WXIII PATLABOR THE MOVIE 3 ★★★★☆

東京湾界隈での連続殺人事件を解明するため二人の刑事がうろうろする話。
一作目の主人公はレイバー隊員の遊馬、二作目の主人公はレイバー部隊の隊長後藤、そして三作目は・・・・刑事二人。はじめはパトレイバーについてなんも知らん俺でも一・二作と見るうちに大体ポジションは掴めたわけで、それこそ二作目の後藤はいい感じだったし、今回はどうなのかと見てみるとレイバー部隊はほとんど登場しない。特に前半はチラッと登場するだけなので、こういう脚本でこういう映画を作りたいとなった時にあまりにも地味だから「これじゃスポンサーもなくて予算も取れねえし、じゃあパトレイバーで企画通すか」みたいなことなのかなあとしばらくは拍子抜けだった。
ただ前2作がそうであったように、脚本・演出のクオリティはかなり高い。一々ディティールに拘ることができるのは映画のなせる技だし、地味だと書いたがハードボイルドの魅せ方って地味を淡々と描いて緊張感を持続させるのが本道。見てワーキャー騒ぐものでもなく、じっくり堪能する感じ。
冒頭の船のシーンからそうであるように、示唆に富んだ会話の内容・仕草などが後々効いてきてつながっていくところなんかは、ただボーっと物語を追うのではなく能動的に映画を見る姿勢ができてだれることはない。その時は何気ないアイテムだけど後々わかってくる構成がよく、説明シーンを大幅に無くしてある。それも、言葉のニュアンスより映像のニュアンスを重視した方法をとっている。
正直この映画ではパトレイバーの連中及びレイバーはかなり違和感がある。怪物についてはまだ冴子との繋がりでこの世界観の範囲内に収まってるのだが、なーんか、体裁を整えるために突然パトレイバーを引っ張ってくる感じがする。
あと意外に大事なのかもしれんが、たぶん本作は押井守が関与していない(クレジットにでないし)。それ故パトレイバーとは離れた物語になってしまったのかも。
総括すると、脚本・演出は好きな部類。最後のダメぶりも好きな部類。ただ新旧刑事の描き方があまりに典型的で、かつこの内容でパトレイバーを冠するのは自分としてはそこは拘わりないのでどうでもいいが、この種の映画を映画館で気合入れて見ようとかいう人ってのは恐らくそこを一番拘わるんじゃないかなあということでマイナスポイントにしておきます。

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