シッピングニュース ★★★★☆

不幸を煮詰めた感じの男が故郷に戻って色々する話。
ケビン・スペイシーにハズレなし、たとえ私が愛したギャングスターのように映画自体はどんハズレの時でも彼がいることでなんとかなってしまうような俳優だから、その点見る前の安心感はあった。事前に映画の内容は一切知らなくてもこういう俳優がいると便利だ。脇のジュリアン・ムーアその他熱い感じのおっさんらも配役に違和感なくよい。
傷心の男が戻った故郷にも多くの不幸を煮詰めた人々がいて、それがお互いに励まし合い自信をとりもどしていく過程が淡々としていて、なんとなく見ているうちに映画に引き込まれている感覚が自分でもわかるほどよく練って作られている。ただ結構ハードなことを合間にちょいちょい入れてくるのはあんまり日曜洋画劇場向けではない。
傷心とはいえ周りにはいいやつも嫌なやつもいて、そこで自分の存在を他者に認識されるのは特にああいう同族意識の強い小さなコミュニティでは大変だろうが、それを勝ち取っていく様が一つ流れを作っていて、それに自分の一族の過去が重なってくる。キープレイヤーとなった編集長にはラストで笑かされたが、それもそれまでの彼のキャラクターを考えると全然ありな展開だった。
全体的にはかなり地味で派手な演出はないけど、ハードな内容とそれに向かおうとする人の姿勢が印象に残る。他のやつらが野郎を島から出て行かせないようにと船を壊している中、それまでのバックボーンを抱えて一人だけ破壊衝動のみに駆られている様がパワフルで、その吹っ切れる様がよかった。
ただまあ、映画だからこれで済むがリアルにこんな感じの人々がわんさかいると、なんか面倒いなあ。

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