騙されていけにえにされた女が女性刑務所で頑張る話。
「女囚さそり」シリーズ一作目。これはちょっと、どこから書けばいいかよくわからない。うーん、、弱った。昔日本ではこのような作品が作られ、作られただけでなく、そこそこ受けてシリーズ化できてしまったという、どうも・・・・・、色んな意味でショックがでかい。
今まで見てきた70年代日本のアクション映画は、勢いある当時の雰囲気を反映しているものとして、好意的に解釈できた。例えばよくあるのが、斬られて血がありえないほどドバーッと吹き出す描写、「あーこういうの、やっててテンション上がるんだろうなあ」と、制作者の心境が想像できる。本作ではそれがまるで無い。「これ何のやつだよ!!!」と思うシーンがあまりに多く、ノリが不可解すぎて、比較的こういうのに寛容な俺でも受け入れるのがしんどかった。
要は「ツッコミどころ満載」という一言で片付けてもいいわけだが、一応こちとら「70年代日本のアクション映画」という大きな器の一作品として位置づけながら見ているわけで、そうした視点からはどうしても不可解さを「ツッコミいれて瞬間的に処理する」ではなく「解釈」したくなる。そういう意味で、あまりに謎が多すぎて処理に困り、冒頭の「うーん、、弱った。」という状態になっている。
そしてさらに悩まされるのが、これも重複するが「そこそこ受けてシリーズ化できてしまった」という事実である。当時映画館で見た人は本作の「これ何のやつだよ!!!」をどう処理したんだろうか。例えば風呂場での格闘シーン、怒りに震えた女が突如お化けのようなメイクを施しガラスの切れっ端を持ってさそりに突撃、それが教官の目に突き刺さり!、その教官は目に突き刺さったまま特に動じず女を絞め殺す!という非常に不可解なシーン、通常あんなのは笑い飛ばして処理するしかない。俺が気になったのは制作者がどういう意図でこういう演出をしたのかである。笑って瞬間的に処理するにはあまりにもったいない、本作特有の魅力があるのは間違いないんだが、それが多すぎてもてあます感じだ。
ベースはB級定番のエログロナンセンスで、おっぱいは何の前置きもなく当然のように登場する(本作では梶芽衣子のおっぱいも登場)。女性刑務所が舞台と言うこともあり、おっぱいがそこかしこに偏在するので、それが特別な事ではなくなっている。通常、おっぱいは作品のハイライトになりうるポテンシャルを秘めているが、本作では「日常の風景」なのである。これも全体の異様さに繋がっているのかもしれない。
で結局俺自身、笑って処理するしかなかったんだが、見た後ちょっともったいない気になってこういう感想になった。もし丹念に見る気力があれば、何度も見てその魅力を確かめた方が良いだろう。俺は無理だ。評価はB級最高の★3。