キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン ★★★★☆

気の利いた少年が小切手を偽造したり、職業を偽って働いたりする昔ならではの話。
フィクションにおける悪党話というのはおもしろい。勝手に面白くなる。例えばそういうものの代表作と言っていいルパン三世は一般的に面白い作品として認知されているし、モンキーパンチがアクションで連載していたきったない作画の漫画の範疇を飛び出して、今や山田康雄や栗田寛一らが声優をやっているアニメの方がイメージ強いぐらいだ。そのルパンで展開されるのは基本的に金品を盗難するという泥棒行為であり、現実にああいう集団がいると、おもしろおかしい温かい目で見られるのではなくて、早く死んで欲しい人達という熱い血潮が燃えている感じになる。
本作もそういう部類の「詐欺師」が主人公で、しかもこれは現実にあった話であるからなおいっそうタチが悪い。ギャンブルやりまくってサラ金に借金を作りまくり、挙げ句の果て突発的に銀行強盗をやっちゃろうみたいな軽いノリではなく、犯罪を遂行しようと本気になって取り組めば、この時代ならよっぽど馬鹿でない限り恐らくそれは高い確率で成功するということだ。それはまず、犯罪の当事者になるということは通常考えられる範囲ではないイレギュラーな事態だという点が大きい。コンビニでボーっとしてたら目の前に包丁突きつけられていたというような「犯罪丸出し」のシチュエーションではなく、この映画におけるような、まず考えもしないイレギュラーなものならば多くの人間が詐欺につかまされる。
ただこれは現代では恐らく成立しないだろう。小切手の偽造にしろ職業なりすましにしろ、前者はスキャニングとかでバレバレになるし後者はID管理でモロバレ、この点フランクは生まれてきた時代が当てはまってうまくいった感じだ。
で最後は予想通りその後のフランクについて述べられていたんだが、まあ成功したのはいいとして、彼が使い込んだ数百万ドルの金の賠償はどうなったかが気になった。かなり気になった。

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