ど田舎に現れた、訳のわからぬ新興宗教団体。あからさまにうさんくさい神様が、あからさまなサクラの万病を治し、宗教本を売り歩く。そんなどうしようもない商売に魅せられた青年あり。彼もこの商売に加わることになった。
この映画が作られたのがおそらく90年代初め頃、その頃からかどうだか、今では崩壊しているオウム真理教や、今でもあるんだかないんだか、統一教会やらなんやらが芸能人といわれる変な奴らを伴いマスコミに登場し、一般に知れ渡るようになってきたまさにその時期で、そういう背景を考えながら観るとなかなか面白い。
日々の生活に根付いている仏教習慣・文化はともかく、これこれこういう明確な宗教に属する、属しようというその根性がわからん。端から客観的に見るとあからさまにうさんくさくぼったくられてるのに自らは気づかない宗教野郎、たまーに以前なにかの宗教団体に属していて、金をせしめられたので賠償してほしいという阿呆を見るがそれは間違いなく己のせいであり、しかもその宗教にいる間はなんらかの問題を忘れ去れさせてくれるほど没頭していたのであろうから、そのぼったくりを賠償しろこのチンカスとぬかしてしまうのはあまりに図々しいし滑稽だし、これは高らかに「私は阿呆です」と宣言するのと同等だ。
オウムは別として、福永なんとかというやつの宗教も結局は金のふんだくりだし、全国にたくさんいると思われる仏教以外の特殊な宗教に属する人々、「帰依しとるのだワシは」と感じている人々、これらは「金を払って安心感を得る」という”神(=金)”との契約に基づいてその宗教にいるので、一度入ったが最後絶対ここに帰依し続けるのだという強い覚悟はやはり必要だろう。そうでなければ夢から覚めた後は悲劇的な喜劇が待っているだろうから。