気分を変えて

2003-2004シーズン前半を振り返る ~その4 その他おもしろチーム編~

フルハム

稲本が準レギュラーで所属していることで、サッカー知らない人にも案外知られていると思う。日本の一般知名度ではユナイテッドに続くかもしれない。たいした補強もなく昨年と違って高い順位を開幕からキープしてきたのは、昨シーズン突然監督となったクリス・コールマンがチーム状態を把握しうまくいってるのだろう。同等のチーム相手では果敢に攻める反面、強豪チームには徹底して守備重視、こういう柔軟な監督のいるチームはいったん落ち込んでもなんとかなるもんだ。若い・クレバー・いつもガム喰ってるという点で日本の岡田武史に似ている部分もある。

その特徴として、中盤の攻撃力が魅力的なのと、結局ユナイテッドに移籍してしまったルイ・サハがストライカーの役割を果たしたというのが大きいだろう。その点稲本にしてみると、マルブランク・ボアモルチ・ショーンデイヴィス・クラークというレギュラーになかなか割り込めないという状況にもなっている。 

サハが抜け、MLSから新ストライカーが来たが、これが優勝争いに加わるかとなると厳しい。結局終わってみるとどっちつかずの順位になりそうな予感がする。いくつか上位喰いするのがせいぜいかな。

ボルトン

こっちは昔西澤が所属していたが、もう忘れ去られているだろうなあ。昨シーズンは最終節で残留を決めるほどダメダメだったが、JJオコチャ・ジョルカエフ・ジャナコプーロスの調子が戻るとともにじりじりと順位を上げている。4-1-4-1という2ラインを敷いて、つなぎ目のカンポが比較的自由に動き回る以外は、攻撃と守備がかっちり分離されている印象。つーかカンポがおもろいのでそれだけでも十分。さらに冬のマーケットでハヴィ・モレノを獲得し、攻撃陣がさらにおもしろい感じになった。

マンチェスター・シティ

昔OASISのまゆ毛兄弟がフーリガンをやっていた、もうひとつのマンチェスターもあっちに負けないユニークな戦力で見ていておもしろい。トップのアネルカ・ファウラーはポテンシャルだけでいえば世界トップクラス、中盤もボスフェルト・マクマナマン・ショーンライトフィリプス・シンクレア・シビエルスキ・レイナなど、一言でいえば渋い。渋すぎ。

サイドバックも渋い。左は元バイエルンのタルナト、ロベカル・イアンハートと併せて「3大強烈左FK」と呼ばれている。右は中国人ソン・チーハイだが、コンスタントに試合に出ているという意味では現在最も活躍しているアジア人と言えるだろう。プレイが丁寧だし、ここぞのオーバーラップがかなり巧い。

ただチーム自体は一時期負けまくって、ケビンキーガン解任の話まで出るほどだったが、また持ち直してきている。気分屋が多そうな魅力的なチームだが、鬼アネルカ・鬼ファウラーが目覚めてくれば、どう転ぶかはわからん。

金環蝕 ★★★★★

チョビヒゲガッハッハな政治家と金融屋とマスコミの話。
故小渕元総理大臣のころから段々と薄まってきているようだが、それだけに逆にガハハ系の政治家がよく区別がつくようになってきている。たとえば竹下政権の頃、ガキだったので細かくは覚えておらんが閣僚という閣僚はガハハだったと思う。鈴木ムネオなんてあんなもん甘い甘い。表にしゃしゃり出てくるだけガハハ気質が足りない。ガハハはやはり、表面的には誠実を繕ってはいるものの、料亭に行ったら両サイドに姉ちゃんを座らせて両手で乳を揉みしだいているべきだし、それができるのがガハハの証だ。
そしてまたそういうガハハを相手にする企業家も平気で顔を使い分けられないと身が持たない。西村晃がダム特殊法人の社長を料亭に呼んで、裏取引をねじ込むシーンの変な踊りと髪の乱れっぷり、あれがこの映画の象徴的なシーンだ。
昔はこういうことが公然と行われ、それが記録に残らず当人たちの記憶に眠ったまま、死とともに永久に葬られてしまう。そして今はそういう時代と、それができなくなった時代との中間点にあるだけに、今後どうなるかはわからんが、まあ時代の産物とはいえ日本らしい大作映画だった。
ただ最後、映画の主題の関係上どうしたってガハハ側を勝利させなければならない制作者側の意志があったのはよくわかるが、新聞社社長が闇に葬られるシーンはかなり無理がある。あそこだけ釈然としねえんだよなあ。終わりはよかったが。

