悶々としたタクシードライバーが一丁やらかす。
若いころのデニーロの出世作とよく言われる作品。また「この頃のデニーロはよかった・・・」ともよく言われる作品でもある。一頃のアクション映画に出まくっていた大量生産デニーロとはちょっと色合いが違うというのは見てわかる。ディアハンターに近いものがあるかもしれん。そういえばあれもベトナム戦争で狂気インフレになった男の話だった。
ずーっとため込んだうちに秘めるオーラパワーをへんな方向に解放したような話で、まったくもって共感はできないが、それまでの事の顛末を見るとなんとなくそうなるかーって思う。「太陽を盗んだ男」の二面性に近い感じ。この殺伐とした悶々とした雰囲気は独特で、なんというかダメ人間の香りプンプンなんですこのタクシードライバー。
ただ自分や自分に近しい人々がそうであるからよくわかるんだが、ダメ人間にも大きく2種類あって、つまるところ良いダメ人間と悪いダメ人間がある。良い方は自分がダメであることを前提に、そのダメさを楽しもうという気概があって、ある部分に精神的な欠陥を抱えているけれども線引きはうまくできる。悪いほうのは、ダメを劣等感とし全く自分の中に閉じこもってしまう。あるいはそれが爆発するとデニーロになるんだろうな。モヒカンにして銃乱射よ。