Software Design 2014年2月号

第1特集は関数型プログラミング再入門。総論(関数型プログラミングとはなんぞや)がなくいきなり各言語の話に入るので、正直なところ理解するのが難しかった。一応Sparkをいじろうかと勉強し始めているのでλ(ラムダ)式の存在も知っていたが、そのあたりの基礎知識がないと辛いんじゃないかな。

第2特集は「2014年IT業界はどうなるのか?」。こういうのは年末に振り返って答え合わせをするという意地悪なことができるね。個人的には今年の流行プロダクト、DockerとSparkがどれだけ触れられていたのかなあと思って読んだが、残念ながらほとんど言及はなし。でも書いてあることはそれほどずれていなかったように思う。というより現実の方が若干遅いくらいか。

Software Design 2014年1月号

Software Design全バックナンバーをレビューしようと意気込み、しかし20年以上前の雑誌のレビューなんてだるいと思って中断して1年余り。気づけば今年のエントリーが一つもない!これまでなんとか毎年更新し続けてきたので途切れるわけにはいかん!というわけで、今年の正月休みは勉強を兼ねて今年のSoftware Designを読み直して感想を書くつもり。

というわけで第1回は1月号。毎年恒例(?)のお守りシールがおまけについたこの号、正確には昨年12月発売のもの。特集の一つ目はシェルの話。普段何気なく使っているけれどもあまり深く使い込んでいないので、このような基本的な特集でも興味深く読める。って永遠の初心者だな、自分は。しかし今の仕事だとお客様納品のサーバの構築とか検証用・デモ用マシンの設定がメインなので(つまり自分のアカウントを作って使うわけではないので)、そんなにカスタマイズはできないなあ。

特集の2つ目は10GBase-Tのケーブリングの話。10Gb-NICといえば、先日あったRJ45(つまり10GBase-T)のカードを入れてサーバを納品したらスイッチ側がSFP+だったという失敗を思い出した。10G以上だとケーブルは気をつけなきゃいけないね。40Gまで行くとQSFP+(InfiniBandと一緒のやつ)しかないだろうから(規格上は40GBase-Tがあるらしいけど)、間違えないだろうけど。

Software Design 1991年12月

特集は「UNIX上のスクリプト言語事始め」。内容としては正規表現の紹介の後、sed、awk、そしてperl。今でも定番の話題が並ぶ。余談だがこの記事を書いている時点の最新号(2013年9月号)の特集は「今からはじめるsed/AWK再入門」。やっていることは変わりませんな。

そのほか目についた記事はSGIが3Dグラフィックワークステーション市場で一人勝ちを収めているというもの。そうそう、SGIは当時(というか自分が知っているのはこの5年後くらいだけど)あこがれの機種だった…。懐かしい。懐かしいついでにこの記事の中でアクセントで挿入されている風景写真がマンハッタンを撮影したもの。そこに堂々とした姿をさらしているのはWTCのツインタワー。あの惨事が起きるのはちょうど10年後だ。

Software Design 1991年11月号

今号からUNIX関連をメインに扱うように誌面がリニューアルされた。特集は「UNIX上でのプログラム開発入門」。個人的に注目したいのはこの特集の中の「UNIXとデータベース」という項。UNIX上で動作する主要RDBMSとして紹介されているのが、Empress、informix、Imgres、ORACLE、SYBASE、UNIFY。うーん、自分の知らない製品がポツポツと。ORACLEが「最近急速にシェアを拡大している」として紹介されているのが新鮮に感じる。

その他、誌面リニューアルに伴って新連載もいくつか始まっている。ここで感じたのは一般的なUNIX的なOSではなく、NEXTを推す記事が多いということ。この辺り、UNIXをサーバではなくワークステーションとして利用して行こうと提案したい意向がうかがえる。それにしても、ここで紹介されているNEXTの開発環境(特にInterface Builder)が20年後にもまだ使われていて、しかもOSはOS XやiOSと名を変えて世界を制していることを考えると、ITの世界では相当昔に感じる20年前でも、確実に現在とつながっているのだなあと感慨深い。というか、そもそも現在のコンピューティング環境に直接つながるプロダクトが出てきたのがこの頃だったのか。

あとは、Javaで有名な丸山不二夫氏が稚内北星短期大学の教員として連載を始めているのが注目点か。

Software Design 1991年10月号

特集は「最新GUIプログラム開発ツール事情」。内容はタイトルそのままなのだが、興味深かったのが記事の中でOS/2に触れた一節。すでにIBMとMicrosoftとの共同開発が破綻した後の時期で、OS/2 2.0はIBMが、OS/2 3.0はMicrosoftが出すという話になっている。そのMicrosoft版OS/2 3.0の開発責任者はDECでVMSを作った人だそうな。つまりこれが後のWindows NT、つまり現在のWindowsに連なる源流となるOSとなるわけですな。

