かつてベンチャーズブームが起こっていた時代のとある高校。彼らも少なからず「デンデケデケデケ」のオープニングリフにやられたクチだった。やがて楽器を手にし、バンドを組み、文化祭でコンサート(あくまでコンサート)、青春系さわやか映画である。
日本にエレキブームをもたらしたのは間違いなくベンチャーズだ。つまりその、聴く→演奏するというステージを開拓した意味でである。ベンチャーズ自身も日本びいきなようで、何度となく日本に訪れ加山雄三の「君といつまでも」をインストルメンタルカバーしたりしてる。往年のギターサウンドファンにはおなじみの寺内タケシとブルージーンズなんかもかなり影響うけているだろう。
このベンチャーズのサウンドというか奏法は当時相当斬新だったと思う。題字の「デンデケデケデケ」として語られる代表曲pipelineは、スライド(厳密に言えばグリッサンドか)・チョーキング・ハマリング&プリング・そしてアームプレイと、この一曲で基本のテクはかなりちりばめられていて、しかもこの曲は誰でも知ってるキャッチーな曲だから演奏していて楽しいし、しかも基礎を磨けると。アレンジもやりやすいので、pipelineとかdiamond headは練習用にちょうどいい。
映画というかベンチャーズ話になってしまったなぁ。まあこの映画もベンチャーズに魅せられた少年がバンドを組んで、練習して、というおもしろ話なんでいいでしょう。このノリで。
しかしひとつ疑問に思ったのが、伝聞によればこの当時エレキギターは「不良」の象徴だったはず。それが本作では微塵も感じられず、まわりの人間すべてが応援している。それはおそらく方針として、さわやかに描こうというのがあったのだろう。
映画のつくりも非常に初々しい。観てて恥ずかしくなる場面も多少ある。しかしそこはこの映画の全体的雰囲気でゴリ押せてしまう。というか自分自身ベンチャーズ大好きなので、この映画はおもしろく観ることができた。