雨あがる ★★★★★

浪人三沢は雨に足止めをくっていた。同じ旅籠に泊まる農民達に酒を振る舞うのだが、それは武士として御法度である賭試合で得た金でやったことだ。彼はあらゆる野試合で勝てるほど剣の達人であり、その腕を買われて足止めをくってる藩に招かれた。
雨がしんしんと降って降ってもう幾日も降るようなことになると、外に行くのも圧倒的に不便だし、なんかの拍子に濡れるわ大気が冷たくなるわで、あまりいいものではないわけです。自然と気分も沈みがちになる。
三沢は優れた剣客ではあるけれども、一つの藩に長くとどまることができない。その優しすぎる性格がゆえに、体面を重んじる武士にとっては反面的に嫌われるためである。そんな彼も農民にとっては気さくなお侍様、こんなよどんだ雨の気分に自ら御法度を犯しても施しをしてしまう。
タイトルの雨あがるは、文字通り雨があがってそれぞれの旅路が始まることをあらわすけれども、三沢が人々に気付かせるという意味もふくんでいるようだ。情けは人の為ならず、なにをしたかではなくなんのためにやったのか、彼とその妻は人々にこのことを気付かせてくれる。
見ていてかなりスカッとする。いい映画だ。

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