星を見たかい

2003-2004シーズン前半を振り返る ~その3 チェルシー・ニューカッスル・リバプール編~

チェルシー


前に書いた通り、油様のオイルマネーで実質的に新しいチームを作ってしまい、それがうまくいって現状ではトップ3をキープしている。新加入選手はスーパープレイヤーが多く、中でもマドリーからやってきたマケレレは、ランパードとの中盤コンビで絶対的な信頼を得るほど活躍している。ダフヴェロンが怪我で離脱したこともあり、どうしてもとっかえひっかえになってしまうトップのムトゥクレスポあたりに比べても、最も機能した補強だろう。しかしゼンデンゾラを放出したが、それが全く響いていないというのがまた凄い。


そこでこれからの戦いなんだが、チャンピオンズリーグも勝ち抜けてしまい、プレミア・FA・チャンピオンズを抱え込んでいるのは上位2チームと同様だが、この新造チームが一年目で3つとも制覇するというのは奇跡だ。いいチームではあるが、終盤の優勝争いが鮮明になるにつれて、チームをまとめる核のようなものがないのは不安材料だろう。ユナイテッドはそのチーム自体がシンボルであるし、アーセナルはアンリがいる、じゃあチェルシーはというと・・・・が浮かんでくるのはしょうがない。つまり、この冬のマーケットでさらにすげえのをバンバン取って、なんとか勢いで行ってしまえばどれか一つくらいは制覇できるのではないかと思う。


ニューカッスル


新加入はリーズからむしったリー・ボウヤーぐらいで、シーズン開幕当初は全然勝てない時期もあったが折り返し地点では定位置ぐらいに浮上している。なんつってもアランシアラーが目下得点王なのと、ダイアー・ボウヤー・ベラミーアメオビなど代表クラスの攻撃陣の調子が戻ってきてるんだろう。このまま優勝争いに参入してくれると楽しいんだが。


リバプール


リーズからむしったハリー・キューウェルの獲得がかなりでかい。左サイドをえぐってからの強烈シュートが冴え、チームも調子がよかったが彼を含む多くのレギュラーメンバーの怪我とともに段々試合がしょっぱくなり、結果勝ち点を重ねられずトップ3とは差が広がっている。ただハマンオーウェン・キューウェルが戻り復調すれば元々守備を基本とした手堅いチームだし、まだまだプレミアを盛り上げることぐらいはできるだろう。

べらんめぇ!伊達男

2003-2004シーズン前半を振り返る ~その2
マンチェスター・ユナイテッド アーセナル編~

マンチェスター・ユナイテッド


ベッカムマネーで有望若手を買い込んだ補強がうまくいっている。この辺は経営サイドの長期的展望による判断だろうが、奇天烈なドリブルでおなじんでる感じのC・ロナウドをはじめ、器用貧乏何処吹く風のクレベルソン、これにジェンバジェンバを併せて中盤のスタメン争いが激しくなっている事がチームを活性化させている。またディフェンスではリオとシルベストルのコンビが安定しており、バルテズに代わったティム・ハワードもうまくいっている。あとはトップの馬面脱ぎたがり下唇がどれくらい点を取ってくれるか、これが優勝のためのキーになるだろう。


アーセナル


新スタジアム建設のため金がなく、ベンゲルのやりくり采配に頼るとして、目立った補強はさよならしたシーマン(引退してしまった)に代わりGKレーマンのみ。こいつがかなり胡散臭く、確かに好セーブを見せることもあるが足下が弱いらしくあり得ないミスをするという頼りなさ。PKの時のインベーダーが印象的なナイスガイだ。一方金無い金無いと言いながら、目立たないところでセスクをちゃっかり獲得していたりもする。


