「見た映画については必ず感想を書く」という俺ルールについてのこれまでを振り返る話その5。
ついにPART5、本編最後である。なんせ「完結編」なんだから、なんらかの完結を迎えねばならない。それでは、と、それでる前に、見る映画の入手方法についてこれまで一切触れてこなかったので一応書いておこう。
・ソフトの入手方法
映画の場合、視聴環境は主に映画館または家になると思うが(あと飛行機の中とか携帯端末とか)、よっぽどすぐに見たい映画でない限り家で見ている。映画館は割合にして5%ぐらいか。映画館は集中度や没入感、音響の面で家を圧倒するが、なんせ他人様がいるもんでそっちが気になる事もあり、また家の場合つまんなく感じると、ギターの運指練習をしながら観たりできるが、映画館での拘束は最後まで観ると決めている以上、解消しようがない。
家視聴のうち半分がレンタルだ。まだブルーレイ環境がないためDVDがほとんどで、VHSしか在庫がない過去のドマイナー作品のみ、未だにVHSでも見る。逆に言うと、「VHSで残す価値(需要)がある」という事でもあるため、今VHSで在庫されているものは大抵の場合超個性的な作品が多い。後述するぽすれんの場合、1回10本前後借りて2,000円程度だ。PART4の評価ポイントデータは、俺個人についての統計データとしてかなり信用できるサンプル数に達している。それによると、厳選したところで45%の「ふつう・まあまあ・つまんない・クソ」があるのだから、映画館とレンタルの10倍近い料金差はかなりでかい。
後の半分はスカパーの映画チャンネルになる。こちらは月単位のパッケージとして配信されるものの中から気になるものを観るという、半受動である点がレンタルや映画館と異なる。ジャンルや年代も幅広く、意外と1-2年前の作品で見逃していたものがあったり、監督特集は数ヶ月にわたって10-20本まとめて観れたり、ハマればレンタルよりも便利だ。数年前のイマジカのキム・ギドク特集は、まさに見たいタイミングで特集を組んでくれたので、スカパーの良さを感じるプログラムだった。昔わざわざ新宿TSUTAYAまで借りに行ったATG作品やマイナー・ヨーロッパ映画も結構やってくれてあなどれない。反面1本も見ない月もある。
セルDVDについては視聴目的ではなく、レンタルで見た後特に印象的な作品や、数年後見直すとまた違った感じになるであろうものを、保存目的で購入することがほとんどだ。現在映画以外のソフトも含めると数十枚セルDVDを持っているようだが、パッケージ開封すらしていないものも結構ある。
・レンタル屋の変遷
レンタルの入手元は色々変わっていった。最初期の「記憶のみ」を観ていた頃は、その当時日本に進出していた「ブロックバスター」で、VHSビデオをレンタルしていた。料金は正確には覚えていないが、大体1本400円前後だったのではないかと思う。あるいは3本1,000円とか。やがてブロックバスターが日本撤退し、しばらくは大手でない個人営業のレンタルビデオ店を利用していた。その後2000年頃に、ゲオがレンタル全国展開を始めたような気がする。つーかWikiで調べると、まさにゲオがブロックバスターを買収して、レンタルのフランチャイズを拡大したのが2000年頃のようだ。そしてしばらくはゲオの5本1,000円を利用していた。一度に5本・10本借りるようになり、このくらいから映画鑑賞が習慣化する。またこの頃ようやく、VHSとDVDが半々ぐらいになった記憶がある。
TSUTAYAは何やってんだ。あるにはあったが、店舗が小さく在庫も料金もゲオに負けていた。その後2000年代中期に大型店が近くにできて在庫数でゲオに勝り、さらに定期的に出されるクーポンを利用すればゲオ並の5本1,000円も可能になって、ゲオからTSUTAYAに乗り換えた。そして最近までTSUTAYAだったのが、ここ1年は主にぽすれんを利用している。
ぽすれんは宅配レンタルサービスだ。ぽすれんのサイトから見たい映画を選んで、諸々の発送手続きをすると、なんか知らんがメール便で勝手に送られてくる。返却は郵便ポスト。現時点では最大12枚まで一度にレンタル可能で、旧作の100円レンタルの場合送料含めると、12本で1,500円となる。1本当たり125円。レンタルビデオが出始めの頃は1本1,000円が普通だったらしいが、今や1/8だ。100円レンタルはいわゆるロングテールの下側需要を狙って始められたサービスだと思うが、やってみるとかなり好調らしく、期間限定が延長に次ぐ延長で今に至っている。
ここで、店舗型と宅配型それぞれの特徴を挙げてみよう。
・店舗型
