昨日会社の同期との忘年会を行ったのだが、そこで少し感傷的な気分になってしまった。そんな気分を一新するため、今朝は「ちんちん」と「ちんぽ」の語源の違いについて調べようと手元にある「日本語大辞典」を開いたのだが、どちらも「陰茎」としか書いていなかったので即座に断念。別の項目をぱらぱら開いてみると目に付いたのが「長嶋茂雄」という言葉(この辞典は妙に人名をフォローしている)。この単語をみて、以前から気になっていたことをちょっと調べてみようと思い立った。
気になっていたこととは、長嶋の「しま」は「島」と「嶋」のどちらだろうか、と言うことである。私は以前(たぶん小学生ぐらいの時だと思う)、ありがちな長嶋おもしろ辞典的な本もしくは雑誌の中で、この秘密について以下のように書いてあったことを記憶している。
「長嶋は本来『長島』という名字であったのだが、入団時の契約の際、なぜか間違えて『長嶋』と書いてしまい、登録名も『長嶋』になってしまったため、そのまま『長嶋』で通したのだ。」
もちろん、いくら長嶋といえども、自分の名前を間違えるということは考えづらいし、たとえ間違えたとしても他の人のチェックも入るだろうから何らかの意図があって登録したと考えるのが普通だが、意図はともかく、一応今まではこの説を信じていたのだが、改めて調べてみるといろいろな説があることを知ったのでちょっと挙げてみる。
この問題についてよくまとめてあるページが、「ダラ球界公式サイト 野球カルト倶楽部」内の「長嶋」か「長島」か?というページだ。筆者は野球四コマで有名な漫画家のなかむら治彦氏。氏の豊富な資料からも結論を導き出すのは難しかったらしく、というより資料をそろえるほどに結論がわからなくなっていったようで難しい。一応氏の結論としては、本名が「長嶋」、新聞や雑誌などでは当用漢字を使うのが原則であるために「長島」を使用、しかし第二次長嶋政権から本人の意向により紙媒体でも「長嶋」に変更、というところのようだ。というわけで私が聞いていた話とは全く違う。
しかしこの話にも当然諸説あるようで、たとえば98年12月のニュースにはこのようなものがある。このニュースによると戸籍上の名字は「長島」。うーん、戸籍上の名字からして「長島」説と「長嶋」説の2通りがでてきてしまった。さすがミスタG(なんとなく燃えプロ風に)。
これらの情報を元に、私なりに予想を立ててみようと思う。私の予想では、戸籍上は「長島」。登録名は「長嶋」。紙媒体では当用漢字の規定のため表記に揺れがある、とこういうところだろうか。どうも「戸籍が長嶋」説の方が有力のようなので間違っている可能性も高いが。
まあこんな無関係な人間の分析よりも、一茂氏や三奈さんから聞いた方がよいのだろうが(本人はちょっと信用できない)。
このように、人の名前もちょっと追っていくといろいろとおもしろい事実が浮かび上がることがあるだろう。同じ野球の例では、たとえば元読売・横浜の駒田徳広氏は、小さい頃から「とくちゃん」と呼ばれていたために自分でもすっかり「とくひろ」だと信じ込んでいて、入団時も「とくひろ」として登録していたが、改めて戸籍を調べると「のりひろ」という読みだったことを初めて知った、という話がある(参考リンクなし。俺が聞いた限りの話)。登録名も後に「のりひろ」に改めている。卑近な話だと、私の母親の名前「恵子」が、実は旧字体の「惠子」だったということを数年前に戸籍をチェックして初めて知ったし、中学時代、友人に「自分の名字にある「原」という字は、戸籍に書き込むときに上の点を親が入れ忘れたために、正式には上の点がない字なのだ」という話を聞いたこともある。あなたも一度戸籍をチェックしてみてはどうだろうか。