『"R&B時代がやってくる"と叫ばれながら、日本のポップス界ではなかなか育てにくいジャンルと、なかばあきらまえていたやさき、とつじょとしてスイ星のように登場したクイーン・オブ・R&B”R&Bの女王”が和田アキ子です。』らしい。
このアルバムは実際のファーストアルバムではないが、事実上はファーストアルバムと言ってもよろしい。というのが、アキ子がバリバリのジャパニーズR&Bシンガーだった頃の音源を集めて構成したのがこのアルバムであり、もちろんファーストリリースではないが音源的には十分ファーストだと言える。これ一枚でアキ子のソウルフルボイスが堪能できる。
ここで言うR&Bってのは所謂巷で隆盛のものではなく、というかあれがなぜR&Bなどと呼ばれているのかわからんが、70年代に起こったJBを代表とするソウルフルなギター&ラッパベースの楽曲である。このアルバムでもJBの曲をカバーしている。
どの曲でもノックアウト間違いなしなんだが、やっぱこの、和田アキ子ってのは歌い方が特殊だ。若干しゃがれた声でこういう風にやられるとお手上げだと思う。たとえば「どしゃぶりの雨の中で」より
歌詞 |
歌い方 |
とても悲しいわ |
とても悲しいひはぁ〜 |
あなたと別れて |
あなと別れへてへぇ〜 |
実に、こういうアキ子が想像できてしまうというのが素晴らしい。さらに想像力がたくましければ、メシ喰ってるときに『そこのしょうゆ取っへてへぇ〜』と言ってる当時のアキ子が浮かべられるだろう。
さらには、こういうアキ子節に負けずにがんばってるのが歌詞だ。本来歌詞なんてのはストレートに意味がくみ取れちゃあミュージックとしてだめだと思うんだが、たとえば『真夏の夜のサンバ』
Ah〜!
ギラギラ太陽が
沈んだら
男と女は
ハッシッシ
この曲はすごくカッコイイのだが、こういう馬鹿な歌詞が非常にマッチして、またなんだかそのハッシッシしてる様子というのもわからんでもなく、こっちもこっちでハッシッシ、こうなる。
この曲に続くのが有名な古い日記で、こっちは正統なR&B調の曲ゆえにアキ子R&Bの代表曲として一般にもよく知られてると思うが、前の曲でハッシッシされたまま突入するわけで、単曲で聞くよりもこのつながりというのがとてもいい。
いますぐアルバムを入手して、ハッシッシして欲しい。
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