ファイトクラブ ★★★★★

日々に生きた心地がしない、彼は常に感じていた。そんな中同じ病気を持つもの同士が痛みを分かち合う会に出席し、死の反対としての生に目覚めはじめる彼。やがて一人の男に会い、痛みを分かち合うのではなく、痛みを共有することで生を感じる、ファイトクラブができる・・・。
黒澤明の「生きる」で志村喬が演じる役所の男は、死を感じたときに初めて生を感じようとした。そして行き着いたのが生きて活きる、まさしく生活である。その点この映画では全くの逆と言えるかも知れない。日々の生に活を感じられない奴等が集まるファイトクラブ、それが肉体的な痛みを感じることで活きた心地を感じ合う。
面白いのは、彼だけが狂気になれなかったことと同時に、もう一人の彼は一人狂気であったことを思い知らされた時の彼の言動である。その時に最早ファイトクラブは必要でなくなった。痛み→死の裏に生を感じるのではなく、やはり活を見いだすことを選択した。
前作セブンの破綻っぷり、本作もラス前までは破綻してたんだが、前作同様破綻の中に人間らしさが見られるラストの選択、これらの映画をたんなるサイコ野郎のブッ壊し映画と見るより、サイコに接した普通の人間の人間らしさの選択、と言う視点でみると相当面白い。

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