パズーは空から少女が降ってくるのを見た。その少女シータは天空に存在するとされるラピュタの地の正統後継者である。その証である飛翔石を持っていたため、空に浮いていた。ラピュタの力を求める軍、財宝を求める盗賊ドーラ、そしてパズーとシータ、それぞれの思いはやがて収束する。
アニメ映画を大人の鑑賞に堪えうる(東映まんがまつりの列にシラーっと並ぶような種類の大人ではないよ)レベルまで完成させたのが、ジブリもの(宮崎もの)の凄さだ。ナウシカや本作ラピュタは80年代初期の大友克洋を中心とした漫画ルネッサンスと同時代に描かれたものである。当時まだ漫画やアニメといった細分化すらされてなかったであろう「低俗ななにか」を文化的価値のあるものとして認知されるのに、宮崎駿もまた大いに貢献しているのだろう。
誰しも楽しめるテンポのよいストーリー、キャラ設定、脚本、音楽、そして根底に横たわる大きなテーマが示してあるために決して内容が薄くはならない。このへんが世代・時代を問わず宮崎ものが指示される所以だろう。
本作は数ある宮崎もので”自然との共生””繁栄賛美へのアンチテーゼ”などもちろん共通する大きなテーマは横たわっているのだが、同様のテーマを描くナウシカほどそれが強調されず単純な「冒険活劇ファンタジー」を存分に楽しめる点がいい。それはもうストーリーもそうだがキャラ設定の妙に尽きる。
特には盗賊ドーラの存在だ。単純に善vs悪の構図ではなく、こういう「悪いけどいい人」がいるだけでストーリー的にも広がりがでるし、こういう類のキャラクターに人はグッと感じるもんだ。彼らに共通する引き際というか潔さのようなものがいっそう感動を誘うのだろう。同様のキャラ設定にテレビシリーズで「未来少年コナン」がある。是非見てほしい。ダイス船長に男気を感じること間違いなし!