後になって色々な人に話を聞いたところによると、自分の生活の節目節目にテーマ曲をおのずとこしらえるのはあるらしい。統計とったわけではないので多分に主観的ではあるけども。そんなにたいそうなものではなく、つまりはそういう節目にたまたまヘビーローテーションになってる曲・バンドなどが、過去の記憶を振り返ったときに鮮やかとは言わないまでも、ドス黒く思い出される。ヘビーローテーションが存在するかどうかが肝要。
1997年3月、上京することになった時のテーマ曲がこのGFRのベスト盤だった。高校時代周りの多くがが「負けないで」症候群なのをよそ目に洋楽・ハードロックを聴きまくっていた。その当時は音楽専門誌を買うほど金に余裕はなかったから、かと言って立ち読みするほど見たくもなかったし、TVで洋楽を紹介するような番組を探していた。
最初はbe@tUKを見てたのだが、あの番組はランキング形式=今の流行だからつまらなかった。当時そうだなあ、低コスト音楽のラップやヒップホップとかいうジャンルの音楽と、どうでもいい女性シンガー系の両巨頭がなぜかアメリカ市場を席巻していたようである。今もそうかも。
そんな折、土曜深夜にROOTSというロックヒストリーを紹介する番組が放映されているのを知った。これはタイトル通り、毎回いろんなジャンルのルーツを辿って現在に結びつけるような番組で、一回見るとそのジャンルの定番や最近のものまで、とりあえず知ることができた。ただまあ、30分番組だったので情報量に限りはありすぎるけどね。
主に紹介してたのがブルースとロックで、たまーにハウスやジャズもやってた記憶がある。で毎回、例えばジミヘンを特集したり、BBキングを特集したり、サザンロックを特集したり、ニューウェーヴだったり、当時としてはかなり見応えがあり、また洋楽の幅広さを知ったもんだ。
前置きはものすごく長かったが、この番組で頻繁に登場したのが、BON JOVIとグランドファンクレイルロードだったのである!BON JOVIは当時の(てか今も)ハードロックシーンの中心的な存在で、彼らの「livin
on a prayer」映像はもお何遍見たことか。そして見るたびに「なんでこいつらこんなにファンキーなんだろうな。地下みたいなとこで。」って何遍思ったことか。
単純なもので、BON JOVIにはやられました。そこから派生的にハードロックにやられ、ガンズ・もとりー・ミスタービッグ・スキッド労・メタ理科・エクス鳥ー無・バッドムーン雷神具など、このへんはATOKのなすがままにさせてみたが、思えば高校の頃は一方でこういうのばっかり聞いてた。
そしてグランドファンクは、そういう今のハードロックシーンと、昔のブルースロックシーンの結節点のような存在として番組では扱われていた。だからROOTSの番組コンセプト上、度々登場したのだろう。そしてそのたびに、某ヒデキが着るような、ひらひらのスソにパンタロンにアメリカ国旗のバンダナというエキセントリックな姿の白人兄ちゃんと、二人のアフロ馬鹿(当時アフロはみんな馬鹿に見えた)、コーラスの黒人デボチカ、彼らがそれはそれは楽しそうに「ロコモーション」を熱唱してる映像に一方でやられていたのである!
しかし!なんと!田舎のレコード屋には彼らのCDがなかったのである!そして故郷では一番の街でやっと見つけたのが入学直前で、それが彼らのベスト版であった。実際聞いてみると、番組の紹介通り、ブルースロックでもあり文字通りファンクでもあり、単純なノリと自然な格好いい演奏で、およそハードロックがやってることとはもう、全然違く感じたのである。
定番「ロコモーション」「ハートブレイカー」「アメリカンバンド」は当然はいってて、そのほかに「孤独の叫び」「ギミーシェルター」といったカヴァー曲がオリジナルよりもかなりいい。
おそらく入学直前〜直後にこれを聞きまくったこと、また入学後にオルタナティヴロックの存在を知ったこととが相乗して、ハードロックを封印してしまったのじゃなかろうか。
このアルバムが、過去との決別のアルバムであるとともに、現在のハイブリッドリスナーとしての引導となった感じがする。今でもこのアルバムはよく垂れ流してます。
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