8人の監督が「時間」をテーマに10分・予算同額で製作した8つの短編映画。
1.水の寓話 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
水汲みを頼まれた男がトリップする話。
途中からオチは見えたが、それを前提に野郎が色々やってる間もずっとあのじいさんが待ち続けているということを想像しながら見るとなかなか面白い。でもなんか腑に落ちんというか、SFチックに仕立ててごまかした感じでせこい印象がある。
2.時代X4 監督:マイク・フィギス
全体的に暗い画面構成でしかも4分割ちゅうのはあまりにもオナニー過ぎて、正直見る気なくすし理解する気もおこらんし、パス。
3.老優の一瞬 監督:イジー・メンツェル
ある俳優の歴史を10分で振り返る。だけ。そこらのじいさんにもそれぞれにでっけえ歴史があんだぞっちゅうことか?
4.10分後 監督:イシュトヴァン・サボー
オーソドックスなショートフィルム。異国語を学習していて10分後には肉親殺しになってしまう。10分でも全く思いがけない事が起こってしまうということか?
5.ジャン=リュック・ナンシーとの対話 監督:クレール・ドゥニ
たまたま列車の向かいに座った?禅問答が好きそうな二人の濃密な会話と、対照的に景色を見ながら素早く過ぎ去る同じ10分間。それほど10分というものは人によって生き方を変える(振り返る)きっかけにもなれば、無意味に過ぎ去る極短い時間であるということだろう。
あるいは人によって10分の楽しみ方は色々あるよ、ということかもしれん。
6.啓示されし者 監督:フォルカー・シュレンドルフ
蚊を尺度にして過去・現在・未来を現在の地点から鑑みようとしているぽい話。つまり色々説明があるんだが、人間の行動も過去の「記憶」と、現在における過去の「記憶」を元にした行動(映画中では「注意」となっている)、そしてその現在の積み重ねである未来を描いている。
例えば蚊を避けようとする行動は過去の経験からくるものだし、実際そこから導く行動(手で蚊を追い払う)を実行するのは現在、そしてその行動が及びも着かない「死」に繋がっているかもしれないという未来、一見家族バーベキューを映し出したなんのことはない映像だが、こうやって時間の流れの3区分を意識しながら改めて見てみると時間に対する様々な発見があっておもしろい。
と同時に、今この行動は3区分のいずれに位置しているだろう、とか、そもそもこれを見ている俺はどういう時間区分に所属しているのだろうとかだんだんこんがらがっていい感じにトリップできる。そして最後の脚注が決定的。紀元前からやっぱ人間はこんなどうでもいいし本源的な悩みを抱き、行動してたんだなあとなんだかほっとしてしまう。
7.星に魅せられて 監督:マイケル・ラドフォード
時間旅行から戻ってきたら、自分の子供が老人になってた。
8.時間の闇の中で 監督:ジャン = リュック・ゴダール
しんどくなって見るのやめた。
以上。最後はテーマの深遠さに辟易してうんざり、って感じで途中放棄。人生のメビウスが、時間と人間そのもののかかわり方を扱っていて、ドキュメンタリーだったりドラマ仕立てだったり観念的なものだったりと色々楽しめたが、イデアの森は時間という概念そのものがテーマになっているので、全体的には意味深でわかりずらい内容のものが多かった気がする。その分、映画を見ながら自分もトリップしてしまうことがたびたび。たまにはこういう短編集も見るとおもろい。