さて、この号が12号目、次が創刊1周年となるわけだが、次回予告として衝撃的な報告が。「発刊1周年にあたる次号’91年11月号より、UNIXとワークステーション関係の記事を中心にご紹介することとなりました。」
ここまで当初よりも大分UNIX寄りの記事が増えてきたが、ここで一気に方向転換を行うらしい。この誌面変更が今日まで生き残ったSD誌の第一歩となったわけだ。いったいいつごろ今の誌面に近いものになったのだろうかと思いながら読み進めていたのだが、最初の転換点はどうやらここのようだ。

Software Design 1991年9月号

特集はC++のクラスライブラリ。これだけでかなりの紙面を割いているのに当時の時代の空気を感じる。
気になった記事は海外のUNIX事情を紹介する連載で取り上げられていたSunのSPARCについて。「SunはSPARCの勝ちに会社丸ごとを賭けた」というサブタイトルがつけられている。結果、その後いったんは勝ち、そして破れていったのだなあ。まあこの記事に取り上げられているMotorolaの88000に比べれば遙かにましだが。SPARCはまだまだスパコンにも用いられる高速プロセッサとして現役だしね。
このほか、Cのデバッグの記事を当時連載していたドワンゴの川上会長(もちろん当時は起業前)が、実際に教えるCデバッギング講座のお知らせが出ていた。どんな講座だったんだろう。

Software Design 1991年8月号

特集はWindows開発環境。MicrosoftのSDKとBorlandのC++パッケージをメインで紹介している。当時のとても面倒だったWindowsアプリ開発が偲ばれる。
しかしながら、今につながる開発環境としてはこれらよりも遙かに大きな影響を与えたツールがこの時期登場している。それがVisual BASIC。この紹介記事が掲載されている。記事の著者からは相当なインパクトを受けた様が感じられるが、それでもまさかその後長い間、業務システムの定番開発ツールになるとはこの当時思いもしなかっただろう。
余談だが、91年6月号の記事の図に他誌からの無断引用があったとのお詫びが掲載されている。これも時代の資料としては興味深い。

Software Design 1991年7月号

特集は「検証!GNUツール」。現在のSD誌の雰囲気を若干感じさせる特集だ。MS-DOSに移植されたものも紹介されている。そういえばX68000でもGCCをはじめとしてよく移植されていたなあ(筆者がX68000を中古で入手したのは1993年)。なお、当時のGNU移植版X WindowのバージョンはX11R3とか。ていうかGNUはX11の移植もしていたんだね。
そのほか、ワークステーションとしてSPARCstationを使う連載がスタートしている。また「これがMS-DOS5.0だ」という紹介記事も掲載されている。海外の翻訳記事でDOS5について結構好意的な記事だったのだが、日本ではNECが3.3の次に4を飛ばして5に行ったこともあって、5.0を効果的に使う環境があまり整っていなくて、当時は賛否両論だった覚えがある。

Software Design 1991年6月号

特集は「C言語好感度テクニック アルゴリズム編」。この号ではこの特集の他、C言語の新連載が始まっている。その名は「3分間デバッギング」。そのタイトルよりもさらに威勢良く、本文では「プロたるものプログラムが暴走したって、その原因を3ミリ秒でわかるのが当然」と豪語する著者は(株)ソフトウェアジャパンの川上量生氏。
あれ?この名前見たことあるなあと思いきや、ドワンゴの川上会長ですね。ちなみにWikiPediaによると、京都大学工学部を卒業してソフトウェアジャパンに入社したのが1991年となっているので、この記事を書いた当時はぴかぴかの新入社員ですな。まあIT(特にPC系)の世界は当時も今も高校生や大学生がばりばりのトッププログラマだったり雑誌のライターだったりすることが普通にあるので、すごいとは思いつつも、特にびっくりすることではないと思う。

UNIXネタはPCに載せるUNIXの話。当時はSCO UNIXが有力だったんだね。

Software Design 1991年5月号

本号の特集は「Cの高感度テクニック 関数編」。創刊号からここまで特集はすべてプログラミング関連ではなかろうか。そしてこの特集の中で、かの有名な(と思っているのは筆者だけかもしれないけど)藤原博文氏による「Cプログラミング診断室」が始まっている。これは次号からは通常連載となる。
そして個人的に興味深かったのが、MINIX 1.5をPC-9801へ移植したという記事。この記事の、MINIXの内部動作やそれをPC-98に移植する際に道ソースをいじったかなどの紹介などの雰囲気が、何となく今のSD誌の記事に近いなあと感じた。そう、プログラミング入門的なものよりも具体的なソフトウェアの内部構造紹介の方がSD誌っぽく感じるんだよな、個人的には。
あとはIBMが出してきたUNIXワークステーションの出来がすごくいいぞ、ワークステーション市場もIBMが席巻するのでは?という記事も。結局IBMが席巻することもなく、ワークステーション市場自体が消えてしまいましたね…。