発売日
定価
メーカー
ジャンル
1986年9月12日
4,900円(税無)
ハドソン・高橋名人
高橋名人
このゲームは個人的に因縁の深いゲームである。まず筆者が小学生の頃、ファミリーコンピューターを親父殿に買ってもらった際に本体と同時に買ったのが「忍者ハットリくん」と「冒険島」。どちらもハドソンで、なぜか「ハットリくん」の方がミリオンセールス。そして小学生当時、当然極めるぐらいやりこんだ。
時は流れて大学生。学生寮にいた頃前から置いてあったニューファミコンとの運命的な出会いを果たす。さらに燃えないゴミとして出されていた大量のファミコンソフトを発見。オレには宝の山に見えたさ。
学生寮も退寮間際、ふと深夜「冒険島」を久しぶりにプレイ。適当に緩くやってそのうち止めるつもりだった。ところがやってみると高橋名人は健在。パンツ一丁に帽子というサイケデリックな格好だ。そこへ後輩が一人フラっとやってきて交互にプレイする。
・・・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。ムズい。こんなはずか・・・?さらに眠い。
・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・。そして決断。
「電源付けっぱなしで寝ちまおう!」
知ってる方も多いだろうが、ファミコンはとかく接触・振動に弱い。寮という共同生活の場なので、事情が事情、全員理解と協力の上バグ防止につとめた。その結果、
3日間ぶっ通しの電源入れっぱなしで見事クリア。長い長い闘いの果てに我々が見たものは、ショボすぎるエンディングと(ブルーバックに文字の羅列)、ブロックの全員で果たしたというキン肉マン的友情であった・・・!おわり。
以上のように思い入れの深いゲームだが、その内容はパクリである。オリジナルのワンダーボーイ(確かセガ)は様々のハードで長年にわたってパクられ、この「冒険島」もゲームシステムはそのままに、キャラが当時チビっ子のアイドルだった高橋名人なだけである。
基本的に面クリ系のゲームで、名人のアクションはジャンプと斧投げ。斧のパワーアップに炎。そしてスケボー。単純である。この単純さゆえ万人受けするのか。そしてもう一つのフィーチャーとして体力がある。名人は常時食料を補給しないと力つきてしまう。画面上部の目盛りがそれである。
なのでゲームの進行としては、食料を取りながら武器を投げ、飛びはね、名人を進めていくというアクションゲームの王道を突っ走っている。まあはっきりいってやってることはメチャクチャである。
アクションのお手本のような「攻撃しながら面クリ」というものなので、そっちに特徴はない。特徴はやっぱ名人。高橋名人といえば疑惑の16連射、シュートのイメージが一般に強いが、いやいやこういうキャラゲーも多いのである。この高橋名人シリーズはハードを越えて通算5作出てるし、他にも「Bugってハニー」という、おめえがバグってんじゃねえかよ、という内容のゲームもだしている。
このように、高橋名人はハドソンがアクションとシューティングとコロコロコミックのメディアミックスでファミコン市場を席巻していた時代の産物であり、本来時代とともに消える宿命にあった。しかし今もハドソンで地味に開発してるらしい。ありがたや。
1.キャラゲーとして侮るなかれ!
このゲームは8面構成、各面はさらに4ステージ構成の合計32ステージあるんだが、面が進むに連れて驚異的に難しくなる。小学生の時、思えばこんなキチガイじみたゲームをやりこんでたんだから当時は凄まじい。なんでもありの時代である。特に各面のラストステージ(例えば6-4とか)が異常にムズい。蜘蛛がその原因だが、ジャンプのタイミングと長さがかなり微妙な配置の連続で、しかも武器が取れないのでジャンプでかわしていくしかない。発狂寸前。
2.ハチスケ!
ハドソンの初代マスコットである。1-1のラスト、1-2に入るゴールの寸前、何も無いところでジャンプすると卵が出現、割るとハチスケがでる。これを取らないとコンテニューができない!コンテニューの方法はハチスケを取って、ゲームオーバー画面で十字キー+Bボタン。これは必須。死にまくるからね。
3.がんばろう。
最早言うことはこういうことしかない。つまりゲームをやってコンテニューしまくるうちに、名人の操作を繊細にマスターしていくことである。そうしないと後半の面で通用しない。特にショートダッシュからのハイジャンプ、これはマスターすべき。習うより慣れよ、である。
よくもまあこんな単純なゲームに三日もかけたなと思う。否、単純さゆえ我々を熱くしそのエキセントリックな難易度がゲーマーとしてのファイティングスピリットを滾らせた。滾っちょる。そしてゲーマーが二人結集すると、三日という不毛なパワーを生み出すようだ。このゲームはゲーマーとしてのアイデンティティの再確認、ゲーマーとは如何なるべきか、それを模索するのに良好なゲームである。
余談だが、ノーコンテニューで8面まで行った、グスタフソンというエキセントリック鳥の巣野郎もこの世にはいる。