四角いジャングルPART1-3 ★★★★★

ストーリーはない。
『映画とは何か』という問いに対して、それはもう一冊本が書けるくらい深い問いではあるけれども、簡潔明瞭な答えは『映画館で上映されるもの』で足りる。そういう意味ではこれもまた映画の方法としてアリなのだろう。
この映画・・・・というか映像は、梶原一騎先生の熱い情動と、当時のプロレス・格闘技ブームとが重なってどうやらやってしまった作品らしい。これが映画として成立する、要するに『梶原一騎な時代』って凄い。基本的には当時盛り上がっていたアントニオ猪木の異種格闘技戦やマーシャルアーツがメインなんだが、映像ごとに前後のつながりがなく、ブームに任せて撮影したものを思いついたままに映像化したような感じで、映像ごとに脈絡がなくまたナレーターの鼻に抜ける声がシュールさを演出している。順を追ってみよう。
オープニングでは、ウィリー”クマ殺し”ウィリアムズが登場。クマとの対決映像は何度となくみたことがあるのだが、あれはたぶん「サーカスのクマとじゃれあっている変なカラテカ」だ。
突然画面が変わってイノキ・ボンバイエvsモハメド・アリ。この試合はよく知られているように、度重なるアリ側のルール変更要求(当然ボクシングに有利)をすべて受けたイノキが、最早ローキック(のちのアリキック)しか方法がなかったという、歴史的凡戦だ。
また画面が変わってフジシマ登場。この人がタイのムエタイ王者を破る。
また画面が変わってマーシャルアーツチャンプ、ベニー・ユキーデ登場。ベニーは敬虔なクリスチャン。でもぶん殴る。この人は当時かなり有名だったぽい。彼のKOシーンは凄まじい。
そしてなぜか当時の若者の話。ナレーター「今若者達の間では、格闘技が静かなブームである。青春の溢れ出るエネルギーを格闘技にぶつける若者、また格闘技に限らずさまざまなスポーツ、そして日本の伝統芸能、みこしの中にも若者達のエネルギーは大きく羽ばたいている。」・・・・みこし!?なんでみこし・・・・。そう考えているうちに延々とみこしを担ぐ映像。しかしなんで・・・。
みこしから急に新日道場・・・。そしてこの後イノキの異種格闘技戦がいくつか見られる。あとアンドレザジャイアント戦も。
実際見る価値大アリ。昔の埋もれた異種格闘技戦の映像は恐らくもうこの映画でしか見れないし、みこし映像笑えます。
以上がPART1の内容である。PART2・3も基本的な方法はかわらず、例えば2はマーシャルアーツ・ムエタイ・空手のような打撃系を重視したり、そんな感じ。
PART2では極真の演舞も見れる。大山マスタツの手刀ビール瓶割、とか。

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