KillBill vol.2 ★★★★★

結婚式で親族を惨殺された嫁が復讐の旅に出る話。の続き。
vol.1は一言で言えば「日本のやくざ映画を撮ってみたいという衝動」の映画だった。して一応ストーリーとしてはその続きであるvol.2は、やや「カンフー映画撮ってみたい病」の兆しもあるが、基本的には復讐のため女が各地を移動し、復讐敵と闘っていくのが主軸となっている。その点例えばカンフー修行からの墓ぶち破りシーンは時間の往来というタランティーノらしさを出しながら伏線の張り方として非常に映画らしいつくりを取っていたり、5点を押す必殺技が最後の伏線になっていたり、vol.1はアクションや音楽へのこだわりを強く感じたが、vol.2ではそれよりもストーリーや見せ場を重視した作りになっている。
そのためvol.1でぼんやりとわかっていたような女と4人の殺し屋の関係、またそれぞれとそのボスであるビルとの関係などが明らかにされて、より登場人物の心理や置かれた立場を掘り下げたものとなっているのも、ストーリー性が重視された印象を受ける要因かもしれない。
見せ場に関してはvol.1であったような大立ち回りのチャンバラはなく、vol.1の冒頭でもあったような、緩急を急激に付ける1VS1の戦いになっていて、スピード感を重視した見せ方をしているので殺陣の間も冗長に感じることはない。それどころか、例えば眼帯女との決闘ではあの殺陣の間にアイデア溢れる攻撃が繰り返され圧倒されるし、もちろんユマサーマンも眼帯女の役者さんも格闘技のプロではないが、編集や画面効果ひとつであれほど緊迫感のあるものが出来るのは驚きだった。
また今回もガチンコ体当たり勝負のユマサーマンは凄くて、特に生き埋めにされて脱出するくだりの緊迫感というか、見てる側も息が詰まってしまうほどのリアルさはあの表情・演技あってのものだし、タランティーノが気に入っているのもわかる。
というわけで、1と2あわせて見てみると、前半1のガチャガチャ加減と後半2の重厚さ+タランティーノ流時間の分断とチャプター方式+ガチンコユマサーマンという組み合わせはよかったし、大変楽しめた映画だった。

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