店舗型は閲覧性が高い。入店すると大体入口付近に最新作が並び、その近くに準新作のトップ30みたいなのがあり、旧作は50音順かカテゴリ別に配置してある。ピンポイントで見るものが決まっている場合は関係ないが、「とりあえずビデオ屋行ってから見たいのあるか探そう」という徒手空拳の場合には、この閲覧性の高さは重要である。
それぞれのカテゴリを横断的に見ていくと、昔見ようと思って見逃していたものや、タイトル一発に興味を引かれるもの、同一カテゴリで抜けていたもの(監督コーナーなど)を、網羅的に見る事が出来るため閲覧の効率は高い。宅配型の場合、網羅的に閲覧するにはPCをグリグリいじらねばならず、適していない。例えば同じ100本のタイトルだけザーっと見るにしても、店舗でDVDの背を見ていく方がはるかに情報量が多く時間効率も良いだろう。
・宅配型
宅配型は利便性が高い。店舗型の場合、まず店に出向き、店内を馬鹿みたいに徘徊して、通路の狭さに苦痛を感じ、最下段のアイテムを見るときはうんこ座りか己の体前屈能力との勝負、目的のタイトルがあっても正確な配置場所はわからず、レジでは並ばされ、一連のマニュアル対応に従い、そして、これが店舗型一番のデメリットだが、返却せねばならないのである。宅配型の場合、家のPCでゆっくり快適に探す事ができ、目的のタイトルはキーワード検索で特定でき、レンタルから数日後には家の郵便受けに入っていて、見終わったら郵便ポストに投函し、完了である。この点は店舗型はどうやっても勝ち目がない。
また料金的にも店舗型より安い傾向にある。これはネットショッピング全てに共通する事だが、地代と人件費を圧縮できるためその分レンタル料金を安くすることができる。ゲオとぽすれんがスポットレンタル100円を始めてから、店舗型との料金差は大きく広がった。地方によって、店舗のゲオとTSUTAYAが近くにあって熾烈な競争をしているような地域だと、場合によっては1本50円程度でレンタルできるようだが、店舗型の基本線は未だに1本400円である。
一方確実性という点では、ソフトを直接受け取り、レジまたは返却ポストに戻すという手続きを踏むため、店舗型に間違いはまず起こらない。宅配型は、メール便(現時点では佐川の飛脚メール便)と定形外郵便の併用で、どちらも手渡しでなくポストに投函で終了となるため、万一の間違い(メール便の遅配・ポスト荒らし・ビニールの破損による事故)が起きる可能性はある。俺自身こういう事は経験していないが、一度でも起きてしまうと、利用を控えるかもしれない。
この点VODは宅配型のメリットを残しつつ、返却不要というので理想的ではあるが、高速ブロードバンド環境や専用ソフト・ハードの普及、コンテンツ保護、コスト面など、問題は多そうである。アクトビラなどは面白い試みではあるので、今後の動向待ちだ。
・在庫
次に在庫についてだが、店舗の場合、当然各店舗にあるだけが実質的な在庫となるので、在庫数は店の売り場面積に依存する。メジャー系や新作は大体どの店舗にもあるので無視するとして、旧作、特にマイナーな作品は店舗によって大きく差がある。例えばTSUTAYAの場合だと、新宿・渋谷TSUTAYAにだけしかない作品はかなり多い。この二つは在庫の豊富さで有名であるから、むしろ例外的な店舗なのだが、映画をよく見る場合、大型店でないと在庫に満足できないだろう。
宅配の場合、システムは厳密にはわからないが、恐らくどこぞの配送センター(たぶん千葉)に集中して在庫され、在庫量はレンタルサイトとリアルタイムで連動している。ひとつに集中しているため、店舗格差は当然無く、メジャーも新作もマイナーも条件は同じだ。ただし、マイナーはそもそもの在庫量が少ないので、それを全国のレンタル希望者と争奪することになり、マイナーだが人気は高い(いわゆるカルト的)作品については、レンタル自体が困難である。
まとめると
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利点 |
欠点 |
店舗型(TSUTAYA・ゲオ) |
・閲覧性の高さ ・思いがけない発見 |
・レンタル手続きが不便 ・在庫が地域によりマチマチ |
宅配型(ぽすれん・DMM) |
・利便性の高さ ・料金が安い ・全国均一の在庫 |
・網羅的閲覧には不向き ・在庫数によってはレンタル自体がかなり困難な場合がある |
となる。
なんじゃこれは。感想の感想を書くはずが、店舗型と宅配型レンタルの比較になっとるじゃないか。どうなっとるんだ!
天狗じゃ~~~~~~~!!天狗の仕業じゃ~~~~~~~!!!
完
これでいいか。