがいやがらねえ。あとで調べたところによると病気での欠場らしく、ついでに守備の要リゴベールソングもいないときたもんだ。で結局試合は見た。

それに併せて国際Aマッチデーならではというか、かねてからのカメルーン全体の意志であったと思われる「フォエ追悼試合」がこの前あったし、日本に来たのもつい最近のカメルーン代表が、チームとしてまともなコンディションというのはない。てことでカメルーンがぐだぐだであるのはある程度仕方がないと割り切ることもできるかなあ。

ただその相手をしやがった日本代表が相変わらずダメな感じで、もうどこのどれがどうこうとかどうでもいい。ジーコ変えろとかサイドバックいじれとかも言わねえ。そういう些末な事柄ではなく、肝心な部分で今の代表のサッカーはおもろくないのじゃ。

これは勝ち負けはあまり関係なくて、事実現在J2に所属するバンフォーレ(ヴァンかも)とか今J1優勝争い中のFC東京やらなんでもいいけど、個々に見ると日本代表の方が客観的に強いとされるだろう。が試合の方法がおもしろいのは甲府であり、FC東京なわけで。

かつてズーカーの時代だったとき、ジョホールバルでの岡野を見たとき、トルシエによる方法の結実を感じたとき、なんかよくわからんけど確かに代表のサッカーは面白かったと思うんだよなあ。今はもう一段階上に行くための堪え忍ぶ時期と設定すればそれまでだが、その一段階上というものがまったく見えないというのは悲しいことよ。

まあこんなポン中の試合はどうでもいい。所詮親善試合レベルよ。世良政則のおもしろも通用するんだなあ。

てことで前回と同じく本日のメインイベント(=本気試合)

オランダースコットランド に続きます。

つっても明日以降になりますが。

さっき調べたエトオのニュースのついでのニュースで、キング・オブ・トーキョー、アマラオがついに退団してしまうらしい。今週末は東京ダービー見に行こうかなという気がかなり起きてきた。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jtoto/headlines/20031119-00000009-kyodo_sp-spo.html

まったくひどい夜だ

連絡取れなかったのは、俺がその時家にいなかったからだな。相変わらずケイタイ携帯しない病も患っていて、まあどっちにしろ連絡は取れなかったはずである。

一般に寿司て食い物は、日本人が喰う食い物の中でもかなり上位の位置にあり、「寿司食いに行く(not回転寿司)」という行事はかなり尊大な行事のようだが、俺にとっては結構やばいものだということを改めて認識した。鮮度のいい食材はそれだけ食材自身の本来の旨みが十分活かされるわけで、それは必ずしもすべてのシーンでプラスには働くわけではない。寿司ってもんをなめていたきらいがある。以後気を付けよう。

どさくさに紛れて数年間東京に住んでたくせに今まで行ったことないような東の方の東京に行ってみようシリーズその1

浅草寺に行ってみよう



浅草寺の仲見世はいつでも修学旅行の人々や外人が湧いていて、土産物屋がいっぱいあるが、そのなかでも「どうせわからんからいきおいでやっちゃえ」的な店をくまなく探した私であったが、見つけた中で一番良かったのが写真の店だった。NO PICTUREは無視した。

あと木刀専門店といういい感じの店も存在した。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン ★★★★☆

気の利いた少年が小切手を偽造したり、職業を偽って働いたりする昔ならではの話。
フィクションにおける悪党話というのはおもしろい。勝手に面白くなる。例えばそういうものの代表作と言っていいルパン三世は一般的に面白い作品として認知されているし、モンキーパンチがアクションで連載していたきったない作画の漫画の範疇を飛び出して、今や山田康雄や栗田寛一らが声優をやっているアニメの方がイメージ強いぐらいだ。そのルパンで展開されるのは基本的に金品を盗難するという泥棒行為であり、現実にああいう集団がいると、おもしろおかしい温かい目で見られるのではなくて、早く死んで欲しい人達という熱い血潮が燃えている感じになる。
本作もそういう部類の「詐欺師」が主人公で、しかもこれは現実にあった話であるからなおいっそうタチが悪い。ギャンブルやりまくってサラ金に借金を作りまくり、挙げ句の果て突発的に銀行強盗をやっちゃろうみたいな軽いノリではなく、犯罪を遂行しようと本気になって取り組めば、この時代ならよっぽど馬鹿でない限り恐らくそれは高い確率で成功するということだ。それはまず、犯罪の当事者になるということは通常考えられる範囲ではないイレギュラーな事態だという点が大きい。コンビニでボーっとしてたら目の前に包丁突きつけられていたというような「犯罪丸出し」のシチュエーションではなく、この映画におけるような、まず考えもしないイレギュラーなものならば多くの人間が詐欺につかまされる。
ただこれは現代では恐らく成立しないだろう。小切手の偽造にしろ職業なりすましにしろ、前者はスキャニングとかでバレバレになるし後者はID管理でモロバレ、この点フランクは生まれてきた時代が当てはまってうまくいった感じだ。
で最後は予想通りその後のフランクについて述べられていたんだが、まあ成功したのはいいとして、彼が使い込んだ数百万ドルの金の賠償はどうなったかが気になった。かなり気になった。