シーズン前に問題視されていたディフェンスも、キャンベルの相棒にキーオンシガントゥレを使い回し、そこそこうまくいっている模様。結局負けなしで前半戦を通過することができた。ただ変な意味で不幸なことに、現在世界最高(最高級ではないよ)のストライカーを有しているだけに、「アーセナルはアンリのチームだ」と揶揄されるようになってしまった。実際その通りで、攻撃の起点のほとんどがアンリーピレス(+リュングベリ)ラインもしくはアンリのフリーキックからという状況なのだからしょうがない。ヴィエラが長期離脱したこともあり、チームのパフォーマンスが悪いことも多かった中、無敗だったのはやはりアンリ様々と言えるだろう。


このオフィシャル写真のキャンベル

いい顔してるね。

しかしフットボーラーはいい顔持ってるやつ多いなあ。とりあえずアーセナルのベストメンを
























やっぱキャンベルが一番いい顔してんなあ

忘れ得ぬ君

2003-2004シーズン前半を振り返る ~その1~

始まりは金にまつわる事柄が多かった。ベッカムがマドリーに移籍し、チェルシーにアブラモビッチがやってきて200億円+α補強、ムトゥ・クレスポ・ダフ・マケレレ・ヴェロン・グレンジョンソン・ジョーコール・ウェインブリッジ・ジェレミなど多くのポジションに複数の豪華選手をそろえ、スメルティンなんぞは獲得したら即レンタル放出したり、元々活きのいい選手が多かっただけに一気に世界有数のスーパーチームになってしまった。実際プレミアリーグ、チャンピオンズともに強さを発揮していて今のところは成功と言えるだろう。



ただこのアブラモビッチという人物、ナンバーのコラムには胡散臭い人物として書かれているが、また別に「生まれながらに元々大富豪の一家で、いいとこの坊ちゃんである」という情報も聞いたことがあるし、その実体は謎に包まれている模様。要するに、金は出したんだし余計な詮索はやめておけと。


一方で多額の負債で骨抜きにされたリーズ・ユナイテッドはスタートから大ズッコケ、キューウェルを激安でリバプールにもっていかれるわ、さんざんな状況だったが若干持ち直しているようである。


あと非常にローカルな、日本における海外リーグ視聴環境についてちょっとした事件があった。昨シーズンまではスカパーのJSSで放送されていたリーガエスパニョーラの放映権をリーグ開幕寸前にWOWOWが4億で獲得(昨シーズンまでは10分の一程度だったらしい)、ここまではスカパーとWOWOWの企業間競争の範疇で文句は言えないが、この後WOWOW専属アナウンサーが当てつけがましいコラムを書いてしまい波紋を呼んだ。詳しくは

http://216.239.57.104/search?q=cache:gFdfAN6tdsgJ:www.toruiwa.tv/offmike/index2.html+%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%80%80%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%84&hl=ja&lr=lang_ja&ie=UTF-8

http://gazfootball.com/column/media-wowow.html

リーガ、ゲッツ!


これによって、8月31日に放映されたFoot!リーガ開幕スペシャルは9月以降映像を使うことができなくなりすべて放映中止、お蔵入りとなってしまった。Foot!は以降映像を使えない関係上イラストレーターの絵を使用することで急場を凌いで、リーガのハイライト一色だった構成から、サッカーとは切り離せないスペインの文化を広く含んだより内容の濃い構成になっている。

今シーズンからTBSのスポーツ番組(特にスーパーサッカー)でチャンピオンズリーグではなくリーガのハイライトをやるのと、フジがチャンピオンズリーグの中継(マドリー戦が多い)を始めたのはこのことに関係している。チャンピオンズリーグ放映権をスカパーにぶんどられ、危機に瀕したWOWOWの窮余の策は奏功したのかどうかわからんが、早いとこリーガを返して欲しいものだ。単純に見たいけど見れねえから。


