金融腐蝕列島 -呪縛- ★★★★☆

朝日中央銀行の総会屋への利益供与が明るみとなり、頭取一同トップの行動が問題となった。その中ミドルクラスの北野・片山らが主導し、頭取人事からメディアアナウンスまで、旧態依然の呪縛から逃れようとする。時代の産物か、それとも時代の臭いを紡いだ作品なのか、それは己の目で確かめよ!
金融ビッグバンをモチーフにした映画である。現実の金融機関は、不良債権を公的資金で賄うという「社会性」をタテにした愚挙に及んだようだが、当方税金未だ払わずの身、「国民の税金が私企業に使われるんですよ」こういう声も甚だ耳に遠い。あっそう、だってしゃあないだろ、後で返しゃあいいじゃねえかてなもんである。
大体の原因が、異常な状態(バブル)に酔いしれた金融機関、歯止めをかけない管理側(MOF)、酔いしれた金融機関とともに酔った大衆、もう総懺悔するしかない。その過去の廃棄物を処理するのが現在であり、その現在ちゅうのがイカンといってるわけだ。しかし搾取されるのはいつも大衆だし踊らされたのも大衆。しょうがない。とにかくなんでもいいから、こっちは負の遺産を処理した汚くない状態で次代に渡して欲しいと思うておる。
現実ではなし崩しに呪縛をときはなった(一部)ようである。さて本作では、いささか過剰演出のシーンも多いがそれがまた呪縛を解き放とうとするパワーを物語っているようで、少なくとも変わろうとしている体質のもどかしさ、難しさを全体的に緊迫感ある画で映している。
特に株主総会、孤軍奮闘の新経営陣とミドルクラス、彼らの変わろうとする姿勢に感化された株主の姿勢、これはもう単なる時代の産物でなく、北野を中心とした革命者の闘いを描いた作品として見応えがある。
ただこれは、朝日中央銀行が呪縛を解き放つというものでなく北野という男の奮闘の物語と見て取れる。それだけ登場人物が膨大で、彼らの心情も浮き彫りにはされない。結局北野は呪縛を解けたのか?それはラストが物語る。

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