ボウリング・フォー・コロンバイン ★★★★☆

アメリカ・コロンバイン校で起こった、生徒による銃乱射事件を題材にしたドキュメント映画。
話の持って行き方がかなり強引なのと、これは一応アメリカ銃社会のおかしなところを探っていくというドキュメンタリーであることから、インタビューや映像の切り口も必然的にそういう寄り方になってしまうという前提の元に、これがアメリカの全てではなく話半分で見る必要があると思う。一つ論調を定めないとエンタテイメントとしてまとまらないというのはしょうがない部分だ。
ただそういう客観的な視点に立つというのをベースとしても、最も客観的である統計を見て確かにおかしいなと感じてしまう。まずアメリカと日本を比べると人口が約3億:約1億3千に対して年間の銃による被害者が約11,000:約40。これは単純に、社会における銃の普及率と直接的に関係していると思う。要するに、あいつぶっ殺したいと思っても日本では手元に銃がないからあまり手軽ではなく、別の手段を用いたり断念したりすると言うことだ。
ただし、その後語られるように銃の普及率がアメリカとカナダではほとんど変わらないのに、人口が約3億:約3千万に対して年間の銃による被害者が約11,000:約200。人口比が10分の一だとしても驚異的に少ないことから、アメリカで銃犯罪が多いのは銃がたくさんあることが一番大きな理由であろうが、それだけではない何か背景があると考えられる。
簡単に銃が購入できるという異常さ、マリリンマンソン、NRA、アメリカの歴史、偏向的なメディアなどマイケルムーアは色々な理由を出しているが、これ自体は先進国なら少なからずあるような、社会が煮詰まった状態での汚物を論ってるだけで、それがアメリカだとどうしても銃と絡んでしまうという話だ。結局そこはワイドショーとあまり変わらない、ジャーナリスティックな視点で問題点を列挙しているだけで、根本的な解決にはならない。最後の方にムーア自身が行動する部分もあるが、なんかいいわけがましい感じがする。
とはいえ社会問題に対して考えを想起させるようなインパクトのあるドキュメンタリーを作ったというのと、ポーズとはいえそういう問題に対して自ら行動し、結果的にKマートの弾丸規制に大いに貢献した姿勢はすごいと思うし、説得力はある。一度銃というものが認められた以上今後も無くならないとは思うが、それに対し問題提起していくのはいいと思う。

アナザーワールド 鏡の国のアリス ★☆☆☆☆

いきなり鏡の向こう側に行ってしまう話。
根性がねじ曲がっているので、思春期に完全否定したものは今後恐らく一周することはないであろうと、今のところ感じている。「ダンス」しかり「ミュージカル」しかり、その中の一つが「ファンタジー」という大きくて曖昧な項目だ。この映画はその完全否定のど真ん中をぶち抜いてくれているわけで、つまりそういうことだ。
それを再確認させてくれたことは間違いないんだが、これが仮にアニメーションならまだいけるかなと思うので、完全否定にも多少のブレはあるようだ。大体がファンタジー・メルヘンといった項目は、なるべくなら現実離れしたほうがいいし、場合によってはそれがシュールな笑いの方向に向かうこともあるが元々そういう方向性を指向していないので、多くの場合は「奇抜な格好をした人が、それらしいフワフワした会話を展開する」という構成になる。要は現実と境界をばっさり引いて(今回の場合はそれが鏡だった)、いかにその世界観に引きずり込めたかが全体的な印象の違いになる。あーその時点でだめなんだなあ俺は。
例えばこの映画ではもちろん奇抜な格好をした人がたくさん出てくるが、そのたびに「あーなんでこいつこんな変な格好してんだろ」「よくそれで今日の晩スーパーで買い物できるな」「今日の昼と夜のギャップを映画にした方が絶対おもろいぞ」「はいカットて言われた直後の顔見てー」とか、ああこれファンタジーに手を付けてはいけない人種の人だろう。
ファンタジーという定義も凄く曖昧なんだが、そりゃ「NHK正午のニュースはとてもファンタジーだ」という輩はあんまいないが、「NHK教育はある意味ファンタジー」「ガンダムは立派なファンタジーだ」「渡る世間は鬼ばかりについて今までファンタジーの中のファンタジーだと思っていた」という人はいるだろうし、それは個人個人の感覚による。まあ奇抜な人がいっぱい出てくるのは、個人的にまったく受け付けられるものではないというのは間違いない。
にしても原色のコントラストを多用した画面構成は見事だし、「あーこういうの好きな人が見るといい感じなんだろうなー」というキャラ付けもされているようだ。あとアリス役の人がかわいい。
すまん。レンタル屋で目的なしの無作為抽出で手に取ったのがこれだったんだ。この映画に悪気はねえんだ。悪気があるのはこっちの方だ。