続きはまた

ロード・トゥ・パーディション ★★★☆☆

マフィアの幹部マイケルが色々あって息子マイクと一緒に旅する話。
はじめタイトルを「ロード・トゥ・パーティション」と思って、それでマフィア映画となるとなんらかの抗争による別離なのかなと見ているうちに、確かにそんな感じにはなっていくのだが途中で「パーディションという街にいくぜ我々は」というのであ!パーティションじゃなくてパーディションかよと、物語とは全然別のところで気になった。
時代設定はアルカポネのマフィア時代で、その時代にあった実際のマフィアのあり方(早い話がゴッドファーザー的血縁・契り重視)が物語全体のキーとなっている。物心ついたくらいの子供が親の仕事について詳しく知りたがるというのは自然なことだが、この息子マイケルは好奇心が強いつーか行動力があるつーか、結局そのせいですべてが悪い方向に動き出す、また物語が進行するというのがうまい導入だなあと思った。
とこのような導入からクライマックスまで、行動の動機付けや因果関係まで淀みなく、またまた現代ハリウッド映画にありがちな「スチーブンスピルバーグの 映画!こう作ればおもしろくなる」本を見たまんまつくったような、かっちり型にはめた作りになっているので隙がなく面白くないわけがない。と同時にこれも何遍もこういう映画で書いた気がするが、これが一生もんの映画として永年記憶に刻まれるかというと、それは絶対にあり得ないわけで、そもそもこういうのはテーマが何であれ興行重視なんだから余韻はともかく長い間記憶に残るというのは結構まずい。だから敢えてなのかどうだか、パーフェクト超人並みに予算かけて完璧に作るのが特徴である。
なので、マフィアやドンパチ映画に必須なポイントともいえる「銃の撃ち方への美意識」「殺しの美学」なんてものはあまり重視されず、物語に重きが置かれる(象徴的なのは、なんか変な殺し屋がチョイチョイでてくるのが効果的だったり)のが残念といえば残念だ。マイクが売春宿に取り立てに行った時の間合いの取り方、間の作り方はよかったが、あとは殺しに対する怨念のようなものが見えなかった。やっぱマフィアは殺し合いでなんぼ、いや数出せってわけじゃなくて、質がよければ上記のようにワンポイントでも記憶に残るんだよなー。

ROUND 16

アーセナル 2 – 0 ロコモティブ・モスクワ

結局アーセナルは3試合終わった時点の勝ち点1(0-1-2)から、その後3つ勝って勝点10となりグループリーグ首位通過といい具合に収まった。特にこの試合ではヴィエラが復帰し、ジウベウトとのコンビではかなり中盤にしっくり感がある。そのため決定的に押し込まれるという状況がほとんどなく、両SBも効果的に攻撃参加し、実にアーセナルらしい奪ってからの速攻、早いパス回しからのスペース作りを楽しむことが出来た。

一方インテルはラスト3つでいい結果を残せず3位となりUEFAカップへ回る。その間監督解任やヴィエリ不振など、まあ不運な敗退なんだろう。

他にも最終節には劇的な試合がいくつかあった。前に書いたクラブ・ブリュージュ – アヤックスも激闘だったし(この試合だけ見ても凄かった)、PSVは最終試合で逆転が見えたもののデポルティーボの底力をみせられ、スパルタ・プラハはポボルスキー様々、意外な勝ち抜けはいくつかあった。

シュツットガルト VS チェルシー

FCポルト VS マンチェスター・ユナイテッド

レアル・ソシエダ VS リヨン

セルタ・ヴィーゴ VS アーセナル

バイエルン・ミュンヘン VS レアル・マドリー

スパルタ・プラハ VS ACミラン

デポルティヴォ VS ユヴェントス

ロコモティブ・モスクワ VS モナコ

第1戦- 2月24日、25日

第2戦- 3月9日、10日

主観でランク分けすると

1 マンチェスター・ユナイテッド レアル・マドリー ACミラン ユヴェントス

2 チェルシー アーセナル バイエルン・ミュンヘン デポルティヴォ

3 シュツットガルト FCポルト レアル・ソシエダ セルタ・ヴィーゴ リヨン モナコ

4 スパルタ・プラハ ロコモティブ・モスクワ 

スタメンのポテンシャルだけ見るとアーセナルはもちろん、シュツットガルト・チェルシーも十分いけるだろうが、バックアッパー・一発勝負の運不運なんかを考えるとこうなった。

てことで決勝はそれまでの組み合わせにもよるが、マドリー – ユナイテッドあたりでいきそうな感じ。アーセナルはベスト8で御の字です。