アメリカのある大学のラグビー部が、セスナで移動中吹雪に遭い機体は地面に激突!真っ二つになる。下界との交信手段はない。こういう状況でどういう風に人間が行動したのか、ノンフィクションというから凄い。
雪山遭難という絶望的な状況で、よくも12人だか生き残ったことにまず敬服する。
この映画のテーマは「生きる」という大テーマと、もうひとつに「カニバリズム」というテーマがある。自分は宗教、哲学、またそれが殊人肉主義となるとほとんど知らないのだが、こういうことはこの映画のような極限状態に追いつめられないと凡人には考えも及ばないようなことなので、もっともではある。
何処だかの原住民に、死者の肉を食ってその魂を食った者に宿すといった風習があるらしいが、これは宗教でも人間倫理の問題ではなく、あくまで「習慣」の話だ。いわば我々日本人が鯨を食うようなものだ。
遭難者は、不可知論者と言っていた奴を除いてはすべてキリスト教者だった。そういった確たる信念が在るような人が、その信教に抵触するような行為を犯すのはどういった心境なんだろう?自分は無信教であるから宗教上の呵責といったものは起こらない。だからよくわからん。
しかし彼らは人肉を食った。物語の冒頭で生還者の一人が事故から10数年後に振り返るところで、「あの状況にならないと、自分がどう行動するかなんて誰にもわからない。」と言っていたが、ほんとそうだろう。キリスト教者でさえ人肉食ったんだから、もうなにが起こるかもわからないし、自分がどう行動するかも及び知れない。ただ一つだけ言えるのは、恐らく「生」に向かって行動するだろうということ。
その結果彼らは全員じゃないにしても、とにかく生き残った。ラストで緑ある山々を見た時、またヘリコプターの音を聞いた時、まさに「生きてこそ」なんぼじゃ、と感じたんじゃなかろうか。