<%@page import="java.sql.*"%> <%@page import="atmarkit.MyDBAccess"%> <%@page contentType="text/html;charset=EUC-JP"%> 龍 - RON -
龍 - RON -
開始年 作家 既刊 ジャンル
1991年 村上もとか 27巻 大河ドラマ

財閥・押小路家の嫡男、押小路龍は武道専門学校の学生である。家督を継ぐ気のなかった彼も、昭和初期の軍国主義、朝鮮人差別など、様々の問題に関わり、そして自分の置かれた「財閥」の立場から、やがて使命感を持つようになる。激動の時代を生きた主人公を見るのは、大河ドラマ的面白さがある。

作者の村上もとかは、漫画家として順調にキャリアを重ねてきた方だろう。最も有名な作品は恐らく「六三四の剣」。アニメやゲームにもなったんでやっぱこれだろうな。これ以外にも作者の作品はどれも面白い。初期のクライマー列伝からして今見ても凄くおもしろい。

これまでの作品はすべて少年サンデー誌で描いてきたが、本作はビックコミックオリジナル。少年誌は、とくに昔の時代はやはりなにがしかの「明確さ」が要求される。それは対立軸だったり目標だったり。作者の作風としてそういうものを描くうまさもあるので、そういう面では六三四の剣で開花しブレイクしたと言ってもいい。

翻って本作。明確さは、ない。あるとすれば「正義感」「信念」といった観念的なものである。最初の段階でどれほどのものだったのかわからないが、現時点のような壮大なスケールになるとは作者も範疇でなかっただろう。それぐらいこの物語は動いている!

そして一番の意外性は「てい」が大化けしたことだろう。押小路家の使用人だったていが龍と夫婦になる(ネタバレごめん)、こういう構想はあっただろうが、構想段階ではそれだけだったと思う。それがつまり、龍とていと小鈴、この三角関係を描いていくうちに作者も読者もていの魅力に気付いてしまった、而して「てい」は一人歩きしてしまう。

だから現時点では主人公は二人ということになる。龍とていを時代的にシンクロさせて展開してるわけだ。そこにこの壮大なスケールがあるので今後の展開は予想がつかない。もちろん近未来の想像はつくが、最終的な形がよくわからんということである。

なので、軍国主義の色がいっそう濃くなるこれからが本番だという風にも考えられるし、そうでなく現在がクライマックスだと捉える事もできる。完全なフィクションのストーリーマンガで、これほど長く続き(そうな)ものは、そうない。長く続くならば多かれ少なかれ「明確さ」は描かれる事が多い。(例えばジョジョなら常に「対決」がある。)そうでないものはまずその舞台設定に制限され、潰れてしまう。

本作の設定は昭和初期。歴史を背景とすれば、底は見えない。浅くもできるし、突き詰めることもできる。そういう意味で本作は希有の大河マンガなのである。

また描き方としても、その時代的背景を重視するのか、それとも龍と「てい」の関係を重視するのか、あるいは第三の主人公となる可能性を秘めている「文龍」がまたまた化けるのか、そういう含んだものは膨大にある。

一番の心配はそういう底の知れない背景に圧倒されて、作者が(逆の意味で)潰れてしまうこと、あるいは漠然としたものをつかむという作業に疲れてしまうこと、要は「本気」でなくなってしまうことである。まあこれまでの展開を見てもそれはないし、大作家なので大丈夫だろう。

いずれにしても、このような大作は作者も含めてただじっと見守るしかない。その点ある程度融通の利きそうなビック誌上の連載ということがよかった。