音楽オタクの男が過去に振られた女性達にお礼参りの旅に出る話。
「ゴーストワールド」の強い印象が残っているすぐ後ぐらいにこの映画を見たので、非常にだるかった。その理由はゴーストワールド→この映画見る、を参照。
主人公の発言で「人間の上下てのは、その人の人間性でなく価値観の合致に起因する」みたいなセリフが意図的に使われていたが、これが象徴するように主人公は音楽というフィールドで差別意識を持っている音楽オタクだ。彼には彼なりに自分が愛する音楽は格好いいものであり、格好いいやつしか聴けない音楽であるという崇高な意識がある。
そしてそういった選民意識を根本にした発言を観客に語りかけるようにまくしたてるものだから、前述したゴーストワールド後の余韻があるととてもまどろっこしい。
つまりああまたこれ書くのか、俺は音楽オタクではないが彼らの気持ちはわかる。だから説明はいらないのです。しかもそれがゴーストワールドという触媒で増幅された後だったから、なおのこと感じるものが大きかった。
しかし本作の場合は主人公が徐々に呪縛から解放され、最後にはなんだっけか、、、「サマーソニックバイブレーター改めなんとかアンドおよねーず」みたいな極めて破壊的なバンド紹介までやってしまって、そのラブソングに乗っかり、自分本位でない「あいつが聴いてよろこびそうな俺テープ」を作ったり、要するに善良なオタクとしての新しい道を開けていったのは良しとしよう。もしフェードアウトだったら、ゴーストワールドと併せ技で見ているこっちがダブルKOだった。